石井 正己 氏 「親子3代 同友会に入れ込んで」

13_ishii石井 正己(いしい まさみ)氏
東海EC(株) (豊明地区)

《プロフィール》
◎初代 石井 正雄氏(東海EC創業者・故人)
1912年生まれ、1965年入会、1969年より代表理事、1974年より会長、中同協では1969年より副会長、1981年~85年会長を務める。1998年6月逝去、享年87。
◎2代目 石井 正己氏(1981年1月~社長)
1939年生まれ、1978年入会、1992年より労務労働委員長など理事を歴任。
◎3代目 石井 元博氏(2010年9月~社長)
1970年生まれ、2006年入会、2010年名古屋第2青同会長。

坂の上の雲

私が同友会に入会した七八年当時は、「坂の上の雲」のような時代で、よく飲んだり議論したりしました。同友会は理念集団、次の世代によい環境を渡していくものです。この理念がしっかりしていれば会社は強くなります。ただ、振り返ってみると、理念を確立してから何でもできると慢心していた時期があったのではないかと思います。

バブルの絶頂期に、同友会の会合で「ゆでガエル」の話を聞き、その先見性に驚きました。そのおかげでバブルがはじけた時にすぐ対処ができました。時代は移り変わるもので、人任せではいけないのです。経営者として自立していかなければいけないと教えられました。

走りながら考える

入会は父(石井正雄氏・故人)が紹介者で、現在、息子(石井元博氏)も同友会に所属しています。つまり三代にわたって同友会に入れ込んでいます。父は情熱を込めて同友会に関わり、社員に「あれだけ熱心に経営してくれれば会社はもっと大きくなるだろう」との陰口も聞かれるほどでした。

父は時代が作ったような人でした。戦後のどちらに向かって行くのかわからない混乱期に、汗を流して働き、次の世代に残すべき基礎を築いていったのだと思います。

スポンジのように学者先生から良い話を吸収し、それを実際に行動の中で生かしていました。やらざるをえない環境に自らの身を置き、いろんな役目を引き受け、やる以上は結果を出していきました。

走りながら同時に考える人でもあり、バイタリティーに溢れ、仲野正氏(前中同協専務幹事・故人)と名コンビで、中同協の会長も務めていたのです。

労務労働委員会はヘソ

労務労働委員長を務めた時期の思い出が深く残っています。七年間に渡って委員長を努めさせていただきましたが、この委員会は人が働く根幹を学ぶ所で、人間である証として「ヘソ」だとずっと思っていました。

時代が変わっても人の世は人間がつながっていく中で進んでいくものです。雇用を守る厳しさが経営の真髄であり、裸になってやると度胸も座ります。会社のルールも、経営者側だけが作るものではありません。相方である社員にも満足できるものでなければなりません。そんなリーダーシップの大切さを心に刻んでいます。

経営者のバイブル

このように学んできた労使見解は発表されて三十六年が経ちます。しかし今読み返しても、実にみずみずしく新鮮な響きを感じます。常に経営者としてのあるべき姿を問いかけ、「労使関係の創造的発展こそ企業成長の原動力なのだ」ということを教えてくれます。

みなさんもご存知かと思いますが、時にふれ、折にふれて読み返すことにより、会社の苦境をのりこえる示唆と励ましをうけるのです。

中小企業を取り巻く情勢は常に変化しています。私達は環境変化に正しく対応し、企業の展望を切り開くために懸命な努力が必要なのです。そんな真摯な姿勢を持つ、同友会で学ぶ経営者にとってのバイブルがこの労使見解なのだと思います。

事務局は理念の中心に

事務局には理念の中心になって欲しいです。そうした求心力がある核になっていただきたい。私達経営者は商売があり理念だけでは飯が食えれません。しかし専従の事務局員であれば、それは可能になります。

理念がしっかりしていないと、組織はバラバラになってしまいます。私達が熱心に進める経営指針の成文化をみればわかると思います。一方、理念だけだと市場に自社の商品を押し付ける事になりうまくありません。理念と商売はお互いに良い所をもらって成長する関係にあります。

事務局と会員で掛け合い漫才のように、呼吸をあわせ車の両輪として活動していくことを期待します。魂は同友会と共に燃え続ける 最後は父正雄が中同協第十七回総会で中同協会長を退任する時(一九八五年)の挨拶を紹介します。

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石井正雄氏「びっくりセール」で

石井正雄氏「びっくりセール」で

同友会は極めて刺激的です。私自身を活性化してくれ、企業活動にも情熱が湧いてきます。同友会をさぼり、逃避しようとすれば、必ず企業活動も消極的になります。この事を身を持って体験しました。

同友会は不思議な会です。同友会で学んだ事を、どしどし企業に生かして下さい。みなさん方も企業と同友会の発展のために大いに頑張っていただきたい。

私は、また、同友会を通じて全国のすばらしい方々を知ることができました。これは私の人生のかけがえのない財産となっています。本当にありがとうございます。私の魂は同友会と共に燃え続ける事を誓います。

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