活動報告

労務労働委員会(5月24日)

人間尊重経営の原点を学ぶ

石井 正己氏  東海EC(株)

12名が参加し、歴史と原点を学び合う(中央が石井氏)

人間尊重経営の原点

同友会のバイブルである『人を生かす経営』(中同協発行)は1989年に発刊され、このたび3回目の改訂版が発行されました。そこで、改めて人間尊重経営の原点を学ぶべく、歴代の労務労働委員長訪問を開催。第1回では、5代目委員長を務めた東海ECの石井正己氏に報告いただきました。

石井氏は1978年に同友会入会。92年より労務労働委員長など理事を歴任してきました。現在はご子息の元博氏が同社社長、石井氏は同会長を務め、父の正雄氏(創業者・故人)と親子3代で同友会運動に携わってきました。

石井氏は81年に事業承継しましたが、先代からは新たな事業に手を出すことは許されず、ジレンマを抱えたといいます。それでも、事業が安定するなかで、「利益を社員や社会に還元したい」と考え、そのためにも社員の生きがいややりがいに目を向け、社員のやる気を引き出すことに心を砕き、時間や金銭を惜しまず投資してきました。「社員と共に生きていく選択をしてきたからこそ、今の自分がある」と石井氏は語ります。

経営者の責任を自覚

同友会では、何よりも「経営者の覚悟」を教えられたといいます。経営者は、組織のてっぺんでふんぞり返るのではなく、嵐の中心になれといわれてきました。ある先輩経営者からは、「会社を潰してしまえば、100人の会社でも、関係する500人に迷惑をかけるんだ」といわれ、経営者の責任を実感させられたと振り返りました。

最近、家庭を持つことをリスクと考え、結婚しない社員が自社でも増えているといいます。会社は社会の縮図です。これでは少子化は止まらないと石井氏は危惧します。

国が悪いと批判ばかりするのは、会社が悪いと言っていることと同じです。しかし、批判がなければ次の展開が生まれないのも確かです。課題を認識し、具体的な提案をしていけば、会社も日本も変わると信じていると石井氏は語ります。

「労務労働委員会は、人が働く根幹を学ぶ場。同友会が時代を切り拓く先駆者とすれば、皆さんには時代の先行きを照らす道しるべになっていただきたい」と期待を寄せ、報告を締めくくりました。