活動報告

金融アセスだより(第128回)

地銀の現状と再編

最近、地方銀行の経営統合のニュースが目につきます。大阪の関西アーバン銀行、近畿大阪銀行と兵庫県のみなと銀行の経営統合。三重県の三重銀行と第三銀行の統合。そして、新潟県の第四銀行と北越銀行の経営統合も発表されました。なぜ、地銀の再編が加速しているのでしょうか。

考えられる1点目は、地方経済の失速が挙げられます。地方に本拠地を置く地銀は貸し出しが伸びず、なかなか利益が上げられなくなってきているのです。

2点目が、日銀のマイナス金利政策の影響です。銀行は貸し出しに回さないお金を日銀に預けますが、そのお金に日銀がペナルティーを科すというのがこの政策のポイントです。お金を日銀に預けず企業などに貸し出すよう誘導すれば、世の中にお金が回り、経済が盛り上がるというのが日銀の描いたシナリオですが、実際には銀行は貸し出すところがなく、マイナス金利の影響をまともに被っている現状があります。

生き残りをかけて

3点目は、地元重視の経営姿勢を金融庁が後押ししていることです。収益の減った地銀は地元のトップクラス同士で合併・統合し、その地域のトップシェア確保を目指すわけです。

この場合、競争が実質的に制限されるので、公正取引委員会から待ったがかかることもあります。また、メガバンク主導の再編という形態もあります。

貸出基準の厳格化

今後も進む地銀の再編において、経営者が注意すべき点は貸出基準の厳格化です。それにより、従来通りに借入を繰り返すことが難しくなる可能性があります。統合する銀行の複数から借入をしている場合は、シェア調整ということで借入の部分返済を迫られることも想定すべきです。

いずれにしても、自社の取引している金融機関をどう位置づけるのか、どのように付き合っていくのかを再認識する必要があります。具体的には、現状のメインバンクと位置づけている金融機関と情報交換をし、互いの今後の展開を把握しておくべきでしょう。そのためにも経営指針を金融機関にも開示し、自社のビジョンをしっかりと語ることが重要といえます。

カニエ電機(株)  蟹江 晃男