活動報告

金融アセスだより(第132回)

金融機関の役割

世間ではいざなぎ景気に並ぶ長期間の景気回復と言われますが、中小企業の景況感は大企業に比べ依然として低調です。多くの中小企業では、慢性的な人材不足、新事業展開、事業承継などの重要課題に対し、解決に向けた明確な道筋を見いだせずにいます。

こうした課題を解決するため、金融機関には貸出先の経営改善や成長力強化、抜本的な事業再生などによる生産性向上が求められており、地域密着金融(リレーションバンキング/以下、リレバン)や、コンサルティング機能を発揮することが期待されています。

金融機関はマイナス金利の導入や国債利息の低下によって収益性が低下しており、コンサルティング機能の発揮による手数料収入や利率以外での競争力として、リレバンを重要な収益獲得機会と捉えています。

しかし、顧客本位の優れた提案もあれば、自行の利益優先の提案もあるため、コンサルティング機能の捉え方、手数料や支援の考え方など、各行や担当者のスタンスに留意すべきです。

身近な外部者として

外部の意見や知見は、自社にない視点をもたらす可能性があり、持続的な成長に向けた抜本的な解決策となり得ます。外部環境が刻々と変化する中、外部の経営資源も活用しながら、自社、ひいては地域経済の発展につなげていくことが肝要です。

前述の視点で金融機関や担当者を見極めたうえで、身近な外部者として自社の現状課題に対してどのようなアドバイスをするのか、耳を傾けるのも良いのではないでしょうか。

金融機関を単なる資金の調達先として見るのではなく、自社を発展させるためのパートナーとして、情報を共有し課題を解決しつつ、ともに発展していくことこそ、リレバンと地域経済の発展のあるべき姿だと考えます。

田村隼人公認会計士事務所  田村 隼人