活動報告

金融講演会(2月23日)

「今をどう読み解くか」
金融政策、中国特需、EV化など ~今何が進行しているのか~

山口 義行氏  立教大学名誉教授

「未来を自らの力で切り拓いていく」

立教大学の山口義行名誉教授による「今をどう読み解くか」と題した講演会に150名が参加しました。

冒頭、山口氏は「中小企業経営者は“読む力”、“問う力”、“つなぐ力”を向上させることが重要」と参加者に熱く訴えかけました。

国債金利に注視を

2月初旬のニューヨーク株価乱高下をどう見たか。実はアメリカの雇用統計発表が予想以上に良かったため、金利上昇を懸念した投資家により過去最大の大幅続落となりました。

つまり、景気が良いから株価が下がったのです。金利が上昇すると、債権や株式など全ての資産価値は低下するのが基本です。アメリカの金利は徐々に上昇し、正常化しつつあります。

一方、日本では依然として、異常な低金利が続いていますが、日銀国債保有率がすでに4割を超え、2020年には6割超えが予想されるなど、異次元金融緩和策は限界に近づきつつあるといえます。山口氏は政策転換の1つの指標として、10年もの長期国債金利の0.1%超えを指摘しました。

講演会には150名が参加

世界経済の「中国化」

今や中国を軸に世界経済が回り始めたと認識すべきです。日本の製造業の活況は、中国の半導体産業育成計画による工作機械やロボット等の爆買いによるものです。輸出も、アメリカより中国向けが凌駕しつつあります。

また、一帯一路政策で中国とヨーロッパが鉄道で結ばれ、年間5000便にする計画も進められています。こうした現況を踏まえて、どのような戦略を立てて対抗していくかは日本政府の重要な課題になると強調しました。

EV化と中小企業

英仏は2040年までにガソリン・ディーゼル車の販売を禁止する動きがあり、中国もそれに追随。また国内メーカーが主力とするハイブリッド車はエコカー対象外とされました。一方、EVの航続距離は、600km超えの水準に来ています。EV化は大手自動車メーカーの優位性が損なわれ、大手につけば下請け企業に仕事が来るという構造が崩れると予想されます。

今まさに目前の課題として、下請け中小企業には抜本的な方向転換が必要になるのです。現在のところ、そうした自覚をもって情報収集などの活動を開始している中小企業が少なく、現在の危機意識の低さこそ、愛知経済の最大の危機だと指摘しました。