活動報告

私たちが目指す「働き方」とは?
~イキイキと働ける企業づくり(3)

働き方改革による魅力ある企業づくり

佐藤 祐一
愛知同友会代表理事、(株)羽根田商会代表取締役

2つの転換点

佐藤祐一氏

弊社の「働き方改革」は、事業戦略上の必要性から始まりました。

この10年間に2つの大きな転換点がありました。リーマンショックと、生産年齢人口の減少からくる人手不足です。大手自動車メーカーの「国内生産300万台」という言葉を機に、数量を追う経営から付加価値を高める経営への転換、そして人手不足からは生産性を高める経営への転換が必要になりました。

生産性に関しては、自社だけでなく社会的ニーズがあることに気が付きました。これは10年ほど前に欧州へ行ったときに感じたことでした。欧州の中小企業は、高い技術や独自性により大手企業と対等にやりとりし、高収益を確保していたのです。そこに我が社の進むべき方向を確信しました。そこで、「我が社とお客様の生産性向上を追求する」を経営指針に掲げ、仕事内容の転換を図りました。

効率化による成果

まず機械化を進め、効率化と付加価値の向上を推進しました。基幹システムの更新、ノートパソコンの貸与を進め、同時に就業時間の短縮、みなし残業代の廃止、目標を粗利から営業利益への変更、総労働時間の目標設定等々により、社員の意識を変えました。

これにより残業時間は65%減少、有給取得も増えました。また、営業的にはお客様に自動化、省力化の提案ができるよう技術部を設置し、機械設計ができる体制を整備。これにより新しいお客様や引き合いが増え、業績も10%以上向上しました。

事業戦略上の必要性からスタートした働き方改革でしたが、単純作業や2度手間をなくすことにつながり、浮いた時間を顧客対応や改善点の発見など、人間にしかできない仕事、やりがいのある仕事にあてられました。これは人を生かす経営そのものでした。

我が社の働き方改革は、事業戦略と密接に関係しています。今後も生産性向上をキーワードに、人を生かす経営を推進していく所存です。