景況調査

第77号-2013年2月
景況感改善も円安によるコスト上昇懸念高まる

【概況】

【業況判断】 前回の悪化から一転して大幅な改善

【売上高】【経常利益】 売上高、前年同月比は変化ないものの次期見通しは大幅改善。 経常利益、今月の状況はわずかながら悪化

【在庫】 今月の状況、製造業で「過剰」超過幅縮小

【取引条件】 建設業で前年同月比、次期見通しともに大幅な好転

【資金繰り】 次期見通しは全業種で「窮屈」超過幅縮小

【設備過不足】【施設稼働率】 設備過不足・施設稼働率ともに業種により異なる動き

【雇用動向】 今月の状況、1年ぶりに「不足」超過幅拡大

【価格変動】 仕入価格変動、「上昇」超過幅が急拡大。 販売価格変動、流通業が前年同月比で2008年8月調査以来の「上昇」超過

【借入金利】 短期・長期ともに大きな変化なし

【経営上の力点など】 経営上の問題点・力点ともに上位は変わらず

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:560KB)


【概況】

業況が「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は前回の1から9ポイント改善して10となりました。前年同月比も前回の△12→△6と6ポイントの改善、また3か月後の次期見通しも0→23と23ポイントの改善となっています。前回調査で大きな落ち込みが確認された愛知経済でしたが、景況感は全業種で再び改善に転じました。ただ、経常利益についても売上高についても前年同期比DI値に改善は見られず、景況感の改善がどの程度業容の実態を映すものかを確認するにはもう少し時間が必要のようです。

ヒアリング調査では、今回も業種によって状況が異なることが明らかになりました。建設業からは前回同様、官需・民需ともに好調であるとの声が多く聞かれました。また、先行きについても、官需は新年度予算や補正予算の執行、民需は消費税率引き上げを前にした戸建て住宅などの駆け込み需要により、いっそう忙しくなると見込まれています。しかし、仕事量は十分あるにもかかわらず慢性化しつつある職人不足のため受注できない状況や、資材価格の上昇・低い受注価格による利益につながらない状態は解消されていないことから、手放しでは喜べないようです。

製造業では、自動車関連企業から昨年末の予想よりも仕事量を確保できていることが景況感を改善させたとの意見が出されました。とはいえ、すべての企業が仕事量を確保できているというわけではなく、下請企業の再編が進みつつあるなかで、企業間での仕事量の格差が大きくなっているようです。また、現在好調な企業からも夏以降の先行きに関しては不透明であることや、円安の進行による原材料価格の上昇を懸念する声が上がりました。個人消費関連企業からは相変わらず明るい話は出てきませんでした。なかでも外食関連企業は円安による輸入品のコスト増、光熱費の値上げ、そして消費税率の引き上げにより、今後いっそう厳しい状況に追い込まれるだろうと予想されています。

このように、景況感が改善した愛知経済ですが、業種間・企業間で様相は大きく異なっており、全体としてみると楽観視できないのが現実です。株高・円安の進展から日本経済は好転したと見る向きもありますが、中小企業の現場では円安により恩恵を受けたという声よりも、むしろ仕入価格の上昇を懸念する声のほうが大きなものとなっています。また、自動車をはじめとした輸出の増大が期待されますが、米国経済・中国経済ともに問題を抱えており、必ずしも順調に増大するとは限りません。株式市場の動向などに惑わされることなく、慎重に先行きを見通しながら経営活動を進めることが求められます。

[調査要項]
 1.調査時   2013年2月18日~2月28日
 2.対象企業 愛知中小企業家同友会会員企業
 3.調査方法 会員専用サイト(一部FAX)にて配信、自計記入、回収
 4.回答企業 3,250社より、812社の回答を得た(回収率24.9%)
   (建設業147社、製造業240社、流通業220社、サービス業205社)
 5.平均従業員 40.4人(中央値 10.0人)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、藤田彰男・赤津機械(株)社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行立教大学教授)での検討を経てなされたものである。

【業況判断】
前回の悪化から一転して大幅な改善

「今月の状況」DIは前回の1から9と改善して10となった。業種別でみると、全業種で改善が確認され、建設業が18から22と4ポイント、製造業が△17から△3と14ポイント、流通業が△1から4と5ポイント、サービス業が10から23と13ポイント改善した。前年同月比も前回の△12から△6と6ポイントの改善となった。業種別でみても、建設業が4から10と6ポイント、製造業は△26から△15と11ポイント、流通業が△17から△12と5ポイント、サービス業が△2から2と4ポイントの改善となった。3ヶ月後の次期見通しも前回の0から23と23ポイントもの大幅な見通し改善となった。業種別でも、建設業が15から35と20ポイント、製造業が△13から17と30ポイント、流通業が△7から19と26ポイント、サービス業が11から25と14ポイントとそれぞれ大幅に見通しを改善させた。

業況推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

業況推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【売上高】【経常利益】
売上高、前年同月比は変化ないものの次期見通しは大幅改善
経常利益、今月の状況はわずかながら悪化

売上高DI(前年同月比)は前回の△8から変化がなかった。業種別でみると、建設業が6から9と3ポイント改善したが、サービス業は5から2と3ポイント悪化した。製造業は△23で前回から変化なく、流通業は△12から△11と横ばいで推移した。次期見通しは前回の△12から20ポイント改善して8となった。業種別では、建設業が△1から14と15ポイント、製造業が△22から2と24ポイント、流通業が△21から5と26ポイント、サービス業が0から12と12ポイントのそれぞれ大幅な見通し改善となった。

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の8から3ポイント悪化して5となった。業種別では、建設業が7から6と横ばい、流通業(2)・サービス業(18)は変化がなかったが、製造業は6から△5と11ポイントもの悪化となった。製造業は2011年8月調査以来の赤字超過である。前年同期比は前回の△11から変化がなかった。業種別でみると、建設業(△1)は前回から変化がなかったが、製造業は△21から△18と3ポイント、流通業は△18から△15と3ポイント改善した。サービス業は2から△5と7ポイントの悪化となった。次期見通しは前回調査の△1から11ポイント改善して10となった。業種別でみても、建設業が△4から6、製造業が△13から6、流通業が△2から10、サービス業が16から19と全業種において見通しが改善された。

売上高推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

売上高推移DIグラフ
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経常利益推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ
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【在庫】
今月の状況、製造業で「過剰」超過幅縮小

今月の状況DIは、前回の18から12と6ポイント「過剰」超過幅が縮小した。業種別では、製造業で21から12と9ポイントの「過剰」超過幅縮小となったが、流通業は13と3期連続横ばいでの推移となっている。前年同月比は前回の5から4と横ばいでの推移となった。これで1年以上動きがみられない。業種別でみても、製造業が5から3、流通業が5から6と大きな動きはない。次期見通しも前回の8から6と横ばいで推移した。業種別では製造業が12から9と3ポイントの「過剰」見通しの超過幅が縮小したが、流通業は3で前回から変化がなかった。

【取引条件】
建設業で前年同月比、次期見通しともに大幅な好転

前年同月比DIは前回調査の△12から4ポイントの「悪化」超過幅が縮小して△8となった。業種別では、建設業(△13→△1)・製造業(△15→△8)で「悪化」超過幅が縮小した。流通業(△12→△10)・サービス業(△10→△9)は横ばいで推移した。次期見通しも前回の△12から8ポイント「悪化」見通しの超過幅が縮小して△4となった。業種別で見ると、建設業は△11から4となり「好転」超過に転じた。製造業(△12→△6)・流通業(△10→△6)・サービス業(△13→△5)で「悪化」見通しの超過幅が縮小した。

【資金繰り】
次期見通しは全業種で「窮屈」超過幅縮小

今月の状況DIは前回の△30から△31と横ばいでの推移となり、これで3期連続大きな動きはない。業種別で見ると、建設業(△34→△41)で「窮屈」超過幅が拡大したが、サービス業(△30→△23)では反対に縮小した。製造業(△29→△31)・流通業(△29→△30)は横ばいで推移した。次期見通しは前回の△35から7ポイント「窮屈」超過幅が縮小して△28となった。業種別でみても、建設業(△43→△37)・製造業(△38→△34)・流通業(△32→△28)・サービス業(△29→△15)と全業種で「窮屈」見通しの超過幅が縮小した。

【設備過不足】【施設稼働率】
設備過不足・施設稼働率ともに業種により異なる動き

設備過不足DI(今月の状況)は前回調査の△6から△8と横ばいで推移した。業種別では、建設業(△16→△13)・流通業(△12→△9)において「不足」超過幅が縮小したが、反対にサービス業(△12→△16)では拡大した。製造業(10→1)は「過剰」超過幅が縮小した。次期見通しは前回の△6から△9と3ポイント「不足」見通しの過剰幅が拡大した。業種別でみると、ここでも業種ごとに異なる動きが確認できる。建設業(△20→△12)は「不足」見通しの超過幅が縮小したが、サービス業(△12→△17)では拡大した。流通業(△11)は前回から変化がなく、製造業(13→2)は「過剰」見通しの超過幅を大きく縮小させた。

施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の△19から7ポイント「低下」超過幅が縮小して△12となった。業種別で見ると、製造業(△27→△9)では18ポイントもの著しい「低下」超過幅縮小となったが、反対に流通業(△7→△17)は拡大した。次期見通しも前回の△15から△5と10ポイントの「低下」超過幅縮小となった。業種別で見ると、製造業(△22→△1)では大幅に「低下」見通しの超過幅が縮小したが、流通業(△4→△12)では反対に拡大した。

【雇用動向】
今月の状況、1年ぶりに「不足」超過幅拡大

今月の状況DIは前回調査の△21から3ポイント「不足」超過幅が拡大して△24となった。「不足」超過幅が拡大するのは1年ぶりのことである。業種別では、建設業(△40→△44)・製造業(1→△10)で「不足」超過幅が拡大したが、流通業(△26→△21)では縮小した。サービス業(△28→△30)は横ばいで推移した。次期見通しは前回の△18から△19と横ばいで推移した。業種別でみると、建設業(△37→△34)で「不足」見通しの超過幅が縮小した。前回、「過剰」見通しに転じた製造業(6→△2)は再び「不足」見通し超過となった。流通業(△22→△20)・サービス業(△28→△26)は前回から引き続き横ばいでの推移となった。

【価格変動】
仕入価格変動、「上昇」超過幅が急拡大
販売価格変動、流通業が前年同月比で2008年8月調査以来の「上昇」超過

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回調査の12から16ポイント「上昇」超過幅が拡大して28となった。3割の企業が「上昇」と回答するに至っている。業種別でみても、建設業(12→31)・製造業(9→28)・流通業(18→33)・サービス業(9→18)と全業種で「上昇」超過幅が大きく拡大している。前年同月比も前回の12から27と15ポイントもの「上昇」超過幅拡大となった。業種別でも、建設業(10→31)・製造業(8→26)・流通業(20→32)・サービス業(9→17)と全業種で「上昇」超過幅が拡大した。次期見通しも前回の9から28と19ポイントの「上昇」見通しの超過幅拡大となった。業種別でみても、建設業(6→32)・製造業(9→34)・流通業(11→28)・サービス業(8→16)とやはり全業種で「上昇」見通しの超過幅が拡大している。

販売価格変動DI(今月の状況)は今回も△17から9ポイント「低下」超過幅が縮小して△8となった。業種別でみても、建設業(△17→△4)・製造業(△21→△14)・流通業(△14→△1)・サービス業(△17→△9)と全業種で「低下」超過幅が縮小している。前年同月比も前回の△18から10ポイント「低下」超過幅が縮小して△8となった。業種別では建設業(△22→△1)・製造業(△27→△20)・サービス業(△12→△8)で「低下」超過幅が縮小した。流通業は△12から2となり、2008年8月調査以来の「上昇」超過に転じた。次期見通しも前回調査の△15から△3と12ポイントの「低下」見通し超過幅縮小となった。業種別でみると、建設業(△13→6)・流通業(△14→3)において「上昇」見通し超過に転じた。製造業(△19→△13)・サービス業(△14→△6)では「低下」見通し超過幅が縮小した。

【借入金利】
短期・長期ともに大きな変化なし

短期借入金利DIは前回調査の△4から△2とほぼ横ばいでの推移となった。業種別で見ると、建設業(△4→△1)・サービス業(△4→△1)で「低下」超過幅が縮小したが、製造業(△4→△4)は変化がなく、流通業(△3→△2)は横ばいで推移した。

長期借入金利DIも前回の△7から△5と大きな変化は見られなかった。業種別では、流通業(△8→△4)・サービス業(△7→△4)で「低下」超過幅が縮小したが、建設業(△4→△3)・製造業(△9→△8)は横ばいでの推移となった。

【経営上の力点など】
経営上の問題点・力点ともに上位は変わらず

全業種で見た経営上の問題点は前回と同様、第1位が「民間需要の停滞」(36%)、第2位が「取引先の減少」(26%)、第3位が「従業員の不足」(24%)であった。第1位は4年以上変化がないが、今回は9ポイントも低下しており、第2位との差が小さくなってきている。業種別にみて特徴的なのは、製造業で第2位に「販売先からの値下要請」(28%)、第3位に「仕入単価の上昇」(27%)があることである。文書回答では「円安による仕入単価の上昇」が多く指摘されている。

全業種における経営上の力点は、「新規受注(顧客)の確保」(61%)、「付加価値の増大」(56%)、「社員教育」(33%)が上位を占めており、ここでも前回から順位に変化はない。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●業況判断DIの「今月の状況」は18から22、「次期見通し」は15から35へと20ポイント大幅な改善をしています。「前年同月比」でも4から10と好転しています。一方、経常利益DI「今月の状況」は7から6と変化がなく、「前年同月比」も△1とふるいません。さらに資金繰りDI「今月の状況」では、△34から△41と悪化傾向を示しています。販売価格DIは「不変」が大勢を占めますが、仕入価格DIは12から31と原材料は値上がりしています。雇用動向DIは、△40から△44と継続的に激しい人手不足の数値を示しています。

仕事量は十分にありますが、その担い手はパワービルダーや大手企業が中心です。反面中小企業は、職人等を中心に人手不足が慢性化し仕事が受注できなかったり、利益なき繁忙により社員の退社が相次ぐ状態に陥っています。円安による建築資材の高騰は経常利益を圧迫し、消費税導入後の市場の冷え込みが懸念されます。変化する経済環境に対抗するため人材育成が急務と言えます。 (事務局 八田)

 1.総合工事

  • 建設業界は職人不足から建設物価が上昇気味。客先から希望金額の提示を受けるが赤字が必至なので断る物件が多い。また、老健関連の物件がほとんどで今年はいいが来年はどうなるのか不安になる。長く続いた不況のため、社員の給料が満足いくほど支給できず、辞めていく社員も多い。給料を上げてでも社員確保するほど経営状況に余裕はない。新規事業と言っても建設業は変化に対応することが不得意で、いいアイデアは出ない。職人・社員・仕事の確保が黒字経営につながるので、優良な人材の確保に腐心している。また下請け業者の職人の不足が当社にも影響が出始め、仕入単価の上昇が懸念される。

 2.建具工事

  • 住宅着工数自体は上がっているが、パワービルダーや大手の建売業者が中心。地場の工務店の受注は依然として低調となっている。また相見積りや入札の価格がかなり低下してきている。円安による燃料費の高騰を今後心配している。

3.土木・鉄筋工事

  • 鋼材単価が高騰し続けている。去年は落ち着いていたが、急激な仕入れ値上昇で、去年秋からの見積で今年受注した案件は、鋼材費の穴埋めの策がない。人手不足による手間代の値上げ交渉を続けてきて、適正価格に近づけてもらう様に努力してきたが、ここまで鋼材費が上昇すると意味がない。年度末から上半期にかけての受注は、鋼材仕入れや今後予想される応援単価上昇を考えると、大型物件や長期工程の案件は慎重になってしまう。

4.空調設備工事

  • 顧客が大手製造業からの単価値下げを受け、私たち設備業者の値下げ、および他業者の介入を余儀なくされている状態である。東北では人手や資材が不足し費用が高騰して一部の人間が恩恵を被っているようだが、政府やマスコミはその他大多数の零細企業のことを考えて欲しい。

5.設備工事

  • 公共事業の発注が、年度末に集中しすぎている。それゆえ今の時期は雇用の確保に必死となり、4月以降は何もない状態になってしまう。これでは正規採用も難しいし、今の時期になると従業員に負担も多くなり、会社を辞めてしまうと言う流れが毎年発生している。年間通じてコンスタントに発注する事の大切さ、意味を発注する側がもっと真剣に考えていただきたい。

6.リフォーム・改築工事

  • 地産地消と自分自身も推奨を考える半面、ネットで調べて安いものを購入する場合がある。これも、「背に腹は代えられない」という状態で、少しでも支出を抑えたいという現状がある。このままでは地域の衰退をも招きかねない状況で、廻り廻って自分の所に帰ってくる事をわかっているものの何ともならない。しかし、世の中は確実に地域が衰退する方向へ向かうので、それに沿った手だてを考えなくてはならない。

7.設計・施工管理

  • 製造業のお客様から数か月先の工事見積もりはあるが、近々の話が少ない。輸入材(木材やベニヤ)が入ってこなくなってきており、それが国際材にも波及し始めている。

8.内装工事

  • 中部地区の建設業は3年後には何も仕事が無くなると言われている。消費税導入による売価転嫁が難しい。近年下請業者の廃業と人手不足は当たり前になってきている。安い商品がインターネットで価格表示されて販売しているので、それを基準に値段が高いと言われることがある。

(2)製造業

●中小製造業のDI値は、経常利益・売上ともに悪化したものの2月業況判断は△17→△3と水面下ながら改善、次期見通しはいずれの指標も改善を示しています。しかしヒアリングや文章回答など詳細を見ると、むしろ厳しさの増幅が見られ危機として現状を認識すべきでしょう。

建材や看板など建設需要に関連する業界および食品関連の一部、また金型部品・治工具や機械設備関連の一部で業況感の改善が見られました。設備関連で改善した要因は、大企業の海外生産化が一巡した後の業況悪化から中堅中小企業がベトナムやインドネシアなどの東南アジアへ工場投資を始め中古機械や金型部品および附帯設備などを一式揃えて日本から持ち込んでいる影響のようです。顧客の海外生産化という声にあるように空洞化が急激に加速しています。また、円安による資材費高騰が転嫁できず利益を圧迫、生活費が上がっても中小企業の給与は上げられないという苦しい構造が深刻に訴えられています。大型補正予算や補助金等の施策利用も一助でありますが、圧倒的多数の中小零細製造業の廃業や空洞化を食い止める官民挙げた抜本的な政策改革が喫緊に求められています。 (事務局 加藤)

1.金属加工などの量産分野

  • 大企業から中堅中小企業の海外移管が加速。このままでは国内製造業はなくなってしまうのでは。
  • 円安差益で親会社は好転するが、中小企業では燃料費や輸入品の値上がりを価格転嫁できないため、さらに苦しい状況が続いていくと予想している。
  • 今年に入ってから受注が激減し先が見えない。客先から零細企業廃業の話がちらほら聞こえてくる。
  • 公共インフラばかり値上げされ余力のない中小企業は政府の愚策に苛立ちを覚える。実態は良くない。

2.樹脂加工などの量産分野

  • 円安で自動車メーカーの収益は上がったが下請にはコスト低減要請で恩恵は享受されない。周りの中小零細企業はバタバタと廃業している。アベノミクスで株価上昇や円安と浮かれている状況ではない。海外生産シフトへの規制や国内生産優遇策などを取らないと中小零細製造業の業況は改善されない。老朽化した設備の代替投資も困難になってきている。
  • 顧客の海外現地生産が加速し国内部品等の生産は減少。受注額が激減している。

3.鍍金、熱処理など

  • 足元は忙しいが基礎薬品など資材費高騰が先にすすみ利益を圧迫する。
  • 円安、株高は一時的。政府から経済団体への賃上げ要請があるようだが、社員の給料を上げたい気持ちは大企業以上にも関わらず大企業からの値下げ要請が予測される中で実際には非常に困難で厳しい。

4.治工具、設備関連、機械部品(金属・樹脂)、制御装置など

  • 中国向け設備関連顧客の業況が低迷。仕事があっても短納期で継続せず稼働変動で採算は悪化。
  • ベトナムやインドネシア等への工場投資向け金型附帯部品や設備が動いている。国内から設備や中古機械など一式揃えていく動き。5月までは続くが半年先は不明。国内量産品は今後激減するだろう。
  • 売価が上昇せず仕入が上がる。ガソリンも想定以上の上昇。インフレで給料を上げなければ社員が苦しむばかりで大手客先には社員の給料を上げたいと訴えている。インフレは大手ばかりが利益を確保し零細が泣くことが多々あるが、それではモノの価値を失っただけで終わってしまう。戦い続けましょう。
  • 太陽光発電設備関連市場の動きが大きいが継続性で設備人員投資判断が難しい。若手育成は重要課題。

5.印刷、特殊印刷、関連機材など

  • 紙媒体出荷量減少。業態改革なければ撤退余儀なしだが実施しても可ではない。昨11月から最低に。
  • 円安や株価上昇は中小企業には空手形の感覚。国は派遣社員制度を根本的に見直す必要がある。所得が上がらないと景気も良くならない。税制面など国の恩恵を受けている大企業がその責任を果たしていない。大企業に対する制度見直しをしないと本当の意味での構造改革にはならない。
  • 新しい引き合いは多いが技術的に非常に難しい案件や24時間回してもこなせない案件など。結局は細かい手間のかかる仕事が決まり忙しいが売上が上がらない悪い流れに。
  • 大企業向けの経済政策をやろうとしている。国内製造は今後も縮小。GNP上昇でもGDPは下がる。

6.食品、繊維、建材関係など

  • 円安による原材料仕入価格の上昇を価格に転嫁できない。低級品は好調で高級品は悪化するばかり。
  • 食品業界は最近特に地域の特色を出すことに注力が見られ、地域の特色を持った中小企業の活躍の場が増えてくると思うが単なるブームに終わらせないようにしたい。
  • 中国国内大気汚染に関係する染色工場などへ工業稼働規制が行われているため夏物入荷の遅れを覚悟。
  • 海外市場で戦う方針。海外製品との価格競争に対抗するためにはオールジャパンの製品供給しかない。
  • 輸入品の価格が大幅に上昇。先高感で売り惜しみ等の噂も聞く。日本全体が安くなければ売れない症候群になって付加価値が評価されないため価格転嫁は慎重な判断が求められる。入札案件も遅い動き。

(3)流通業

●今月の業況判断DIは△1→4で5ポイント改善、経常利益DIは2→2、前年同月比の売上高は△12→△11と1ポイント増加しました。仕入価格DIは18→33と15ポイント上昇、販売価格DIも△14→△1と13ポイント上昇しましたが、仕入価格と販売価格のDI値差は前回調査より2ポイント拡大しています。仕入価格上昇の要因には、為替の急激な変動があげられ、「円安による外材の輸入単価の著しい上昇を予測し、大手業者が買占め、思うように仕入れができない(住宅資材)」「円安、途上国からの仕入価格の上昇で原価が急激に上昇しているが、販売価格に転嫁しづらい(造園材)」「物流業界の実態は年明けから悪化。特に円安の影響で原油価格が急上昇したが、運賃の見直しにはつながらない(運送業)」等、経営への圧迫が懸念されています。

次期見通しは、売上高DI△21→5、経常利益DI△2→10、業況判断DI△7→19と大幅に改善していますが、ゼネコンや太陽光関連の工事で一部動きがある他は、三指標ともよいと回答した企業でも、経費の縮小、新規受注の減少、消費税増税など先行き懸念の記述が多々見受けられました。 (事務局 岩附)

1.繊維・衣服等

  • 急激に円安になり、輸入商材の仕入価格が想定よりも大きく上がり、収益を圧迫することが予測できる。また、円安傾向が続くため、次シーズンの輸入物の価格設定が難しい。
  • 政府は従業員の給与アップを簡単に唱えているが、上げたいのはやまやまでも、先を考えると本当にあげてよいのかわからない。

2.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • 巷の円安、株高はまだ実体経済には影響がない。昨年11月ごろから特に動きが悪い。先行きに関しては、海外子会社は忙しいが、日本は売り上げが伸びず苦労している。日本から海外へ応援に出すと、国内の商売がおろそかになり、それが今後響いてきそうだ。
  • ガソリンの値上げなど、足元の条件は悪くなっていることも多く、その対策がなされるかどうか。マスコミ報道の景気実感がないのは毎度のことだが、このままの状態で消費税が上がるのは大変心配だ。設備の引き合いが増えてはいるが、補修、更新が多く、それも4月以降の話が多い。
  • 最近円安が影響し、銅相場が上昇して電線価格がどんどん上昇している。まだ、価格が転嫁できているが在庫の上積みが在庫金額を跳ね上げる。お客様がその先にどう価格転嫁できるかが心配である。

 3.建築資材、家具、什器

  • 住宅関連では、来年の消費増税による駆け込み需要、アベノミクス効果による市況の好感、円安、株高など、まわりの環境は以前に比べ、かなり良いと思うが、名古屋では全般的に悪く、1月はサッシメーカーの出荷も悪かった。なかなか先の見えない状況で不安。
  • 円安により仕入価格が大幅に上昇している。全てを価格転稼できればよいが、あまりに急激な為替変動の為できていない。当月は値上げを予想しての駆け込み発注が多いが、実需はあまり良くない。周りを見ながら恐る恐る値上げをしていかざるを得ない。
  • 取引先の事業の縮小と設備機器の買い控えが増えている。

4.運輸、情報通信

  • リーマンショックの際、直前の原油高騰で値上げした業者が値上げしなかった業者へ荷物が流れ、各社が先頭をきって値上げできない。荷動きも1月から停滞気味で、個人消費の冷え込みを実感している。4月以降も苦戦が予想される。
  • 最近は同業の企業から仕事を求めての接触が増加傾向にあり、市場が部分的ではあるが縮んでいることを窺わせる。今後のIT、ソフト開発はこれまでとは異なるアプローチを目指す必要があるが、近々で売り上げに結び付くものはまだ明確でなく、各社がしのぎを削り維持を目指す時期がしばらく続くとみられる。

5.不動産、保険

  • 個人の第一次住宅取得者を主な顧客層とし、住宅用地を販売している。昨年からの売り残しが完売するなど、販売面では好調な一方で新たな仕入れができないが、消費税増税の実質的な影響が始まる今年9月を見据え、無理はできず、先行きの見通しは明るくない。
  • 保険会社の代理店に対する手数料引き下げによるダメージが大きい。業務は多忙化し代理店にかかる負担や経費はどんどん増えていくが、手数料の削減により人を雇い入れることもできない。保険料の増加によるお客様への負担が増え、そのしわ寄せもすべて代理店で受けるような仕組みに問題がある。

(4)サービス業

●2月の業況判断DIは10から23と大きく改善となりましたが、経常利益DIは18のままで横ばいでした。燃料を始めとする原材料費の上昇が仕入価格に反映し、仕入価格DIは9から18と「上昇」超過幅が大幅に拡大しています。過去の消費税増税時に、価格を値上げしたら客足が止まるという経験をしているので、少しずつ前倒しでの価格改定を図っているようです。それでも販売価格DIは△17から△9と「低下」超過幅の縮小にとどまっています。株高・円安が進展しても、殆どの顧客は株式投資しない一般市民であり内需型企業のサービス業では、一般消費者の収入が上がらなければ売上に繋がらずその効果はありません。資金繰りDIは△30から△23と「窮屈」超過幅が縮小していますが、金融機関が海外の設備投資支援に注力する中、日頃から「経営指針書」を提示し常に進捗を報告して信頼関係を培っていくことが必要です。経営の力点は、新規受注の確保61%、付加価値の増大55%で、「他社にないコアな技術・サービスを創りあげる」「ターゲットの絞り込み」「専門性・得意分野を打ち出す」等、「自社のたてた方針戦略と計画を確実に実行、だめなら検証しやり直す、これを継続しつづける」との回答が寄せられています。 (事務局 浅井)

1.飲食関連

  • 円安株高が進み景況感は上がりつつあるが、外食産業は円安による輸入食材高騰や輸入飼料高騰による国産畜産物の仕入れ値上昇が避けられないとの見通しである。

2.生活・健康・美容関連

  • 健康業界は成長分野と言われているが、健康といっても顧客の求めることはさまざまで、ターゲットの絞り込みと専門性や得意分野を打ち出し、経営資源を集中させているところは勝ち組になりつつある。それらを打ち出せないでいるところは価格競争に飲まれ負け組になることが予想される。
  • 婚礼業界の変化に対応しBtoC戦略に力を入れ、自社オリジナル商品(オンリーワン)の強化を計っている。ホテル・ゲストハウス・式場の婚礼件数が変動している現状を踏まえ、業績良好な取引先への新規アプローチと、東海地方以外にも代理店を増やすとともに、ソーシャルネットに力を入れる。

3.印刷・広告関連

  • 先の不景気により値下げしてきた販売価格の値上げ要請をしなければと思案しているが、一度下げた価格を上げるのは簡単ではない。
  • 値下げ要請に歯止めを掛け、採算性の悪い仕事は断るようにしている。残っていくには、他社にないコアな技術・サービスをつくりあげていくしかない。
  • 弊社での広告発注量も増えており、依頼される広告の多くが新規事業と新規サービスの立ち上げ広告であることを考えると、「景気上昇」に期待している雰囲気は否めないが、競合他社との価格勝負ありきとなっているので、体力勝負に拍車がかかっている。
  • いいところもあれば悪いところもあり、景況感はよくわからない。周りがどうのこうの言う前に、自社のたてた方針戦略と計画を確実に実行していくしかない。だめなら検証しやり直す。これを継続しつづけるしかない。

4.自動車関連サービス

  • 自動車板金塗装をしているが、若者の自動車離れが深刻で「維持費が高い、興味が無い、運転が楽しくない、公共機関の方が便利、レンタカーでいい」等の理由から明らかに車の需要が無くなっている。今後の日本を背負っていくだろう若者の物欲の無さが、経済効果をマイナスに進めていくようで心配。
  • 同業で世代交代や後継者育成がうまくいかず、廃業する会社が増えてきているように思う。

5.ビジネス支援サービス

  • 景気低迷による取引先の倒産、新規参入者の増加による値下げ競争での利益率低下が顕著である。他社にない付加価値を提供し、価格競争に巻き込まれない経営をしていかないと生き残れない。
  • 士業は全般的に厳しい状況に突入しいよいよ倒産淘汰の時代に入った。国内の士業が、海外の士業の支店(支配下)になる動きもみられる。
  • 昨年10月の「日雇い派遣原則禁止」により、企業側だけでなく働く労働者側まで困惑している声をよく耳にする。さらに行政担当者によっても見解が違う派遣法は、現在の社会情勢を反映していないことの表れではないか。