景況調査

第80号-2013年11月
建設主導で景況大幅改善も、増税後の反動に不安高まる

【概況】

【業況判断】 今月の状況、建設業でこれまでの最高値

【売上高】【経常利益】 売上高、前年同月比が全業種で「増加」超過に。経常利益、サービス業を除き改善

【在庫】 両業種で「過剰」超過幅縮小

【取引条件】 前年同月比、建設業が2012年8月調査以来の「好転」超過に

【資金繰り】 今月の状況、次期見通しともに横ばいで推移

【設備過不足】【施設稼働率】 設備過不足、建設業で高い不足感。施設稼働率、前年同月比で1年半ぶりの「上昇」超過

【雇用】 今月の状況、回答企業の半数が「不足」と回答

【価格変動】 仕入価格、大きな変化見られず。 販売価格、約5年ぶりの「上昇」超過

【借入金利】 短期・長期ともに大きな変化なし

【経営上の力点など】 経営上の問題点、「民間需要の停滞」を抜いて「従業員の不足」が第1位に

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:540KB)


【概況】

業況が「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は前回調査の16から18ポイント改善して34となりました。これは「良い」と回答した企業が12%増加したことに加え、「悪い」と回答した企業が6%減少したことによります。これで4期連続の改善、そして1994年の調査開始以来2番目に高い値となりました。前年同月比も5から20と15ポイント、次期見通しも27から34と7ポイント改善しています。変動幅が小さかった前回調査から一転して、今回は大幅な改善となりました。

しかし、ヒアリング調査では、この改善が依然として一部の業種・業界(建設業と自動車関連企業)に牽引されていることが明らかになりました。前回に引き続き大幅改善となった建設業からは、こなしきれないほどの官公需、民需では消費税増税前の駆け込み需要によるマンション・戸建て住宅の建設や物流倉庫の建設の増加がその要因としてあげられました。62という調査開始以来の高い業況判断DI値からも明らかなように、建設業では近年ない活況を呈しているようです。先行きについてもしばらくは「この状態が続く」という予想が大半でしたが、以前から繰り返し指摘されている人手不足がさらに深刻化するであろうこと、また増税後の反動減がどれほどの影響を及ぼすのかまだ予想できないことから、来春以降は決して楽観視できないとの指摘もありました。

製造業では、自動車関連企業から繁忙であるとの声が聞かれました。要因としては、こちらも増税前の駆け込み需要に向けた「作り込み」があげられましたが、その恩恵を受けているのは下請け企業のなかでも一定以上の規模をもつ企業に限られるとのことでした。なお、建設業・製造業での業況の改善がサービス業へ波及していることを指摘する声は今回も聞かれませんでした。

このように愛知景気の現状は、「DI値的」には大きく上振れしていますが、内容的には公共投資や増税前の駆け込み需要への依存が強くなってきており、来年4月以降の「駆け込み需要の喪失」や「財政政策の変化」によって景気が大きく下振れする可能性は小さくはありません。今回調査の「文書回答」の中にも、来春以降の悪化を不安視する声が多数見られました。また、消費増税に加えて、最近の円安の進展によるコスト上昇懸念も高まっており、中小企業の利益圧迫は今後ますます大きくなると思われます。「山高ければ、谷深し」――大幅な景気変動を踏まえた経営計画をたてることが重要といえます。

[調査要項]
 1.調査日   2013年11月18日~11月29日
 2.対象企業 愛知中小企業家同友会会員企業
 3.調査方法 会員専用サイト「あいどる」(一部FAX)にて配信、自計記入、回収
 4.回答企業 3,313社より、916社の回答を得た(回収率27.6%)
   (建設業158社、製造業238社、流通業272社、サービス業248社)
 5.平均従業員 26.5名(中央値 9名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行立教大学教授)での検討を経てなされたものである。

【業況判断】
今月の状況、建設業でこれまでの最高値

「今月の状況」DIは前回の16から18ポイント改善して34と調査開始以来、2番目に高い値となった。これで4期連続の改善で、約半数の企業が「良い」と回答している。業種別では、建設業が43から62と19ポイント、製造業が13から39と26ポイント、流通業が3から25と22ポイント、サービス業が16から21と5ポイントの改善となり、サービス業を除いた3業種で大幅な改善となった。建設業の62という数値は1994年2月の調査開始以来、最高値となっており、回答した企業の3分の2が「良い」と回答するに至っている。前年同月比も前回の5から20と15ポイントの改善となり、4期連続の改善である。業種別でみると、建設業が31から44と13ポイント、製造業が△10から22と32ポイント、流通業が△3から14と17ポイント改善した。全業種で「好転」超過となったが、サービス業だけは前回の12から4ポイント悪化して8となっている。3ヶ月先の次期見通しも前回の27から7ポイント改善して34となった。業種別でみると、建設業が46から50と4ポイント、製造業が26から37と11ポイント、流通業が19から32と13ポイント改善したが、サービス業だけは24から23と横ばいで推移した。

業況推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

業況推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【売上高】【経常利益】
売上高、前年同月比が全業種で「増加」超過に
経常利益、サービス業を除き改善

売上高DI(前年同月比)は前回の3から17ポイント改善して20となった。これで3期連続の改善である。業種別で見ると、建設業が21から42と21ポイント、製造業が△14から19と33ポイント、流通業が△3から21と24ポイント改善した。サービス業は17から7と10ポイント悪化したが、2012年8月調査以来の全業種における「増加」超過となっている。次期見通しも前回調査の17から23と6ポイント改善した。これで4期連続の見通し改善である。業種別では建設業が29から33と4ポイント、製造業が14から24と10ポイント、流通業が20から29と9ポイントそれぞれ見通しを改善させた。サービス業(8→10)は横ばいでの推移となった。

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の10から22と12ポイント改善した。業種別では、建設業が23から48と25ポイント、製造業が10から21と11ポイント、流通業が△1から16と17ポイント改善したが、サービス業だけは(14)と前回から変化がなかった。前年同月比も前回の0から11ポイント改善して11となった。これで3期連続の改善である。業種別でみると、建設業が15から32と17ポイント、製造業が△12から13と25ポイント、流通業が△5から8と13ポイント改善したが、サービス業だけは8から1と7ポイントの悪化となった。次期見通しは前回の21から22と横ばいでの推移となった。業種別でみると、建設業は26から35と9ポイントの見通し改善となったが、製造業(22→23)・流通業(21→19)・サービス業(15→17)では変化が見られなかった。

売上高推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

売上高推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【在庫】
両業種で「過剰」超過幅縮小

今月の状況DIは、前回調査の17から9ポイント「過剰」超過幅が縮小して8となった。業種別でみても、製造業が15から4と11ポイント、流通が18から13と5ポイントの「過剰」超過幅縮小となった。前年同月比は前回の9から1と8ポイントの「増加」超過幅縮小となった。業種別でみても、製造業(8→2)・流通業(10→0)ともに「増加」超過幅縮小となっている。次期見通しも前回の11から7と4ポイントの「過剰」超過幅縮小となっている。業種別でみると、製造業(11→9)の見通しは横ばいで推移したが、流通業(10→4)は「過剰」見通しの超過幅が縮小した。

【取引条件】
前年同月比、建設業が2012年8月調査以来の「好転」超過に

前年同月比DIは前回の△8から△5と3ポイントの「悪化」超過幅縮小となった。業種別でみると、建設業(△4→2)が2012年8月調査以来の「好転」超過となった。サービス業(△6→△2)は「悪化」超過幅が縮小した。製造業(△10→△8)と流通業(△11→△9)は横ばいで推移した。次期見通しは前回の△5から△3と大きな変化は見られなかった。業種別でみると、建設業(3→0)は「好転」見通しの超過幅が縮小した。製造業(△6→△3)・流通業(△9→△5)・サービス業(△6→△3)では「悪化」見通しの超過幅が縮小した。

【資金繰り】
今月の状況、次期見通しともに横ばいで推移

今月の状況DIは前回の△27から△28と横ばいで推移した。業種別でみると、建設業(△31→△27)で「窮屈」超過幅が縮小したが、反対にサービス業(△23→△32)では拡大した。サービス業はこれで2期連続の超過幅拡大である。製造業(△27→△25)・流通業(△26→△27)は大きな変化が見られなかった。次期見通しも前回調査の△25から△27と横ばいでの推移となっている。業種別では、建設業(△25→△29)で「窮屈」見通しの超過幅が拡大したが、製造業(△24→△26)・流通業(△26→△25)・サービス業(△27→△29)ではわずかな変化にとどまった。

【設備過不足】【施設稼働率】
設備過不足、建設業で高い不足感
施設稼働率、前年同月比で1年半ぶりの「上昇」超過

設備過不足DI(今月の状況)は前回調査の△10から7ポイント「不足」超過幅が拡大した△17となった。業種別では、建設業(△24→△30)・製造業(2→△15)・流通業(△10→△14)において「不足」超過幅が拡大した。サービス業(△12→△14)だけは横ばいで推移した。次期見通しも前回の△9から△17と8ポイントの「不足」超過幅の拡大となった。業種別でみると、建設業(△22→△28)・製造業(3→△13)・流通業(△9→△15)において「不足」見通しの過剰幅が拡大したが、サービス業(△13→△15)は横ばいでの推移となっている。

施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の△6から13と、2012年5月調査以来の「上昇」超過となった。業種別でみても、製造業(△6→21)・流通業(△6→4)と両業種で「上昇」超過に転じた。次期見通しは前回の2から8ポイント「上昇」超過幅が拡大して10となった。業種別でみても、製造業(3→13)・流通業(1→6)と両業種で「上昇」見通しの超過幅が拡大した。

【雇用】
今月の状況、回答企業の半数が「不足」と回答

今月の状況DIは前回の△29から10ポイント「不足」超過幅が拡大して△39となった。「不足」と回答した企業は半数にのぼっている。業種別で見ると、建設業(△57→△64)・製造業(△16→△36)・流通業(△25→△35)で「不足」超過幅が拡大した。中でも建設業における不足感は著しく、3分の2の企業が「不足」と回答している。サービス業(△27→△29)は横ばいで推移した。次期見通しでも前回調査の△28から5ポイント「不足」見通しの超過幅が拡大して△33となった。これで4期連続の拡大である。業種別では、製造業(△13→△26)・流通業(△26→△31)は「不足」見通しの超過幅を拡大させたが、建設業(△55→△54)・サービス業(△27→△27)の見通しは横ばいで推移している。

【価格変動】
仕入価格、大きな変化見られず
販売価格、約5年ぶりの「上昇」超過

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回調査の40から変化がなかった。業種別でみても、建設業(53→50)・製造業(44→46)・流通業(38→41)・サービス業(27→25)と全業種で大きな変化は見られなかった。前年同月比も前回の41から変化がなかった。業種別では、建設業(57→49)において「上昇」超過幅が縮小したが、製造業(48→52)においては反対に拡大した。流通業(38→37)・サービス業(23→25)は横ばいでの推移となった。次期見通しは前回の37から4ポイント「上昇」超過幅が縮小して33となった。業種別でみると、建設業(46→42)・製造業(43→40)・流通業(38→31)で「上昇」見通しの超過幅が縮小したが、サービス業(19→22)は拡大した。

販売価格変動DI(今月の状況)は前回の△3から2となった。2008年8月調査以来の「上昇」超過である。業種別でみると、建設業(7→15)は「上昇」超過幅が拡大し、製造業(△14→△8)・サービス業(△8→0)では「低下」超過幅が縮小した。流通業(6)は前回調査から変化がなかった。前年同月比も前回の△2から3と2008年8月調査以来の「上昇」超過となった。業種別でみても、建設業(8→14)で「上昇」超過幅が拡大し、製造業(△17→△9)・サービス業(△5→0)で「低下」超過幅が縮小した。流通業(8→9)は横ばいで推移した。次期見通しは前回の4から6となった。見通しの上昇傾向は4期連続である。業種別でみると、建設業(13→15)は横ばいで推移したが、流通業(14→10)は「上昇」超過幅が縮小した。サービス業(△3→4)は「上昇」超過に転じ、製造業(△7→△2)は「低下」超過幅が縮小した。

【借入金利】
短期・長期ともに大きな変化なし

短期借入金利DIは前回調査の△2から変化がなかった。業種別でみると、建設業(△1→2)で「上昇」超過に転じたが、サービス業(1→△2)は「低下」超過に転じた。流通業(△6→△3)は「低下」超過幅が縮小したが、製造業(△2→△4)は横ばいで推移した。

長期借入金利DIは前回の△2から△4と横ばいで推移した。業種別でみると、建設業(△2→0)・流通業(△2→△3)では大きな変化は見られなかったが、製造業(△5→△8)・サービス業(△1→△5)では「低下」超過幅が拡大した。

【経営上の力点など】
経営上の問題点、「民間需要の停滞」を抜いて「従業員の不足」が第1位に

全業種で見た経営上の問題点は、第1位が「従業員の不足」(32%)であった。長らく第1位であった「民間需要の停滞」と「仕入単価の上昇」(25%)が同率で第2位となっている。業種別で特徴があったのは、建設業で「下請業者の確保難」(48%)が第1位に、サービス業で「新規参入者の増加」(35%)が第2位になったことである。文書回答では「電気料金の値上げ」や「短納期」、「円安による輸入商品の価格上昇」などがあった。

全業種における経営上の力点は「新規受注(顧客)の確保」(58%)、「付加価値の増大」(57%)、「社員教育」(30%)が上位を占め、前回から変化がない。文書回答では「来年の消費税増税後の仕事の確保」や「海外進出」などがあった。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●業況判断DIの「今月の状況」は43→62、「次期見通し」46→50、「前年同月比」31→44、経常利益DIでも「今月の状況」23→48、「次期見通し」26→35、「前年同月比」15→32と、いづれも調査始まって以来、20年間で最も好調な数値を示しています。

反面、仕入価格DI「今月の状況」が45→53→50と、3期連続して原材料の値上がりの継続傾向が見られます。極めて深刻なのが人手不足で、雇用動向DI「今月の状況」は△64と異常な数値が出ており、こちらは過去最悪の状態です。

愛知県でも公共事業など入札が成立しない「不調」が相次いでいるようです。人材調達難と資材・労務価格の高騰のため、仕事を受注できないようです。前政権も安倍政権も公共事業の予算を増加させ、さらに消費税増税前の駆け込み需要もあいまって、建設業界は常軌を逸しています。先行き不安のため社員の雇用も増やせず、「怪しさを含む活況」であり、冷静な判断が求められます。 (事務局 八田)

1.総合建築

  • 大手ゼネコンの案件は一次業者が人手不足で受注困難な状態。弊社は二次請負で受注したが、弊社の直接(一次)の案件より単価が高い傾向にある。案件が急増し、請負業者不足(人材不足)になり、単価が急騰する流れ。手間単価は上昇したが、本来の適正価格に戻っただけである。若い人材雇用・教育はこれからの重要な建築業界の重要な課題といえる。

2.土木・鉄筋

  • 技能工不足が徐々に深くなり、価格や賃金体系が異常から正常に、非常識から常識範囲に戻りつつある。決して良くなったとは言い難いが、将来的には僅かな希望を感じる。5年前から比べると技能工数が約半分に減少し、受注量が当時の60%になるだけで深刻な人手不足になってしまう。果たして本物の好景気になっていくのか、冷静な判断が必要である。

3.建材設備

  • 職人不足が顕著になっており、条件の良いところや将来性を考慮して、仕事の優先順位をつけている。現場を途中で投げ出す職方などもおり、元請け会社は今までの付き合い方や関係づくりが、今まさに問われている。仕事はあるのに、現場は進まず、お金が入ってこない。こういう状況になると、場当たりでなく計画的に自社の社員を採用し教育してきた会社が、強みを発揮できると感じる。

4.設計・施工管理

  • 増税が決定してから、半年・1年後の大型物件が急に動き始めた。下請け業者確保が困難になりつつある中でも、引き合いが後を絶たず選別が必要になっている。一方で4月以降の落ち込みが懸念されるので、その次の増税(プラス2%)でまた駆け込みあるか。今期の売上は確保できそうだが、駆け込み後の落ち込みの不安はつきない。また、3月から4月での仕入れにかかる消費税の取り扱いが難しい。

5.内装、リフォーム

  • 業界は依然として人手不足は解消できない。今後は更に熟練工も少なくなり、若手人材も少なくなってくるので、海外の人材も含めて教育する体制が必要になってくる。顧客の飲食業は円安によりコストが上昇しているが、販売価格に転嫁できないため、営業利益が圧迫される。このままでは中小企業は一向に良くなる気配はない。大手企業と中小零細の税負担が同じというところを、もう少し行政が主導で考慮して欲しい。

6.電気設備

  • 建設業法の改正や行政の対策が、現状を理解しておらず逆に雇用困難な状況を招いていると感じる。公共工事において平成29年度より社会保険未加入業者は仕事ができないようになる。社会保険等法定福利費が支払われているか、元請けより徹底すると国土交通省はいうが現実は何も変わっていない。

7.給排水設備

  • 社員の引き抜きが凄く増えている。大手企業は年配社員をリストラしたため、技術力が追い付かず、中小企業の30歳前後の社員を狙うようだ。また現場監督が不足しているので、ネットで驚くほどの高額な給料を提示して、とにかく人を揃えようとする動きがある。

8.建築設計

  • 仕事は溢れるほどあるが、仕事が終わっても工事が始まらないので、設計料を払ってもらえない。これは、建築費の異常な高騰で、施主の計画より予算がオーバーになるため。消費税の駆け込みはリフォームが多いと感じる。普通コストが高い時は、出口(完成物件)も高くなるが、家賃も上がらないし、モデルルームも値段が付けられないという、つじつまのあわない不気味な状態である。

(2)製造業

●主要指標DI値はすべて水面上で大きな改善を示しましたが、実情は決して予断を許さず注意深く状況を見ていく必要があるようです。

駆け込み需要増、消費税増税後の反動、資材価格上昇と値下げ要請、設備・人材など投資判断や給与対策への課題、薄利化の傾向など、厳しい実態を表明する声が文章回答に多くありました。

大型補正予算、復興需要、消費税駆け込み需要などが一気に集中し、仕事は全般に拡がっている状況が見られますが格差継続、先行きへの警戒感は強まり多くの問題を孕んでいるといえます。

印刷関連や半導体関連および大手国内設備投資では、いまだ厳しさが見られますが、ものづくり補助金など細かな設備は出ているようです。現在、仕事量が少ない企業は周囲を見渡しながら客先動向の分析や営業先の見直し、自社のポジションや仕事のあり方などの検討がまず必要かもしれません。

経営上の問題点は、「仕入単価上昇」「民間需要停滞」「値下げ要請」の順となりました。 (事務局・加藤)

1.金属・樹脂量産部品

  • 消費税前に駆け込み需要が大きいため4月以降の売上落ち込みを心配する。
  • アベノミクス効果で大企業は未曽有の収益を上げているが、我々中小企業には恩恵があまり無い。海外現地調達の流れや値下げ要請は果てしなく続き、景気が上向いている実感が無い。今後消費税増税による景気にも不安があり、どの方向へ舵を切るべきか。来年は正念場の年となりそうだ。
  • 今は割と良い業種が多いが消費税増税後に一段落あるという話題。設備や人材などの計画が立て難い。
  • 10月までは自動車関連の受注増が11月は一服感。消費税増税までの駆け込み需要予測が難しい。
  • 忙しくはなっているがコストダウンで値段もかなり下がっていて利益が出にくい。

2.鍍金・表面処理

  • 電気料金値上げによるコスト上昇負担が大きそうで利益確保が難しい状況になってしまう。
  • 電気代値上げが大きく影響してくるが価格転嫁ができないため利益を圧迫する。

3.金型、治工具、設備・機械部品

  • 短納期化で大手決算前までは新規案件が出ず、動き出すと一斉に出るため仕事が回らないのが課題。
  • 勝ち組、負け組が顕著になって1年以上続くが少しずつ仕事が回り出している感。消費税増税の影響と海外の景気動向が危惧される。リーマンショック後の短納期化がこの数カ月は更に加速し深刻な問題。
  • 経済上向きの報道が喧伝されるが小規模企業にその実態感がない。指標統計の取り方に問題はないか。
  • ここ2ケ月バタついているが1年後が見えない。消費税増税で賃上げすべきだが出来るか決めかねる。

4.専用機械、装置、ロボット

  • 受注量は確かに増えているが、大手調達部署からリピート品は価格協力をという不明な攻勢と仕入価格上昇の追い打ち。消費税増税による給与アップをどう組み込むか、VE・VAなど社員と一緒に取り組み、設備促進と製品開発を大きな課題として勝負に出なければ生き残ることはできない。
  • 同規模、同業者同士の価格競争と販売先からの値下げ要求で受注価格が下がり薄利となっている。
  • アジアでの現地法人立上げ最終検討に入る。

5.半導体関連、その設備機械部品など

  • 円安傾向だが国内に受注は戻ってきておらず、国内を主軸とした事業展開が非常に難しくなっている。為替差益で数字は良く出るが成長性では国内開発費用が国内に落ちない構図になりつつある。
  • やや明るい兆し感だが、変動が繰り返され景況感が掴めない。消費税増税の反動を吸収できそうにない。

6.印刷、特殊印刷

  • 印刷業界だけが取り残されている感。消費税増税に対する一般消費動向は遅く景況感は大変厳しい。
  • 大口取引先廃業の噂だが実態が掴めず気持ちは焦るばかり。受発注や問い合わせの動きも悪く市場ニーズがなくなってしまったのではと考えてしまうぐらい。
  • 納期でバタバタするが数字は少ない。紙の値上げ要請が2度もあり15%上昇。価格転嫁は難しい。
  • 品質の厳しい仕事が多くなり不良率が上昇。不良対策が急務だがなかなか一筋縄ではいかない。

7.家具・建設器材、繊維、食品関連

  • 東京オリンピック開催決定後からリース関連が動き何とか前年増レベルに。需要増を予測するがトラックと人手の不足から物流が滞る危険性を憂慮している。
  • 公共事業関連の補正予算増加と復興需要などで過去最高売上を3ケ月連続更新。
  • 仕事増でも小型物件で売上利益とも少ない。暇な時の様に頼めばすぐ出来ると思われこなすのが必死。
  • 消費増税に向け3月まで受注は例年になく過剰。業界全般の生産計画は未定のメーカーもある。
  • 消費動向は少し改善感だが増税後の対策が必要。世界的な異常気象で農産物の価格がかなり上昇。

(3)流通業

●今月の業況判断DIは3→25、経常利益DIは△1→16、前年同月比の売上高DIは△3→21、経常利益は△5→8、次期見通しの売上高DIは20→29、業況判断19→32と大幅に改善しました。その背景には、建設関連で鉄鋼建材類が活況であること、自動車関連の駆け込み需要などがありますが、一方で、消費増税後の動向、取引先の倒産廃業、来年からの電気料金値上等、先行きを懸念する回答も多く見られます。

次期見通しの経常利益は、全業種のうち流通業のみ21→19と減少しました。減少の内訳は、「トントン」が「黒字」と「赤字」に分散し、「赤字」と回答した企業からは、「仕入価格の異常な上昇傾向で収益圧迫(飲食料品)、消費増税後は受注が全く見込めない(工作機械)、消費増税発表で消費マインドが大きく低下(貴金属)」等があげられました。前回調査で縮小した仕入価格と販売価格のDI差は今回再び3ポイント拡大、記述回答からも消費増税時の対策が急がれます。 (事務局 岩附)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • 自動車関連は9月以降急速に動きがよくなり、昨年レベルにようやく追いついた。来年4月からは自動車生産が落ちるので10月からの半年でどこまで伸ばせるか。タイ、インドネシアは相変わらず好調。景況は少し落ち着いているようだが、設備投資の計画はそのまま動いている。
  • 来年4月の消費税8%に向けて、自動車生産は駆け込み需要で堅調に推移している分、増税後の需要落ち込みが心配である。日本国内の需要が縮小する中で、付加価値向上と海外市場への新規進出の二本柱で会社の成長・発展を目指す。
  • 大企業、大企業に依存している下請け企業の景気観が、マスメディアで宣伝されることによって、景気がよくなっているように誤解されていると思う。実際には、目標や希望が見えず、国内の景気は良くない。海外市場は、混沌としてよくわからない。
  • 増税後、客先である製造業は、倒産・廃業が一年間で25%との統計もある。

2.建築資材、家具

  • 現状は駆け込み需要で仕事は多くあるが、消費増税の影響が心配。住宅着工の減少が予想されるので対策が必要だ。
  • 中小零細企業にも徐々に仕事の増加傾向が出ているが、取引先の倒産・廃業もあるため、危機感は減っていない。来年からの電気料金の値上げによる製造業(お客様)の経費圧迫が非常に懸念される。
  • 顧客が低価格に慣れてしまい、製品の質、持久性より目先の値段を重視される。

3.飲食料品

  • 近年まれに見る仕入相場上昇の差分を、販売価格に転嫁できていない。この状況がいつまで続くか不安であり、かつ、上げが止まらない。
  • 業界が内税方式の為、消費税増税後の値上げがスムーズにできるかが課題。その時、実質値下げをし、顧客の奪い合いがおきると予想される。
  • 政策の影響で、仕入れ価格が異常な上昇傾向にある。この価格高騰を売価に反映することが厳しく、収益を圧迫する要因となっている。マクロ的政策と実社会とのギャップが非常に大きい。

4.運輸、情報通信

  • 極端な人材不足に付随し、大手路線会社も路線便の集約等から、受け付ける荷物の大幅な調整を行っており、今後運送費が安価な場合や遠方への荷物は、受注しない方向へと方針を固めている。中小零細の製造メーカは運送費の高騰も重なり大変厳しい時代へ突入すると思われる。
  • 競争の激化にて価格(運賃)が昔と比べて下がっているのに経費が全般的に高騰している。今後は人材の確保が必須課題であるが、業界に魅力がなくなっているので困難。全体的に荷量は増えている感触はあるが、車両の絶対量が激減している為、協力店を探すのがたいへんである。
  • IT系人材の不足による新人教育の必要性を迫られている。新卒や新人教育に対しての助成金を期待する。

5.不動産、保険

  • 不動産業界では、実質的に消費税が上がった。注文住宅の業界では、思うほど需要が盛り上がらなかった一方で反動減はしっかりと来ている。
  • 保険料の値上げ、代理店手数料の激減、業務の煩雑化により代理店を少なくしていく動きはさらに激化。合併吸収がさらに進む。

(4)サービス業

●「今月の状況」は、業況判断DIは16→21と5ポイント上昇、経常利益DIは14→14と横ばいで、いずれも2ケタの上昇を示した他の3業種とは異なる結果となりましたが、対法人向け・専門サービスの経常利益DIは18→22で、2011年2月調査より前回をのぞき毎回上昇しています。一方、対個人向けサービス業の経常利益DIは、上昇と下降を繰り返しながら前回から2期連続で悪化し4→△7、資金繰りDIは△29→△48で、56%が「窮屈」と回答しています。サービス業全体の資金繰りDIは△23→△32と「窮屈」超過幅が2期連続で拡大しました。

「中小企業労働者が多い愛知県では、そこの所得が上がらないとサービス業まで回らない」「二極化が拡大している」との声もあります。「次期見通し」は改善を予測しつつも売上高DIが8→10、経常利益DIが15→17と2ポイント上昇にとどまる中、資金繰りDIは△27→△29と悪化を予想しています。経営の問題点は、(1)従業員の不足36%、(2)新規参入者の増加35%、(3)取引先の減少29%で、経営上の力点は先回に引き続き、(1)新規受注の確保61%、(2)付加価値の増大55%、(3)人材確保30%でした。 (事務局 浅井)

1.飲食関連

  • 周りの飲食業関係者の話ではあまり景気がよくないと言うが、接待向けの需要はかなり増えており、その事から日本経済全体的に景気が良くなっていると感じている。
  • 極端な安売り系の居酒屋形態は、一部を除き終息した感がある。大手外食業の安心感が、昨今の偽装表示により若干薄らいだ気がする。

2.生活・健康・美容関連

  • 消費税の駆け込み需要と季節変動で、今迄に無いくらい忙しい秋だったが、現場が重なり利益率が減少した。消費税アップ後の市場の冷え込みを心配している。

3.印刷・広告関連

  • クライアントや新規に依頼して頂ける方の積極性がそのまま弊社の業況となり、弊社を取り巻くクライアントや環境を見ると、震災前後と比較してもかなりポジティブに事業展開されていると思われる。
  • 新聞紙上では景気の良い話が出ているが、広告宣伝費への予算は低いままで上向いてこないのが現状で、来年の消費税アップにおける影響も心配である。

4.自動車関連サービス

  • 現状の景況は良好だが、近い将来到来するであろう下降期を念頭に、慎重に対応している。
  • 近年の若者の車離れは深刻的状況で、この先の車業界の国内需要は下がる一方かと思う。中古車業界はジリ貧状態が続き、買い替えサイクルの多年化が拍車をかけて大手の一人勝ち状態になって行く感がある。政府が自動車保険を見直さないと車離れは加速し、レンタカー時代に突入の気配がする。
  • 消費税増税が早々と決まったが、自動車に関してはその他税金も課せられており、変更があるのかないのか結論が出ない状況が続いている。同じ税金なのに扱いが違うことに不満を感じている。

5.ビジネス支援サービス

  • 消費税8%への値上げは早すぎる。景気が良くなっているとはまだとても思えない。消費税値上げ後に、士業の「倒産(自主廃業)」がかなり出てくると思う。
  • 顧客先の状況は、好転しているところもあり、低迷しているところもあり、全体的によくなってきているとは思えない。好転してきているところは、それなりの独自性をもっているところが多い。
  • 現在好調である公共事業がいつまで続くかにより人的体制を考えざるを得ず、人材確保が難しい。また、募集をしてもなかなか申し込みがない。募集するために給料を上げると、現在いる社員とのバランスもあり、極端な金額での募集は困難である。
  • 業界内では経営が悪化している会社があり、売上の回収が困難になることが多くなってきている。新卒採用を続けてきたがここ数年売上が伸び悩んでいるので、社内では採用に反対の意見があがっている。
  • 消費増税実施後の見通しが全く出来ない。業界内の競争激化が著しくなり、過剰サービスによる本業の圧迫や、業務内容の負担増を招いている。
  • 機械設計業だが、受注物件のスタートが客先都合により予定より遅れることが多々あり、スケジュールが組みにくい。