景況調査

第81号-2014年2月
愛知経済、ピークアウトか ~経営圧迫要因山積で先行き不安感強まる

【概況】

【業況判断】 前年同月比過去最高値も、次期見通し著しく悪化

【売上高】【経常利益】 売上高、サービス業を除いて次期見通しで大幅悪化。経常利益、次期見通しで5期ぶりの悪化

【在庫】 今月の状況、業種により動き異なる

【取引条件】 建設業で「好転」超過幅拡大

【資金繰り】 今月の状況、3期ぶりに「窮屈」超過幅縮小

【設備過不足】【施設稼働率】 設備過不足、今月の状況大きな変化なし。施設稼働率、次期見通しで両業種ともに「低下」超過に

【雇用】 今月の状況で不足感の高まり続くも、次期見通しは若干改善

【価格変動】 仕入価格・販売価格ともに「上昇」傾向続く

【借入金利】 短期・長期ともに大きな変化なし

【経営上の力点など】 経営上の問題点、前回に続き「従業員の不足」が第1位に

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:548KB)


【概況】

業況が「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は前回調査の34から35となりました。わずか1ポイントですが、これで5期連続の改善です。前年同月比も前回の20から26と6ポイント改善しましたが、3ヶ月後の次期見通しは34から12と22ポイントもの大幅な悪化となりました。なかでも、これまで愛知経済の業況改善を牽引してきた建設業と製造業の見通しは著しく悪化しており、足元は高位で推移しているものの、手放しでは喜べない状況です。

ヒアリング調査では、アンケート調査の結果を裏付ける意見が多く聞かれました。建設業では、前回も指摘されたように官需が好調なだけでなく、民需も消費増税前の駆け込み需要が追い風となって好調が続いているようです。しかし、依然として人手不足が解消されていないことから工程に停滞が生じていること、また人手不足による労務費の上昇や円安の進展による材料費の上昇などが利益を圧迫しているとのことでした。先行きに関しては、増税後も需要の反動減は 少なく仕事量は大きく変化しないとの見方もありましたが、4月からの電気料金の値上げがさらに利益を圧迫することが予想され、決して見通しは明るくないようです。

製造業では、やはり自動車関連企業から忙しさが継続しているとの意見が出されました。ここでも駆け込み需要に後押しされて仕事量は確保できているものの、取り扱う車種により繁忙の偏りが大きいうえに原材料費が上昇していることから、忙しい割には利益につながらないとの声がありました。また、海外生産の進展など以前にも指摘されてきた問題点に加え、電気料金の値上げやベースアップの実施など今後の経営を圧迫する要因が生じており、ここでも先行きに対する不安は大きくなっています。

個人消費関連、とくに外食関連企業では期待されたような駆け込み需要が発生していないようです。駆け込み需要は一部の業種に限られているようで、増税後の反動も業種によってばらつきが出るだろうと予想されています。

このように愛知経済は足元では改善が続き好調であるといえます。しかしながら、増税後の需要反動減だけでなく、電気料金の値上げなどむしろこれから の経営に重くのしかかる問題が山積しており、反対に景気を押し上げる要素に乏しいのが現状です。すでにピークアウトしている可能性も小さくありません。局面が変わりつつあることを意識して、日々、情報を収集する必要がありそうです。

[調査要項]
 1.調査日   2014年2月17日~2月28日
 2.対象企業 愛知中小企業家同友会会員企業
 3.調査方法 会員専用サイト「あいどる」(一部FAX)にて配信、自計記入、回収
 4.回答企業 3,354社より、1,033社の回答を得た(回収率30.8%)
   (建設業169社、製造業264社、流通業315社、サービス業285社)
 5.平均従業員 35.4名(中央値 9名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行立教大学教授)での検討を経てなされたものである。

【業況判断】
前年同月比過去最高値も、次期見通し著しく悪化

「今月の状況」DIは前回の34から35と1ポイント改善した。わずか1ポイントとはいえこれで5期連続の改善である。業種別でみると、建設業が 62から60と2ポイントの悪化、製造業が前回の39から変化なし、流通業が25から26と1ポイントの改善、サービス業が21から25と4ポイントの改 善と、全業種で大きな動きは見られなかった。建設業は唯一DI値が悪化したが、「良い」と回答した企業の割合はむしろ3%増加しており、全体の69%にも達している。前年同月比は前回の20から26と6ポイントの改善となった。前年同月比の改善はこれで5期連続となり、これまでの最高値を記録した。業種別でみても、建設業が44から50と6ポイント、製造業が22から29と7ポイント、流通業が14から21と7ポイント、サービス業が8から16と8ポイントと全業種で改善がみられた。しかしながら、3ヶ月後の次期見通しは前回の34から12と22ポイントもの大幅な悪化となった。業種別でみても、23から 20と3ポイントの悪化にとどまったサービス業を除いて、建設業が50から20と30ポイント、製造業が37から6と31ポイント、流通業が32から7と 25ポイントと著しい見通し悪化となった。

業況推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

業況推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【売上高】【経常利益】
売上高、サービス業を除いて次期見通しで大幅悪化
経常利益、次期見通しで5期ぶりの悪化

売上高DI(前年同月比)は前回の20から4ポイント改善して24となった。これで4期連続の改善である。業種別でみると、製造業が19から27と8ポイント、サービス業が7から15と8ポイント改善したが、建設業は前回の42から変化なく、流通業が21から20と横ばいで推移した。次期見通しは前回の23から29ポイント悪化して△6となった。2012年11月調査以来の「減少」見通しの超過である。業種別でみると、建設業では33から0と33ポ イント、製造業では24から△16と40ポイント、流通業では29から△11と40ポイント、サービス業では10から7と3ポイントそれぞれ見通しを悪化 させた。

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の22から24とわずかな動きにとどまった。業種別でみると、サービス業は14から8ポイント改善して22と なったが、建設業は48から44と4ポイント悪化した。製造業は21から23、流通業は16から17と横ばいでの推移となっている。前年同月比は前回の 11から4ポイント改善して15となった。これで4期連続の改善である。業種別では建設業が32から41と9ポイント、製造業が13から18と5ポイント、サービス業が1から6と5ポイント改善した。流通業は8から7と大きな変化はなかった。次期見通しは前回の22から15ポイント悪化して7となった。 これは5期ぶりの悪化である。業種別でみても、建設業が35から7と28ポイント、製造業が23から△4と27ポイント、流通業が19から6と13ポイントの見通し悪化となっている。サービス業だけは17から18と横ばいで推移した。

売上高推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

売上高推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【在庫】
今月の状況、業種により動き異なる

今月の状況DIは、前回調査の8から6と横ばいで推移した。業種別では製造業が4から8と4ポイント「過剰」超過幅が拡大したのに対して、流通業は 13から5と8ポイント縮小した。前年同月比は前回の1から「増加」超過幅が4ポイント拡大して5となった。業種別でみると、製造業(2→4)・流通業 (0→5)ともに「増加」超過幅が拡大した。次期見通しは前回の7から変化がなかった。業種別でみても、製造業(9→10)・流通業(4→3)ともに大きな変化はなかった。

【取引条件】
建設業で「好転」超過幅拡大

前年同月比DIは前回の△5から△1と4ポイントの「悪化」超過幅縮小となった。これで2期連続の縮小である。業種別でみると、建設業は2から9と 7ポイントの「好転」超過幅拡大となった。流通業(△9→△1)は「悪化」超過幅が縮小した。製造業(△8→△6)・サービス業(△2→△1)では大きな変化は見られなかった。次期見通しは前回の△3から△5と横ばいでの推移となった。業種別でみると、建設業(0→3)は「好転」見通しの超過幅が拡大した が、製造業(△3→△8)・流通業(△5→△10)では「悪化」見通しの超過幅が拡大した。サービス業(△3→△2)はわずかな動きにとどまった。

【資金繰り】
今月の状況、3期ぶりに「窮屈」超過幅縮小

今月の状況DIは前回の△28から△24と4ポイント「窮屈」超過幅が縮小した。業種別でみると、建設業(△27→△17)・流通業 (△27→△21)で「窮屈」超過幅が縮小したが、製造業(△25→△24)・サービス業(△32→△30)はわずかに変化しただけであった。次期見通しは前回の△27から△29となった。業種別でみると、製造業(△26→△34)・流通業(△25→△28)で「窮屈」見通しの超過幅が拡大したが、建設業 (△29→△29)・サービス業(△29→△27)は横ばいでの推移となった。

【設備過不足】【施設稼働率】
設備過不足、今月の状況大きな変化なし
施設稼働率、次期見通しで両業種ともに「低下」超過に

設備過不足DI(今月の状況)は前回調査の△17から△19とほぼ横ばいでの推移となった。業種別でみると、流通業(△14→△19)・サービス業 (△14→△19)で「不足」超過幅が拡大したが、建設業(△30→△27)は縮小した。製造業(△15→△13)は大きな変化がなかった。次期見通しは前回の△17から△11と6ポイント「不足」見通しの超過幅が縮小した。業種別でみても、建設業(△28→△17)・製造業(△13→△3)・サービス業 (△15→△12)では「不足」見通しの超過幅が縮小した。流通業(△15→△13)は横ばいで推移した。

施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の13から14と大きな変化は見られなかった。業種別でみても、製造業(21→22)・流通業(4→6)ともに横ばいで推移している。次期見通しは前回の10から△7と2013年5月調査以来の「低下」見通し超過となった。業種別でみても、製造業 (13→△6)・流通業(6→△8)ともに「低下」見通しが超過となった。

【雇用】
今月の状況で不足感の高まり続くも、次期見通しは若干改善

今月の状況DIは前回の△39から△43と「不足」超過幅が4ポイント拡大した。これで拡大は3期連続である。業種別でみると、流通業 (△35→△38)・サービス業(△29→△41)で「不足」超過幅が拡大した。建設業(△64→△65)・製造業(△36→△35)は大きな変化がなかった。次期見通しは前回の△33から△28と5ポイントの「不足」見通し超過幅縮小となった。業種別でみると、建設業(△54→△39)・製造業 (△26→△17)・流通業(△31→△22)では「不足」見通しの超過幅が縮小したが、サービス業(△27→△37)だけは拡大した。

【価格変動】
仕入価格・販売価格ともに「上昇」傾向続く

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の40から43と3ポイント「上昇」超過幅が拡大した。拡大傾向は6期連続である。業種別でみると、建設業 (50→60)・製造業(46→53)で「上昇」超過幅が拡大したが、流通業(41→41)・サービス業(25→23)は横ばいで推移した。前年同月比も 前回の41から4ポイント「上昇」超過幅が拡大して45となった。業種別でみても、建設業(49→61)・製造業(52→58)・流通業(37→43)で 「上昇」超過幅が拡大した。サービス業(25→24)だけは横ばいでの推移となった。次期見通しも前回の33から7ポイント「上昇」見通しの超過幅が拡大 して40となった。業種別でみても建設業(42→49)・製造業(40→51)・流通業(31→34)・サービス業(22→29)と全業種で「上昇」見通 しの超過幅が拡大した。

販売価格変動DI(今月の状況)は前回の2から7ポイント「上昇」超過幅が拡大して9となった。業種別でみると、建設業(15→27)・流通業 (6→13)・サービス業(0→5)で「上昇」超過幅が拡大し、製造業(△8→△4)で「低下」超過幅が縮小した。前年同月比も前回の3から9ポイント 「上昇」超過幅が拡大して12となった。業種別でみても、建設業(14→31)・製造業(△9→1)・流通業(9→15)・サービス業(0→7)と全業種で「上昇」超過幅が拡大した。次期見通しも前回の6から10と4ポイント「上昇」見通し超過幅が拡大した。業種別でみると、建設業(15→19)・流通業 (10→15)・サービス業(4→15)で「上昇」見通しの超過幅が拡大したが、製造業(△2→△6)だけは「低下」見通しの超過幅が拡大している。

【借入金利】
短期・長期ともに大きな変化なし

短期借入金利DIは前回調査の△2から△4と横ばいで推移した。業種別でみると、建設業が2から△3となり、2期ぶりの「低下」超過に転じた。製造 業(△4→△8)は「低下」超過幅が拡大した。流通業(△3)は前回から変化がなく、サービス業(△2→△1)はわずかな動きにとどまった。

長期借入金利DIも前回の△4から△3と横ばいでの推移となった。業種別でみると、建設業(0→△4)は「低下」超過幅が拡大したが、サービス業(△5→0)は縮小した。製造業(△8→△7)・流通業(△3→△2)は横ばいで推移した。

【経営上の力点など】
経営上の問題点、前回に続き「従業員の不足」が第1位に

全業種で見た経営上の問題点は、第1位が「従業員の不足」(36%)であった。それに「仕入単価の上昇」(25%)、「民間需要の停滞」(23%) が続いた。業種別で特徴があったのは、建設業の第1位が「下請業者の確保難」(50%)、製造業の第2位が「販売先からの値下要請」(28%)、サービス 業の第2位が「新規参入者の増加」(29%)であったことである。文書回答では「取引先の海外移転」などがあった。

全業種における経営上の力点は「付加価値の増大」(60%)が第1位となった。次いで第2位が「新規受注(顧客)の確保」(56%)、第3位が人材確保「31%」となっている。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●「今月の状況」は業況判断60、経常利益44と過去最高水準のDI値でした。反面、消費税の増税後の「次期見通し」はいずれも激しい落ち込みを予 想しています。特に売上高DIは、建設業33→0と30ポイントも急降下し、消費税前の駆け込み需要の反動減や先行き不透明感を表しています。

また今月の仕入価格DIが60に対して、販売価格DIは27と落差があり、これだけ好況の状態でも、資金繰りDIは△17となっており、キャッシュフローに余裕がない様が見て取れます。

設備投資DIは△27と不足傾向が続き、雇用動向DIも△65と回答者の7割が人手不足を感じています。これは中小企業の視点から見た時、先行きの 展望が見えないため、新規採用や設備投資に慎重になっているといえます。「好循環」を実体のあるものにするために、持続可能な内需の喚起が求められます。 (事務局 八田)

1.一般工事

  • 関西から安く見積書を出す業者が増え、お客様が駆け引きするケースが増えた。依頼する協力業者と信頼関係を維持するのに苦労する。見積価格が 上がってきたのに途中の見直しができないので、利益を圧迫する。先の予想をすることが非常に難しく、あまりにも大きく値決めを外すと受注できない。その判断は結構博打的な要素が多い。

2.土木建築

  • 最近、ゼネコンと専門工事業者とのパワーバランスが変化しつつある。技能工の減少で受注活動に慎重な姿勢が見られる。1年前頃はゼネコンから の「値下げ要請」や「仮想値引き発注合戦」に乗ってしまうサブコンもいたが、今では半年先から1年先の受注量も予定可能なので無理して受注しない。減少 した技能工を若い人で補うには常識的な賃金水準が必要であるが故、業界全体が単に安値だけを武器に受注していく戦法は捨てて、若い技能工を育んでいくためにどうすれば良いのか?何をすれば良いのかをこれから真剣に熟考していく必要がある。

3.鉄筋・鉄骨

  • 鋼材仕入単価は上げ止まりで、スクラップが下がっているのにメーカーは下げてこない。手間単価はリーマンの頃を思えば、適正価格に近づいてき た。燃料高騰や職人不足もあり、末端職人の単価も上がってきた。取り付けを2次発注する1次の弊社は元請けと下請けの板挟みである。社会保険未加入だが、 なかなか加入に踏み切れないでいる。本来の適正価格に戻るにはまだ時間がかかりそうだ。東北・関東にダンプ・重機が流れている為、この地方の土建業・掘削 作業に遅れが出ていて、後工程業者の段取りが取り難いことも多い。

4.リフォーム

  • 熟練工の技術者を確保することが大変である。新規採用して育てるまでは時間が掛かるが、会社自体にその時間を耐える資金体力が乏しい。そこを行政がフォローしてくれないと、社会全体が沈没していくだろう。そこをアピールしていきたい。

5.基礎、足場、解体

  • 4月からの消費税の増税に伴う駆け込み需要が、ひと段落してきた感がある。今までは、仕事の依頼が多すぎて困ったが、この先の数ヶ月は仕事の確保が大変だと思う。逆にこの時期を利用して、社員に業務上必要な資格を取ってもらおうと考え準備中である。

6.電気設備

  • 消費増税と政治不安、世界経済の不安定な状況が国内の経済にどう影響し、3年先の未来予想が見えてこないことが不安である。
  • 3月までの年度末工事と駆込み需要で、現状は忙しく下請業者の取合いになっている。4月に入ると継続工事はあるが、全体として新規物件が減少している。太陽光発電の消化工事と入札物件が多いので、仕事に困ることはないが、単価の引上げはまだくると予想される。

7.外装・外構

  • 資材の納期遅延が多い。遅れの説明は受注量が多いとの事だが、私の事業地域ではさほど需要がある様には見えない。ただ忙しいだけで労務単価は いっこうに上がらない。何かフワフワしているような気がして一過性に感じている。消費税増税前の駆け込み需要は、事前の予想よりも低いと感じる。

8.水処理プラント

  • 人の採用は困難を極めている。建設関係の資格保有者が不足している。特に現場監督が常駐することが義務づけられている現場に配置することが出来なくなってきている。水処理関係の仕事も海外展開が始まり海外で勤務できる技術者が求められている。

9.建築設計

  • 株価も景気も下降局面にあるのに、建築費が異常に上がっている。消費税導入後の反動減に対処するため、メーカーが在庫を絞り値段を調整しているようだ。そのためこの先、建築費が下がると予測されるので、施主はしばらく様子を見ようとしている。結果、仕事はあるが進捗は滞り、前にも後にも行けな い状態である。しばらく体力勝負を強いられると感じる。

(2)製造業

●主要指標のDI値「今月の状況」「前年同月比」ではピークに近い水準に伸びましたが、「次期見通し」は大きく悪化し売上高と経常利益で水面下 に落ち込んでいます。業況判断「今月の状況」で「良い」と回答した企業が53.4%、「悪い」と回答した企業は14.0%と調査開始から過去最少となり仕 事量は全般的に拡がっていることがわかります。しかし、経常利益「今月の状況」で赤字と回答した企業が23.5%あり、採算面で厳しい実態が文章回答に多く寄せられました。

分析会議において、秋以降の増税路線や円安による資材高と経常収支悪化など不安要素の増幅、また中小企業や従業員の負担増なども指摘されました。そうした中でも、風潮に踊らされることなく、確かで正確な情報を得る努力と同時に多角的な広い視野から、変化や現象や動向を深く分析して独自の判断をくだす経営者の姿があり学ぶべきものを多く感じました。 (事務局 加藤)

1.金属加工量産部品

  • 大企業が軒並み円安株高で未曾有の利益を上げている中で原価改善のもと値下げ要請が一層に厳しい。
  • 海外向け、台湾メーカーの安値攻勢に苦慮。自動車国内生産台数減少と海外増産による仕事量減少。

2.樹脂加工量産部品

  • 例年の年度末需要増に上乗せで残業もかなり増え、製品ライン別の繁閑差が大きく稼働率が低下して、利益は悪化している。このまま減産に入ったら危険な領域になり既存路線の変更も考えざるを得ない。
  • 自動車関係客先は4月以降も強気な計画数を出しているが増税の影響で減産の可能性もあり不透明。
  • 現状は忙しく残業対応もしているが消費税増税前の駆け込み需要と思われる注文もあり、4月以降の対応を考える必要がある(付加価値を高めた製品づくりに注力)。
  • コストダウン要請に対して規模の小さなところから悲鳴の声が上がっている。昨年は仕入先にはお願いせず自社で吸収したがそれももう限界。悲鳴を上げたくなる。

3.鋳造、表面処理、熱処理

  • 円安は数量ではなく金額ベースの伸びである。既に海外シフトが進み、更なる加速は間違いない状況。よって国内中小企業は、技術力強化はもとよりコスト削減をしなければ生きていけない。
  • 大企業だけが大幅な利益を上げ景気が良い風潮だが中小企業には全然恩恵も何もない。円高やリーマンショックによるコストダウン要求を飲んできたが円安になっても値下げを要求される。
  • 仕事の多寡は海外移転が進む製品を持つか否かで決まる。最終品や需要先が判別できず舵取りが困難。
  • 社員にかかる諸負担金など固定費押し上げと光熱費上昇や消費税増税のダブルでかなりの痛手となる。

4.治工具、設備、機械部品、試作・板金

  • 現時点では、自動車業界で国内設備投資(海外向けも含む)は量的に高い水準で発注されている。
  • 好調な客先とまったく仕事がない客先とに分かれている。客先の動向により景況感が左右されている。
  • 量的には増加傾向にあるが低下価格と短納期に振り回されている。
  • 仕事自体はあるが値下げ要求が激しく多量にこなしても利益が上がらない。

5.専用機械、装置、ロボット、食品・建設機械

  • 上向きつつも特定の大手企業による設備投資に引っ張られ売り上げが偏っているのが現状である。
  • 近年は設備更新を行えておらず老朽化がかなり進んでしまった。仕事量増加をきっかけに設備と人材の投資に踏み切り土壌固めを行う決意。企業格差が出る一年と読んでいる。
  • 国内自動車関連における設備投資の現状と見通しの悪化が酷いためアジア拠点設立準備に入った。
  • 原料仕入高騰など厳しい状況は続くが、昨年末頃から少しずつ消費税前駆け込み需要が出始めた。
  • 状況は良いが必ず落ちる日が来ることは明白。政策変動要因も大きくそのタイミングが絞り込めない。

6.電材、制御装置など

  • 儲かっているのは大手だけ。取引先の海外転注。
  • 業界団体やマスコミの強気な発言を聞くが個人的な景況感とのギャップがどこにあるのかが判らない。

7.特殊印刷・印刷、繊維関連

  • 非常に要求品質の高いものなど独自性を発揮し付加価値のある仕事や設備投資を行ってきたが、苦労してやり遂げても次の企画から海外へ行ってしまったり安い工法に変わったりして安定受注継続が難しい。
  • メディアの選択肢が増える中で紙媒体が確実に減少。伸びているのは印刷通販だけ。企画力や提案力や対応力など質的変革が求められる。競争が激しくコストも厳しい手間のかかる仕事が増えている。
  • 輸入単価上昇に対し販売価格は厳しく利益を圧縮。付加価値増大は急務だが市場に受け入れられるか。

(3)流通業

●今月の業況判断DIは25→26、経常利益DIは16→17と横ばいで、一部自動車関連で好調さが見られるものの、消費増税前の駆け込み需要はす でに減速しています。今月の仕入価格変動DIは41→41と横ばい、次期は31→34と上昇している一方、昨年5月から変動がなかった販売価格変動DI が、今月の状況は6→13へ、次期も10→15と上昇しており、仕入価格が高止まりする中で、販売価格に転嫁しようとする動きが出てきています。

次期見通しの業況判断DIは32→7、売上高DIは29→△11、経常利益DIは19→6と大幅に落ち込みました。円安による原料・資材の上昇分を どう価格に転嫁できるかという問題に加え、増税後の反動減に強い警戒感を示しており、長期的な展望の持てる政策が期待されます。

経営上の力点では第4位の「情報力強化」が他業種を大幅に上回り、情報のアンテナを張り商品の流れや消費動向を見極めようとする様子がうかがえます。 (事務局 岩附)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • トヨタの日当り台数は消費税率アップ後、現状の14千台から12千台へ減少するが、予想より落ち込み幅は少ない(一昨年の年末は11千台ほど)。 部品メーカーへの影響は限定的かと思うが、受注チャンスを逃さず情報のアンテナ感度を上げ続けなければならない。
  • 来年秋の増税時以降が非常に怖い。今から準備する必要を感じる。そういう意味で先行きに関しては不安が大きい。また、現在の景況は客先によって温度差が相当ある。好調の顧客をどれだけ持っているかによって業績が左右される。
  • 当面、春先に納入が少ないので受注に注力している。来年度のいろいろな見通しを把握しているが、全体的に今年度より10%売り上げが落ちるとみて手を打っている。

2.建築資材、家具

  • 木材業界は、消費増税の影響で駆け込み需要が昨年10月から発生する中で、特に国産材相場が急騰し、やっと1月に落ち着き2月は減少した。相場も下がり、購買意欲が減少し、材の動きが止まっている。3月には4月の増税を意識した多少の駆け込みが発生すると思われる。
  • 年末年始から比べると期待感が薄まっており、4~6月の落ち込みが心配である。為替の影響があるため、動向が気になる。

3.繊維、衣服、雑貨

  • 消費増税前の対策として4月までに在庫を積んでおける顧客さまは、商品を買っているので一見忙しいように(景気が良くなっているように)思われるが、その反動は必ず4月以降にあらわれる。
  • アベノミクスは本当に経済を向上させるのか、産業構造や賃金が二極化する恐れは無いのか、消費税アップはどこまで業況に影響するのかなど不明なところが多い。そういうことに影響されないよう基本的な商品開発、顧客満足アップ、削れる経費は削減している。

4.運輸、情報通信

  • 労働力不足と増税前の駆け込み需要が重なり、物流全体が大混乱すると予想する。運送費はここにきて段階的に上昇してきた。しかし、トラックは あるものの少子化や中型免許問題等で根本が変わらないため、労働力不足は続き、物流全体の輸送力は確実に落ち続け、荷主主導から運送事業者主導へ大きく変 化する。
  • 今回は、コンピュータ関連で4月9日にサポートが終了するXP対策と4月からの増税が重なり、出荷が大幅に増えているが、4月以降の先取りをしているので、その後ははかなり厳しい状況になる。
  • 顧客ニーズをいち早くつかみ製品化する、顧客の不満をそのままにしない、社員教育・社内活性化を業務の一部とする。

5.不動産、保険

  • 消費増税を目の前にして、建売業者が勢いづくと見ていたが、意外なほど売れていない。同業者の話し合いでは、新規の購入希望者が激減しているという問題がよく挙がる。
  • 住宅や建設の関係は好調で、中古住宅は停滞かやや増加の見込みである。しかし、消費増税に巻き込まれ、反動減は不可避だと思う。行政の配慮を望む。
  • 優良顧客のみを保持し、優良顧客以外は手放す、という商品の本来の目的を離れ過ぎた展開がこれからも続くと思われる。代理店排除の流れもまだまだ続く。

(4)サービス業

●「今月の状況」は、業況判断DIは21→25(4ポイント改善)、経常利益DIは14→22(8ポイント改善)となりました。経常利益DIは対法人向け・専門サービス業(22→28)、対個人向けサービス業(△7→5)ともに上昇しています。消費税増税後となる「次期見通し」は、売上高DIが 10→7、経常利益DIは17→18、業況判断DIが23→20とそれほど大きな落ち込みではなく、「駆け込み需要」の反動で増税後の落ち込みを予測する 他業種に比べて、サービス業は業種的に「駆け込み需要」が起こりにくくその反動も少ないと考えられます。

資金繰りDIは「今月の状況」で△32→△30、「次期見通し」も△29→△27と横ばい、雇用動向DIは「今月の状況」が△29→△41、「次期 見通し」は△27→△37で、経営上の問題点は(1)従業員の不足42%、(2)新規参入者の増加30%、(3)人件費の増加25%で「従業員の不足」は 2013年5月調査から第1位に挙げられています。経営上の力点は(1)新規受注の確保61%、(2)付加価値の増大55%、(3)人材確保30%でし た。 (事務局 浅井)

1.生活・健康・美容関連

  • 新たな販路獲得を目指し雇用を増やそうと求人しても応募がほとんどなく、人材確保が厳しい状況。
  • 葬祭業としては、家族葬儀の占有率が全体の70%近くに達し、一件あたりの売上高の下落や薄利多売化の影響が人件費の上昇要因となっている。 ネット送客業者の参入による低価格競争の激化で、中小の葬儀社は大手の下請け受け皿の現状にある。少子高齢社会で介護事業や老健施設などが大いに発展する 裏側で、有終の美(葬儀)に関する費用は益々削減されると思われる。
  • ブライダル総研のデータでは2012年婚姻件数66万組の内、披露宴実施意向ありは56%、44%は実施意向がない。弊社は如何に列席者に 「感動」して頂くかが披露宴の実施率を上げるポイントと考え、オリジナル演出・挙式オリジナルアイテムを通じて、新郎新婦と列席者が一体感のある「感動」 の結婚式を提案し、人と人の絆を、感謝・祝福・感動・承認と言うキーワードで結婚式の大切さを伝えている。

2.印刷・広告関連

  • 増税前の3月の駆け込みが予想外に伸び悩み、逆に4月の落ち込みもそれ程ないかとは考えているが、予断はゆるされない状況である。得意先の金額の絞り込みが少しずつ見えており、利益確保には経営者としての先読みが必要になってきている。
  • 宣伝広告の分野にもアベノミクスの効果は出ていると思うが、4月の増税以降はあまり楽観できない。必ず来る次の不況期に備えたサービス開発、営業を考えている。

3.自動車関連サービス

  • 自動車販売店が車検や鈑金市場に参入していたが、近年では自動車メーカーがメンテナンス市場への参入をシステム化してくるようだ。自動車保険 の仕組みも変わり、初めて車に乗る若者が新車を購入した場合、車両保険を付保した保険料は40万円にも及ぶなど、若者が自動車を手に入れ維持するにはとても困難な環境がある。同業の廃業が増えていくと思われる。
  • 消費税増税で国内の自動車販売台数減少が気がかりだが、自動車販売店の現場では増税対策は別段取ってはいないようだ。12~2月は販売台数が国産・輸入車ともかなり伸びている。

4.ビジネス支援サービス

  • 付加価値を上げて仕事量を獲得しているが、利益率は一向に改善できない。
  • 全国の税理士は7万5千人で、コンビニ(全国で4万5千軒)に比較すれば過剰。企業の廃業や休業は倒産件数の2.6倍、市場も縮小傾向で構造的不況業種になっている。
  • 下請けの業界は忙しいだけで、元請けからは何の支援も無く、色々な条件を次から次へと押し付けられ赤字覚悟の発注が増える一方で、売上を上げても反比例で利益がなくなる状態である。

5.産廃・環境関連

  • 一時期よりはアベノミクス効果が中小企業にも回ってきている感もあるが、まだまだ今一つ。消費税駆け込み需要も、もうすでに減速感が見え始めた気がする。海外(アジア、特に中国、韓国)も私たちの求める価格で買う元気がなく、牽引力のある市場がない。
  • 低価格競争の激化、業界全体の斜陽化。近年、運転免許を取得する若い男性が少なくなるにつれ、大型トラックの運転者も少なくなり、これからの運送部門が不安である。