景況調査

第82号-2014年5月
増税後の需要反動減から1年半ぶりの業況悪化 先行き見通しは好転

【概況】

【業況判断】 今月の状況・前年同月比で、サービス業を除き1年半ぶりの大幅悪化

【売上高】【経常利益】 売上高、前年同月比で2012年11月調査以来の悪化。経常利益、前年同月比で4期ぶりの「悪化」超過

【在庫感】 両業種で「過剰」超過幅拡大

【取引条件】 建設業のみ、前年同月比で「好転」上昇傾向続く

【資金繰り】 業種ごとに異なる動き

【設備過不足】【施設稼働率】 設備過不足、今月の状況で「不足」超過幅縮小。施設稼働率、流通業は3期ぶりの「低下」超過

【雇用】 今月の状況、2年ぶりの「不足」超過幅縮小

【価格変動】 仕入価格・変動価格ともに「上昇」超過幅の拡大傾向続く

【借入金利】 短期・長期ともに大きな変化なし

【経営上の力点など】 経営上の問題点・力点ともに第1位は前回と変わらず

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:532KB)


【概況】

業況が「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は前回調査の35から18ポイント悪化して17と なりました。これは「良い」と回答した企業が12%減少したことに加えて、「悪い」と回答した企業が6%増加したためで、2012年11月調査以来の悪化 です。前回の調査では次期見通しが34から12と大きく悪化しましたが、それを裏付けるような大幅な落ち込みとなりました。また、前年同月比も前回の26 から4と22ポイントもの大幅な悪化となっています。しかし、3ヶ月後の次期見通しは前回の12から23と11ポイント改善しました。

アンケート調査では全業種で数値が悪化しましたが、ヒアリング調査では業種により状況が異なることが明らかになりました。建設業では相変わらず動きが活発なようです。官需からは、これまでの入札では不調であった案件も、一部では予算が上げられたことから動きが出始めているとの指摘がありました。また 民需も建築費の高騰が落ち着きつつあるために、次第に高額な個人住宅や投資用の分譲マンションなどの着工が増えてきているとのことでした。しかしながら、このような動きも局地的なものにとどまり地域間で格差が生じていること、および現在も深刻な人手不足の状態が続いているといった懸念の声も聞かれました。

製造業では、自動車関連企業から増税後に仕事量の落ち込みはあったものの、前回増税時の経験を踏まえて厳しい落ち込みを想定していたこともあって、 想定範囲内にとどまったこと、そしてその落ち込みをカバーするほどの海外向け生産の好調さが指摘されました。さらには半導体や医療機器の生産も増加してき ているとの明るい意見もありました。とはいえ、電気料金の値上げやベースアップ・昇給の実施による人件費の上昇、さらなるコストダウンの要請といった利益 圧迫要因も多いようです。個人消費関連からは人手不足を懸念する声だけで、やはり明るい話は聞かれませんでした。

このように、愛知経済においては増税後に需要が減少したものの、おおむね想定範囲内にとどまったことから、建設業・製造業からは先行きに対して明る い声も聞かれました。しかしながら、同時に依然として深刻な人手不足やそれによる人件費の上昇だけでなく、円安による原材料価格の上昇、運送費・電気料金 の値上げなどがボディブローのようにじわじわと経営を圧迫しているとの声も上がっています。今後の経営環境を楽観視することはできません。

[調査要項]
 1.調査日   2014年5月19日~5月30日
 2.対象企業 愛知中小企業家同友会会員企業
 3.調査方法 会員専用サイト「あいどる」(一部FAX)にて配信、自計記入、回収
 4.回答企業 3,306社より、1,176社の回答を得た(回収率35.6%)
   (建設業185社、製造業299社、流通業349社、サービス業343社)
 5.平均従業員 29.2名(中央値 9名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議(座長、山口義行立教大学教授)での検討を経てなされたものである。

【業況判断】
今月の状況・前年同月比で、サービス業を除き1年半ぶりの大幅悪化

「今月の状況」DIは前回の35から17と18ポイントもの大幅な悪化となった。悪化は2012年11月調査以来、1年半ぶりのことである。業種別 に見ても、建設業が60から30と30ポイント、製造業が39から16と23ポイント、流通業が26から6と20ポイント、サービス業が25から22と3 ポイントと全業種で悪化している。前年同月比も前回の26から4と22ポイントもの悪化となった。やはり1年半ぶりの悪化である。業種別でみても、建設業 が50から20と30ポイント、製造業が29から7と22ポイント、流通業が21から△7と28ポイント、サービス業が16から4と12ポイント悪化し た。流通業は3期ぶりの「悪化」超過に転じている。しかし、3ヶ月後の次期見通しは、前回の12から23と11ポイントの改善となった。業種別でみると、 建設業が20から31と11ポイント、製造業が6から27と21ポイント、流通業が7から15と8ポイントの見通し改善、サービス業は20から22と横ば いでの推移となっている。

業況推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

業況推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

【売上高】【経常利益】
売上高、前年同月比で2012年11月調査以来の悪化
経常利益、前年同月比で4期ぶりの「悪化」超過

売上高DI(前年同月比)は前回の24から18ポイント悪化して6となった。ここでも2012年11月調査以来の悪化となっている。業種別でみて も、建設業が42から18と24ポイント、製造業が27から6と21ポイント、流通業が20から△3と23ポイント、サービス業が15から7と8ポイント の悪化となっている。次期見通しは前回の△6から8と14ポイント改善した。業種別でも、建設業が0から6と6ポイント、製造業が△16から12と28ポ イント、流通業が△11から3と14ポイント、サービス業が7から12と5ポイントと全業種で見通しが改善している。

経常利益DI(今月の状況)も前回調査の24から11ポイント悪化して13となった。これは5期ぶりの悪化である。業種別でみると、建設業が44か ら29と15ポイント、製造業が23から16と7ポイント、流通業が17から4と13ポイント、サービス業が22から12と10ポイント悪化した。前年同 月比は前回の15から△1と16ポイント悪化した。業種別でみても、建設業が41から9と32ポイント、製造業が18から3と15ポイント、流通業が7か ら△8と15ポイント、サービス業が6から△1と7ポイントの悪化となっている。次期見通しは前回調査の7から9ポイント改善して16となった。業種別で みると、建設業は7から24と17ポイント、製造業は△4から18と22ポイント改善したが、流通業(6→7)・サービス業(18→18)は横ばいでの推移となっている。

売上高推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

売上高推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

経常利益推移DIグラフ
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【在庫感】
両業種で「過剰」超過幅拡大

今月の状況DIは、前回調査の6から12と6ポイント「過剰」超過幅が拡大した。業種別でみても、製造業(8→12)・流通業(5→12)ともに 「過剰」超過幅の拡大となっている。前年同月比も前回の5から「増加」超過幅が4ポイント拡大して9となった。業種別でも、製造業(4→9)・流通業 (5→10)ともに「増加」超過幅が拡大した。次期見通しは前回の7から変化がなかった。これで3期連続の変化なしである。業種別でみても、製造業 (10→10)・流通業(3→4)ともに大きな変化はなかった。

【取引条件】
建設業のみ、前年同月比で「好転」上昇傾向続く

前年同月比DIは前回の△1から△3と横ばいでの推移となった。業種別では、建設業(9→11)・製造業(△6→△5)・サービス業(△1→△2) で横ばいでの推移となったが、流通業(△1→△10)では「悪化」超過幅が9ポイント拡大した。建設業では大きな動きは見られなかったが、「好転」と回答 する企業の割合は3期連続で増加している。次期見通しは前回の△5から3ポイント「悪化」超過幅が縮小して△2となった。業種別でみると、建設業 (3→3)・サービス業(△2→△3)は横ばいで推移したが、製造業(△8→△3)・流通業(△10→△5)は「悪化」見通しの超過幅が縮小した。

【資金繰り】
業種ごとに異なる動き

今月の状況DIは前回の△24から△26と横ばいでの推移となっている。業種別でみると、建設業(△17→△21)・流通業(△21→△31)では 「窮屈」超過幅は拡大したが、製造業(△24→△18)では縮小した。サービス業(△30)は前回から変化がなかった。次期見通しも前回の△29から △28と大きな動きはなかった。業種別では、建設業(△29→△25)・製造業(△34→△23)で「窮屈」見通しの超過幅が縮小したが、流通業 (△28→△31)・サービス業(△27→△30)では拡大した。

【設備過不足】【施設稼働率】
設備過不足、今月の状況で「不足」超過幅縮小
施設稼働率、流通業は3期ぶりの「低下」超過

設備過不足DI(今月の状況)は前回調査の△19から4ポイント「不足」超過幅が縮小して△15となった。業種別でみると、建設業 (△27→△15)・流通業(△19→△13)で「不足」超過幅が縮小したが、製造業(△13→△16)では拡大した。サービス業(△19→△18)は横 ばいで推移した。次期見通しは前回の△11から△15と「不足」見通しの超過幅が拡大した。業種別では、製造業(△3→△17)・サービス業 (△12→△17)で「不足」見通しの超過幅が拡大したが、建設業(△17→△18)・流通業(△13→△11)は大きな変化はなかった。

施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の14から3と11ポイントの「上昇」超過幅縮小となった。業種別でみても、製造業(22→5)・流通業 (6→△1)ともに「上昇」超過幅が縮小している。流通業は3期ぶりの「低下」超過に転じている。しかし、次期見通しは前回の△7から3と「上昇」見通し の超過に転じた。業種別でみても、製造業(△6→10)で「上昇」見通し超過に転じ、流通業(△8→△5)では「低下」見通しの超過幅が縮小している。

【雇用】
今月の状況、2年ぶりの「不足」超過幅縮小

今月の状況DIは前回の△43から8ポイント「不足」超過幅が縮小して△35となった。これは2012年5月ぶりの縮小である。業種別でみても、建 設業(△65→△47)・製造業(△35→△28)・サービス業(△41→△35)で「不足」超過幅が縮小したが、流通業(△38→△36)だけは横ばい での推移となっている。建設業の縮小幅は大きいものの、いまだに半数以上の企業が「不足」と回答するに至っている。しかし、次期見通しでは前回の△28か ら△33と「不足」見通しの超過幅が拡大している。業種別でみると、建設業(△39→△47)・製造業(△17→△23)・流通業(△22→△32)で 「不足」見通しの超過幅が拡大しているが、サービス業(△37→△35)では大きな変化はなかった。

【価格変動】
仕入価格・変動価格ともに「上昇」超過幅の拡大傾向続く

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の43から50と7ポイント「上昇」超過幅が拡大した。これで7期連続の拡大傾向となっている。業種別でみる と、製造業(53→61)・流通業(41→44)・サービス業(23→40)で「上昇」超過幅が拡大したが、建設業(60→62)は横ばいで推移した。建設業は横ばいで推移しているが、「上昇」と回答した企業が約3分の2を占めている。前年同月比も前回の45から8ポイント「上昇」超過幅が拡大して53と なった。ここでも、1年半ほど「上昇」超過幅の拡大が続いている。業種別でみても、建設業(61→65)・製造業(58→66)・流通業(43→49)・ サービス業(24→38)と全業種で「上昇」超過幅が拡大した。次期見通しは前回の40から38と大きな変化は見られなかった。業種別では、製造業 (51→46)・サービス業(29→26)で「上昇」超過幅が縮小したが、建設業(49→49)・流通業(34→35)は変化がなかった。

販売価格変動DI(今月の状況)は前回の9から10と大きな変化はなかった。しかし、業種別でみると、建設業(27→20)は「上昇」超過幅が縮小 したが、製造業(△4→1)・サービス業(5→11)では拡大、流通業(13→12)は横ばいで推移と業種ごとに異なる動きとなっている。前年同月比は前 回の12から15と3ポイントの「上昇」超過幅拡大となっている。これで1年半「上昇」傾向が続いていることになる。業種別では、建設業(31)は前回調 査から変化がなかったが、製造業(1→5)・流通業(15→18)・サービス業(7→12)では「上昇」超過幅が拡大した。次期見通しは前回の10から8 と横ばいでの推移となっている。業種別でみると、建設業(19→23)で「上昇」見通しの超過幅が拡大したが、流通業(15→12)・サービス業 (15→6)では反対に縮小した。製造業(△6→△2)は「低下」見通しの超過幅が縮小した。

【借入金利】
短期・長期ともに大きな変化なし

短期借入金利DIは前回調査の△4から△2と横ばいで推移した。業種別でみると、建設業(△3→△3)・流通業(△3→△4)・サービス業(△1→0)では変化が見られなかったが、製造業(△8→△2)だけは「低下」超過幅が縮小した。

長期借入金利DIは前回の△3から変化がなかった。業種別でみると、建設業(△4)・流通業(△2)では前回から変化がなく、製造業(△7→△4)では「低下」見通しの超過幅が縮小した。反対にサービス業(0→△4)は「低下」見通しの超過幅が拡大した。

【経営上の力点など】
経営上の問題点・力点ともに第1位は前回と変わらず

全業種で見た経営上の問題点は前回と変化がなく、第1位「従業員の不足」(33%)、第2位「仕入単価の上昇」(26%)、第3位「民間需要の停滞」(25%)となっている。業種別で特徴があったのは、建設業の第2位に「下請業者の確保難」(38%)、サービス業の第2位に「新規参入者の増加」 (32%)であったことである。

全業種における経営上の力点は、「付加価値の増大」(56%)が第1位、それに「新規受注(顧客)の確保」(55%)、「社員教育」(32%)が続いている。業種別にみて特徴があったのは、建設業の第3位に「人材確保」(46%)があったことである。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●「今月の状況」の業況判断DIは60→30、売上高DIが42→18、経常利益DIも44→29と、消費税前の駆け込み需要の反動減で落ち込みま した。反面、仕入価格DIは60→62と材料費の高騰は継続し、それに対して販売価格DIは27→20と据え置かれ利益を圧迫しています。その結果、資金 繰りDIは△17→△21と悪化してきており、「8月期見通し」では△25とさらに悪化を予測しています。雇用動向DIは△47と、引き続き慢性的な人手不足に苦しんでいます。

労務費や資材費の高騰から割高となっていた物件に動きが見られます。これは4月以降、逼迫した人手不足が改善し見積もり単価が下がったり、スライド 条項によって官需の予算が引き上げられたからと予測されます。しかし、依然として先行きの展望が見えないため、新規採用や設備投資には慎重になっていま す。瞬間的なカンフル剤より持続可能な内需の喚起が求められるといえます。(事務局 八田)

1.一般工事

  • 民間の工事減がこれから響いてきそうで、協力業者が今後協力してくれるか心配である。今のところ支障はないが、職人不足の解消はできない。しかし、いつ何時パニックになるか不安要素大であり、そうなれば受注に障害をきたす。

2.土木建築

  • 弊社は1次として受注してきたが、去年暮れから大手ゼネコンからの2次請けの話が多くなった。大手の仕事を請け負う1次会社の下請け業者確保 難・応援確保難が理由で、仕事が溢れていると思われる。その影響からか、2次請負の方が単価が良いことがある。この話を元に弊社のお得意さんに交渉をする と、見積もり通り受注できる元請けと値下げ交渉する元請けと両極端な状態である。

3.鉄筋・鉄骨

  • 技能工不足の深刻化は必至で、受注活動には近年にはない慎重さが要求される。得意先の選別と並行して受注物件の選別が必要になった。リーマン ショック後から得意先の協力会社(下請)に対するスタンスが評価されることになる。安価を追い駆けて「安ければどんな業者でも」といった元請から順番に選別対象になる。あとで泣きついてきても 手を差し伸べる技能工はいない。

4.舗装工事

  • 特に公共事業は実勢価格と設定価格に開きがある。公共事業は悪の権現の様なとらわれ方をしていた時代の名残なのか現在の入札制度では100%で落札しない限り利益が出てこないのは税金の循環を考えてもとてもおかしな事だ。

5.内装・リフォーム

  • 増税前は好調だったが、増税後はピタッと止まった。消費税10%を先送りにしてほしい。増税需要もあり一時的に資金繰りは改善できたが、今後 需要が停滞する夏以降の戦略を実行できないと深刻な事態になる。増税需要の為、業界自体が忙しくなり職人の確保が困難になった分クレームが大変多い。今後、その対応にも追われるところも増える。受注量の波が激しすぎる感じる。

6.電気設備

  • 東京電力、関西電力発注工事の談合によりこの地域でも大手工事会社が、指名停止、営業停止を受けている。その影響もあり電気工事、通信工事ともに業者によって忙しい業者と暇な業者が一時的に出てきている。また業界では、工事担当者不足によりこれ以上の受注が難しくなっている為、受注活動に制約が見られる。その結果、受注金額の値上がりがおきている。

7.左官工事

  • 消費税の引き上げの影響では引渡しの時期が4月に片寄った。元請け契約が4月以降になり、弊社の仕事の開始時期は、8月以降になるため仕事は激減している。年末からは仕事量が急激に増加するため人員の確保が難しい状態である。

8.塗装工事

  • 建設業を取り巻く環境は好転しているようにみえるが、人材確保難と業界からの人離れが深刻な問題となっている。 受注環境はよくなっているが、人材不足で受注制限せざるを得ない状況がある。五年先を見据えるとこの問題はもっと深刻化する。2014年現在400万人いる建設工事従事者が 2027年には230万人に減少するという統計もでており、今後建設業界が抱える問題は「極度な高齢化」「人材確保難」「外国人雇用者の増」と問題が山積み。今後の展開を真剣に考えなければならない。

9.建築設計

  • 建築費が高すぎて、3月までは仕事はあるが動きがなかった。通常より6割も高い物件もあり、何をやっても採算があわない。しかし人手も空いて きたため、4月以降は3割高で済むようになると、一気に仕事が動き出した。高額住宅の施主が様子を見ていたのか、建築価格が下がるのを見て個人住宅も動き始めている。

(2)製造業

●主要指標のDI値は「今月の状況」「前年同月比」で大きく下げ「次期見通し」は上昇、いずれも水面上にとどまる形となっています(グラフ参照)。

製造業 業況推移DIグラフ (クリックすると大きく表示します)

製造業 業況推移DIグラフ
(クリックすると大きく表示します)

消費税増税後の予測を過去の経験から厳しく見積もったのに対比して仕事量の面では予想程には悪くならなかったという安堵の声がありました。一方 で採算面では、仕入価格DIが61と調査開始以来の最高値を示し、値下げ要求は厳しさを増しています。また、実際に納税する段階で資金面や採算面の負担を 実感する経営者が多いのが実情ではないかとの警鐘もあり、法人税減税の代替財源として中小企業への課税強化が議論されていることに対して強い義憤の声も散見されました。

東南アジアなどの海外需要増に関わっているか否か、また同業界内でも仕事の繁閑はバラツキが大きくなっているようです。良いと回答する企業の裏側で、同業者や仕入先の倒産および廃業などの記述が今回は特に目立ち注意が必要です。(事務局 加藤)

1.金属加工量産部品

  • 4~5月の落ち込みは予想範囲内であったが6月以降の内示は予想以上に早く回復する兆候。しかし諸外国との関係如何による景気への影響が懸念される。メーカーは国内ではなく海外増産に主軸がある。
  • 海外移転による仕事量の減少に加えコストダウンの要求に苦慮。メーカーは空前の利益にもかかわらず厳しい要求額を提示する。極端な縮小を覚悟しつつ企業変革し続けるには相当な体力と戦略が必要。コスト以外に要求される品質も厳しくなり経営を圧迫する要因も増大している。
  • 東南アジア等の海外向けが忙しい。中国に移管した部品が品質面で日本に戻ってきている。電気代の値上げが利益を大きく圧迫するためコージェネレーションの具体化に向け検討し始めている。

2.樹脂加工量産部品

  • 増税の減産は厳しい予測より少なかった。自動車以外の市場を探すが量とコスト面で利益確保が困難。
  • 量産品の新規受注が困難になり試作品や小ロット特殊品の受注が多くなった。対応力が求められるため 長い視点での人材育成が生き残りのカギとなる。
  • 見積依頼は来るが要求価格が低すぎて受注できない。原材料の大幅値上げ要求に応えざるを得ず採算が相当厳しい。仕入はインフレ、販売はデフレの様相。これでは経営をやっていけない。
  • 消費増税反動の影響が予想以上に大きく資金繰りが急速に窮屈になっている。

3.鋳造、表面処理

  • 仕事量は業界別および同業界内にも格差が激しく、廃業や倒産が加速し空洞化が進んでいる。
  • 海外へも展開をしており新興国の政情不安と日中関係の動向に注視が必要。
  • 廃業する業者の仕事が流れてくるが単価が安すぎる。指値は断るが非常に安い単価加工に苦慮している。
  • 自動車部品関係はどんどん仕事が減っているが人材募集しても人が来ない。昔は大手が儲かれば中小企業も儲かる時代があったが、現在は大手だけが儲かる時代になってしまった。

4.治工具、設備、機械部品、ロボット

  • 自動車向け設備投資はかなり高い水準にある。北米、東南アジアなどの海外需要が繁忙になっている。 大企業が好調なため人材不足が大きな課題となっている。
  • 大手自動車メーカーのライン設備が一段落した感がある。
  • 顧客が輸出産業のため消費税の影響は限定的。但し主戦場である設備投資分野は国内外とも依然低調。
  • 自主的値下げ要求がさらに厳しくなり利益に大幅な影響を受けている。
  • 消費増税分をまだ実際に納税していない経営者が「増税の影響は余りない」等と多く述べているが、消費税の仕組み自体を理解しているのか心配。中小企業の消費増税負担はこれからが本番だと思う。
  • 国内設備投資の見通しがつかないためタイ進出を決めたが政情不安や戒厳令に困惑。しかしASEAN の中心になっているのは事実なので動向を見極めながら慎重に進めていく。

5.家具、建材、食品

  • 大企業の法人減税で中小企業の課税を強化するのは由々しき事態。経済活力を削ぎ本末転倒も甚だしい。
  • 東京オリンピックまでの関東地区大型物件へ対応するために計画的在庫を進める必要がある。輸送便の確保が困難でコストアップが負担になっている。
  • 原材料の値上げに対して製品の値上げが遅れている。

6.特殊印刷・印刷、繊維

  • 短納期でばたつく割に仕事の絶対量が少なく要求品質が厳しい。不良改善が思うように進まない。
  • 4月までは特需分があったが5月にピタッと止まった。仕入単価上昇を転嫁するタイミングが難しい。
  • アベノミクスの言っている好循環は全く無いと感じている。

(3)流通業

●今月の業況判断DIは26→6、経常利益DIは17→4と、どちらも全業種の中で最も低いDI値となりました。4月からの消費増税の影響では、 「一般消費者の需要の落ち込み(日用品、衣服、食料品、自動車部品)、駆け込みの反動による減少(不動産)」、消費税以外では「取引先の廃業、仕入原価の 上昇」等が記述回答にあがっています。今月の仕入価格DIは41→44、販売価格DIは13→12と仕入と販売のDIの差が拡大し、さらに次期見通しで は、仕入価格DIが1ポイント上昇し高値で安定する一方、販売価格DIはが3ポイント低下、さらにその差が拡大し収益の落ち込みが懸念されます。

次期見通しのDIは、売上高△11→3、経常利益6→7、業況判断7→15と好転、自動車、半導体関連での動きがけん引しているようです。また業界にかかわらず、市場動向にアンテナを張り付加価値を確保する経営努力の重要性があげられています。(事務局 岩附)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • 経済産業省の生産向上設備投資促進税制を利用すると思われる納入案件が出てきた。今後増える。
  • 消費増税による大手企業の日当り生産数の調整は6月までと限定的で、7月以降の生産数増加に対して受注チャンスを逃さないようにしたい。その一方で、海外案件は下請け先を確保することが困難なほど件数がある。
  • 半導体関連で需要が急伸して、仕入先の供給が追いつかない。中国のスマートフォン関連の特定ユーザーは動きが急なため業界全体が一つの需要に振り回されている。受注出来たところは、納期対応で大変なことになっている一方、受注できなかったところは何も無い状況。

2.建築資材、家具

  • これから名古屋駅前の高層ビル工事が本格化されるが、年末から絶対人数が不足し混乱する。当然ながら職人工賃は上がり、現状にて契約している業者はかなり苦しくなる。
  • 「良い」という実感はない。遊技場関連は、資材人件費関係の単価上昇で全体の建築費が上がり、計画変更、延期、中止等で年内実行物件数としては確実に減っている。そのうえ、消費増税でさらに全体の建築費が上昇。
  • 4月の消費増税後需要が急速に冷え込み相場も急落状況になっている。5月になりようやく落ち着いてきているが6月頃までは一進一退状況が続き、7月頃から本格的に需要は回復すると思われる。

3.繊維、衣服、雑貨

  • 輸入商品のため、円安局面で商品の売り単価を上げたが、売上は昨年に比べ厳しい。法人税減税の恒久財源のため中小企業も含め外形標準課税が導入されると聞くが、中小企業で業績が伸び悩む会社は潰れろと言うことか。商品企画により力を入れ、売上の挽回を図りたい。
  • 中国製品が今まで通りの値段では作れなくなり、多少は利幅の取れる価格帯へ移行しようとしている。小売店がどこまでついてこられるか。路面店の個人の小売店舗は、高齢化が進み後継ぎがいないため閉店を余儀なくされている。
  • 増税後想定していたよりは悪くないが、決して良いとは言えない。増税後も販売価格を据え置いている小売店に対しては、仕入れ原価の上昇分を転嫁しづらい状況が続いている。

4.運輸、情報通信

  • 工作機械業界に特化した運送業だが、国内の鋳物業者の廃業が止まらず、部品の海外調達比率の上昇も止まらない。よって物作りの空洞化は止められないと改めて感じる。大手メーカーの地産地消とグローバルな対応による為替やカントリーリスクの分散も益々進むだろう。
  • 労働集約産業であるソフト開発は、法定福利費の上昇や育休などによる労働時間の短縮につながることは経営を疲弊させる。政府の政策がこれ以上中小企業の経営を圧迫しないことを望む。
  • 客先の業界を見ても良い業界と悪い業界という区分より、同じ業界でも良い企業と悪い企業が同時に存在しており、何か一つだけに注力すれば競争力を持てるような時代背景ではない。

5.不動産、保険

  • 不動産業界は、消費税に対する「エンドユーザー」の誤解や、また駆け込みによる数の減少が間違いなく出ている。また、消費者全体が「更なる値上げ」に対する警戒感で家・車などは様子見感がある。
  • 保険代理店業界は、これから委任型代理店という制度がなくなり雇用・共同募集型の代理店としての契約といった形態になる。体力差による格差が拡がり、さらに選別化が一層進むような気配を感じる。

(4)サービス業

●「駆け込み需要」が起こりにくい半面、その反動も小さいと考えられたサービス業の業況判断DI「今月の状況」は25→22(3ポイント悪化)で、 20~30ポイントの悪化を示した他業種に比べて軽微なマイナスに留まりましたが、経常利益DIは22→12で10ポイントの悪化となりました。資金繰り DIは「今月の状況」△30→△30、「次期見通し」△27→△30で共に横ばい、雇用動向DIは「今月の状況」△41→△35、「次期見通し」 △37→△35と数値では不足感が緩和していますが、対個人向けサービス業では半数以上が「不足」と回答しており、「経験者の人材募集をしているが反応が 悪い。こんなことは経験がない」「営業を縮小・廃業する店がある」「やっと育った若手社員を引き抜かれた」等の深刻な声が寄せられています。

経営上の問題点は先回に引き続き1.従業員の不足36%、2.新規参入者の増加32%、3.人件費の増加26%で、昨年8月調査より従業員の不足が 常にトップとなっています。経営上の力点は1.新規受注(顧客)の確保59%、2.付加価値の増大54%、3.社員教育34%、対個人サービス業の経営上 の力点は1.社員教育54%でした。人材確保と育成がますます要となっています。(事務局 浅井)

1.飲食

  • 消費税増税の影響は業界全体でみればそれほど感じなかったが業績の二極化が進行し、特徴のない安価な店や、お店の売りと顧客ニーズのズレを修正できなかった店は苦戦傾向にある。
  • 消費税増税を機に今までの仕入れ価格の値上がり分も販売価格に上乗せした。3カ月位は売上の落ち込みを予想したが、今のところ影響はない。接待交際費が増加していると感じる。

2.生活・健康・美容

  • 業界内のM&Aが加速しており、勝ち組負け組が分かれている価格破壊のお店にも同様の動きがある。
  • 自社は前年に比べて、新規の業務、販売価格の値上げ、競合相手の廃業等があり、全体的に良い業況となったが、夏以降は全く不透明で消費者の動向が予測できない。
  • 葬祭業界は大手企業の参入及びネット上での格安葬儀により、葬儀単価が急降下状態。ますます加速する少子高齢化により、団塊世代の死亡率は上昇するも1件あたりの売上が伸びず、また件数が増えると雇用もしくは外注人材を上げなくては対応できない。次世代のお葬式に対する希薄化的思考、承継問題 そして介護事業が大きく発展するほど葬儀に対する予算はカットされる。打開策としては、葬儀一元化ではなく、新規事業を確立させ他からの収益確保が必須と 考える。

3.印刷・広告

  • 広告に対して前向きな姿勢が見られるが、昔のようなバブリーな広告費の使い方はなく、出来るだけ安く抑える意向が強い。消費税増税による仕事量への影響は特にない。
  • 消費税増税後の受注減が思ったより響いている。引き合いは出てきているが受注につながらない。

4.自動車

  • 自動車鈑金修理において、事故の際に保険を利用すると今後3年間保険料が高くなる制度が始まり、ちょっとのキズでは修理しなくなった。よほど付加価値を高めないと売上減少になりうる。
  • 消費者が通販やオークションといった、小売店と対抗するシステムから購入する事実から、自らもそのシステム構築をすることになった。技術を要する作業に関しては、少し上向きの部分も出てきている。人が出来ないこと、嫌がる事を率先してやることにしている。

5.ビジネス支援

  • 取引先は忙しいところが多い。あまりにも忙しすぎても当所が得意とする風土づくり、評価制度づくりなどが後回しにされるので、若干危惧している。

6.産廃・環境

  • 消費税の駆け込み需要の影響で人手不足であったが現状は落着いてきている。ただ熟練工が少なく現場施工の遅れ、事故などが発生している。

7.保険・医療・福祉

  • 消費税が上がり社会保障に充てられているが、介護業界はなかなかその実感がない。人材を確保するための介護報酬が少なくなっている。