景況調査

第89号-2016年2月
景況感大幅に悪化
~本格的な不況到来に備えた準備を!~

【概況】
【業況判断】 今月の状況、全業種で大幅悪化
【売上高】・【経常利益】 売上高・経常利益、製造業・流通業に牽引され前年同月比で5期ぶりの悪化
【在庫感】 流通業、前年同月比で4期連続の「増加」超過幅拡大も次期見通しは「不足」超過
【取引条件】 建設業で「好転」超過幅拡大
【資金繰り】 今月の状況・次期見通しともに「窮屈」超過幅拡大
【設備過不足】・【施設稼働率】 設備過不足、流通業・サービス業で不足感高まる。施設稼働率、両業種で「低下」超過に
【雇用】 今月の状況、5割超が「不足」と回答
【価格変動】 仕入価格、7期連続の「上昇」超過幅縮小。販売価格、製造業・流通業の悪化目立つ
【借入金利】 短期・長期ともに「低下」超過幅拡大
【経営上の力点など】 経営上の問題点、今回も第1位は断トツで「従業員の不足」

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:546KB)

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景況調査報告(2016年2月)第89号(PDF:1.34MB)


【概況】

業況が「よい」と回答した企業から「悪い」と回答した企業を差し引いた業況判断DI(今月の状況)は前回調査の29から18と11ポイントもの大幅な悪化となりました。前年同月比も前回の10から9ポイント悪化して1に、3ヶ月後の次期見通しも25から23と2ポイントながら2期連続の悪化となりました。今回は今月の状況・前年同月比ともに大幅に悪化しましたが、なかでも製造業と流通業の前年同月比の値は大幅なマイナスとなっており、愛知経済は油断ならない局面に入っていると考えられます。

ヒアリング調査はアンケート調査の結果を裏付けるものとなりました。製造業ではロボット関連企業が好調であるとの指摘がありました。しかし自動車関連企業からは生産に携わる車種によって忙しさに偏りがあること、繁忙な企業でも単価の低さから厳しい状況にあるという意見が出されました。さらに中国経済の減速や2月に行われたトヨタ自動車の国内工場の操業停止の影響は小さくなく、このことが大幅な景況感の悪化の一因となったようです。例えば、他のメーカーの部品も生産している一部の企業では生産ラインを完全に停止できなかったために、ランニングコストは変わらないものの売上げは減少し、資金繰りが厳しくなったとの説明がありました。しかもこの操業停止の巻き返しも期待していたほどではないうえに、夏以降の減産を予想する声もあり、先行き不安が増しているようです。

建設業からは、官需は年度末ということもあり仕事量が少ないものの、民需は戸建て住宅や賃貸マンションの建設などが堅調であるとの意見が出されました。ただし、この民需の動きも以前ほどの活発さはないようです。また職人不足による労務費上昇のため、仕事はあっても採算が合わないという意見もありました。先行きについては、官需では省エネに関する補助金などへの期待の声があがりましたが、民需からは名古屋中心部の大規模な再開発が終盤に差し掛かり、今後を案じる声が聞かれました。個人消費関連からは今回も明るい話は出てきませんでした。

今回、愛知では景況感が大きく悪化しましたが、これを一時的なものとみるには、国の内外問わず景気を底上げする要因に乏しいと言わざるを得ません。それゆえ先行きへの警戒感が高まり、2期連続の見通し悪化となっているものと思われます。これから中国経済の減速や米国での利上げの影響が本格化すると考えられますが、現状では両国の代わりに世界経済を牽引する国が出てくると期待することは難しく、本格的な不況が到来する可能性も否定できません。そのような最悪の場合に備えて、今から何をすべきか考えておくことが必要です。

[調査要項]

調査日 2016年2月8日~2月18日
対象企業 愛知中小企業家同友会
調査方法 会員専用サイト「あいどる」
回答企業 会員企業より1411社の回答を得た。業種内訳は以下。
(建設業206社、製造業328社、流通業425社、サービス業452社)
平均従業員 24.8名(中央値8名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議での検討を経てなされたものです。

【業況判断】 今月の状況、全業種で大幅悪化

「今月の状況」DIは前回の29から18と11ポイント悪化した。業種別で見ると、建設業が44から34と10ポイント、製造業が25から8と17ポイント、流通業が18から9と9ポイント、サービス業が35から26と9ポイントと全業種で大幅に悪化した。前年同月比も前回の10から9ポイント悪化して1となった。悪化は2014年11月調査以来のことである。業種別で見ても、建設業が13から9と4ポイント、製造業が4から△13と17ポイント、流通業が△2から△8と6ポイント、サービス業が23から15と8ポイントとここでも全業種で悪化した。「悪化」超過となった製造業と流通業では「悪化」と回答した企業の割合が4割近くにも達している。3ヶ月後の次期見通しは前回の25から23と2ポイントながら悪化した。これで約3年ぶりの2期連続悪化となった。業種別で見ると、建設業が35から29と6ポイント、製造業が22から13と9ポイント見通しを悪化させたのに対して、流通業が15から17、サービス業が31から33とそれぞれ2ポイントながら見通し改善となっている。

業況推移DIグラフ (クリックすると拡大表示します)

業況推移DIグラフ
(クリックすると拡大表示します)

【売上高】・【経常利益】
売上高・経常利益、製造業・流通業に牽引され前年同月比で5期ぶりの悪化

売上高DI(前年同月比)は前回の10から4と6ポイントの悪化となった。悪化は2014年11月調査以来のことである。業種別で見ると、建設業は13から11とほぼ横ばいでの推移となったが、製造業は3から△8と11ポイント、流通業は0から△4と4ポイント、サービス業は23から17と6ポイントの悪化となっている。売上高でも製造業と流通業は「減少」超過に転じている。次期見通しは前回の9から8と横ばいで推移した。業種別で見ると、建設業では18から6と12ポイント、製造業では4から△9と13ポイント見通しが悪化したが、流通業は2から7と5ポイント、サービス業が13から23と10ポイント改善した。

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の30から9ポイント悪化して21となった。業種別で見ても、建設業が41から33と8ポイント、製造業が29から20と9ポイント、流通業が20から11と9ポイント、サービス業が36から26と10ポイントそれぞれ悪化している。前年同月比も前回の9から6ポイント悪化して3となった。悪化はやはり2014年11月調査以来のことである。業種別では、建設業が13から11と横ばいで推移したが、製造業が3から△7と10ポイント、流通業が2から△3と5ポイント、サービス業が18から12と6ポイント悪化した。ここでも製造業と流通業の悪化が目立つ。次期見通しも前回の25から20と5ポイント悪化した。業種別で見ると、建設業が28から20と8ポイント、製造業が23から10と13ポイント、サービス業が30から27と3ポイント見通しを悪化させた。流通業だけは19から20と横ばいの見通しとなっている。

売上高推移DIグラフ (クリックすると拡大表示します)

売上高推移DIグラフ
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経常利益推移DIグラフ (クリックすると拡大表示します)

経常利益推移DIグラフ
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【在庫感】 流通業、前年同月比で4期連続の「増加」超過幅拡大も次期見通しは「不足」超過

今月の状況DIは、前回の5から7と大きな変化はなった。業種別で見ると、製造業(1→9)では「過剰」超過幅が拡大したが、流通業(9→5)では反対に縮小した。前年同月比は前回の3から3ポイント「増加」超過幅が拡大して6となった。業種別で見ると、製造業(0→4)・流通業(6→8)ともに「増加」超過幅が拡大している。流通業は毎回の変動幅はわずかとはいえ、これで4期連続の「増加」超過幅拡大となっている。次期見通しは前回の3から変化がなかったが、業種別で見ると、製造業(2→10)は「過剰」見通しの超過幅が拡大したが、流通業(4→△3)は「不足」見通しに転じており、業種で全く異なる動きとなっている。

【取引条件】 建設業で「好転」超過幅拡大

前年同月比DIは前回調査(1)から変化がなかった。業種別で見ると、建設業(8→13)だけが「好転」超過幅拡大となった。製造業(△4→△1)は「悪化」超過幅が縮小したが、流通業(0→△4)は拡大した。サービス業(3)は変化がなかった。次期見通しは前回の1から2と横ばいで推移した。業種別で見ると、建設業(3→8)が「好転」見通しの超過幅を拡大させたが、製造業(△2→△1)・流通業(△1→0)・サービス業(3→2)はそれぞれ横ばいでの推移となった。

【資金繰り】 今月の状況・次期見通しともに「窮屈」超過幅拡大

今月の状況DIは前回の△21から4ポイント「窮屈」超過幅が拡大して△25となった。業種別で見ると、建設業(△23→△27)・製造業(△18→△22)・サービス業(△20→△27)は「窮屈」超過幅が拡大したが、流通業(△25→△23)だけは横ばいで推移した。次期見通しも前回の△21から3ポイント「窮屈」超過幅が拡大して△24となった。業種別で見ると、建設業(△25→△26)は横ばいで推移したが、製造業(△20→△27)・サービス業(△17→△22)は「窮屈」見通しの超過幅が拡大した。流通業(△25→△22)は反対に縮小した。

【設備過不足】・【施設稼働率】
設備過不足、流通業・サービス業で不足感高まる
施設稼働率、両業種で「低下」超過に

設備過不足DI(今月の状況)は前回の△16から△18と小幅な動きにとどまった。業種別で見ると、建設業(△22→△20)・製造業(△18→△17)は横ばいでの推移となったが、流通業(△9→△16)・サービス業(△17→△20)は「不足」超過幅が拡大した。次期見通しは前回調査の△15から変化がなかった。業種別で見ると、建設業(△22→△16)・製造業(△15→△12)は「不足」見通しの超過幅が縮小したが、流通業(△11→△15)は拡大した。サービス業(△16→△18)は横ばいで推移した。

施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の1から△4と「低下」超過に転じた。業種別で見ると、製造業(5→△6)・流通業(△4→△1)ともに「低下」超過となっているものの、その動きは異なっている。次期見通しは前回の△1から3ポイント「低下」超過幅が拡大して△4となった。業種別で見ると、製造業(0→△5)は「低下」超過幅が拡大し、2014年11月調査以来の「低下」見通し超過に転じた。流通業(△3→△2)は横ばいで推移した。

【雇用】 今月の状況、5割超が「不足」と回答

今月の状況DIは前回の△46から変化がなく、5割を超える企業が「不足」と回答している。業種別で見ても、建設業(△62→△61)・製造業(△42→△41)・流通業(△39→△40)・サービス業(△47→△49)と全業種が高位での横ばいとなっている。なかでも建設業での不足感は著しく、3分の2の企業が不足を感じている。次期見通しは前回の△42から4ポイント「不足」超過幅が縮小して△38となった。「不足」見通しの超過幅が縮小するのは3期ぶりのことである。業種別で見ると、建設業(△58→△56)・製造業(△35→△33)は横ばいで推移し、流通業(△36→△33)・サービス業(△44→△39)は「不足」見通しの超過幅を縮小させた。

【価格変動】
仕入価格、7期連続の「上昇」超過幅縮小
販売価格、製造業・流通業の悪化目立つ

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の20から8ポイント「上昇」超過幅が縮小して12となった。2014年5月調査の50をピークに横ばいをはさみながらもこれで7期連続の「上昇」超過幅の縮小である。業種別で見ても、建設業(23→19)・製造業(18→7)・流通業(21→11)・サービス業(16→13)と全業種で「上昇」超過幅が縮小している。前年同月比も前回の23から14と9ポイント「上昇」超過幅が縮小し、7期連続の縮小となった。業種別見ても、建設業(29→24)・製造業(20→10)・流通業(24→12)・サービス業(19→16)とここでも全業種で「上昇」超過幅の縮小が確認できる。次期見通しも前回調査の15から11と4ポイントの「上昇」超過幅縮小となった。業種別では、建設業(17→15)・サービス業(15→13)は横ばいでの推移となったが、製造業(12→8)・流通業(18→9)では「上昇」見通しの超過幅が縮小した。

販売価格変動DI(今月の状況)は前回の5から1と4ポイント「上昇」超過幅が縮小した。横ばいを含むもののこれで4期連続の縮小である。業種別では、建設業(11→9)・サービス業(6→5)は横ばいで推移したが、製造業(0→△3)・流通業(4→△3)は「低下」超過に転じた。製造業は2年ぶり、流通業は3年ぶりの「低下」超過である。前年同期比も前回の6から4とわずかではあるが「上昇」超過幅が縮小した。業種別で見ると、建設業(11→12)・サービス業(7→8)は大きな変化がなかったが、製造業(0→△3)は「低下」超過に転じ、流通業(5→0)は「上昇」超過幅が縮小した。次期見通しも前回調査の3からわずかに「上昇」超過幅が縮小して1となった。業種別で見ると、建設業(3→5)・サービス業(6→4)はほぼ横ばいで推移したが、製造業(1→△2)・流通業(0→△3)ともに「低下」見通し超過に転じた。

【借入金利】 短期・長期ともに「低下」超過幅拡大

短期借入金利DIは前回調査の△6から3ポイント「低下」超過幅が拡大して△9となった。業種別では、建設業(△6)は変化がなく、サービス業(△4→△6)は横ばいで推移した。製造業(△7→△12)・流通業(△5→△11)は「低下」超過幅が拡大した。

長期借入金利DIも前回の△7から△11と4ポイント「低下」超過幅が拡大した。業種別で見ると、建設業(△6→△12)・製造業(△8→△12)・流通業(△8→△13)では「低下」超過幅が拡大した。サービス業(△6→△8)は横ばいでの推移となった。

【経営上の力点など】 経営上の問題点、今回も第1位は断トツで「従業員の不足」

全業種で見た経営上の問題点は、第1位が前回と変わらず「従業員の不足」が45%で飛び抜けている。それに「民間需要の停滞」と「人件費の増加」がともに24%で続いた。業種別で見て特徴があったのは、前回調査と同様、建設業で「下請業者の確保難」(43%)、製造業で「熟練技術者の確保難」(29%)、サービス業で「新規参入者の増加」(35%)がそれぞれ第2位になっていること、流通業で「取引先の減少」(25%)が第3位になっていることである。文書回答では「事業継承」や「販売単価の下落」などがあった。

全業種における経営上の力点も、前回と変化はなく第1位が「付加価値の増大」(58%)、第2位が「新規受注(顧客)の確保」(53%)、第3位が「人材確保」(36%)であった。文書回答では「労働環境の整備」や「商品開発」などがあった。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●建設業の主要DI値は水面上ながら2期連続で低下、下がり幅も大きくなっています(グラフ参照)。首都圏から在庫の積み上がりが名古屋圏にも波及し分譲マンション着工は激減、名古屋駅前再開発工事も一段落感があり鋼材資材価格の低下とあわせ建築コストは少し落ち着いてきている模様です。官公需の動きもよくなく注意すべき局面に入りました。しかし雇用動向は依然として高い人手不足の状態が続いています。大型プロジェクトにおける中小企業の実受注割合やマクロ経済動向および最終消費需要の状況などをよく把握しつつ、人材育成や技術継承および社会から求められる新たな中小企業の仕事に果敢にチャレンジしていきたいものです。(事務局 加藤)

業況判断DIグラフ(建設業) (クリックすると拡大表示します)

業況判断DIグラフ(建設業)
(クリックすると拡大表示します)

1.建築設計、不動産
  • 2月から建設需要が急減し名駅前の再開発業務も一段落ぎみでゼネコンが中小分野に参入してきた。分譲マンションが急減、戸建てはそこそこ、賃貸はゼロ金利で底堅い。設備や工場は計画どおりに実施推移。建築単価が下がってきたので「そろそろ建てては」と勧めている。土地はまだこれから。今のような状態が丁度良いが落ち込みが激しいので危機感はないが心配になっている。
  • 賃貸不動産は名駅や栄地区にて依然活況が続くが供給オーバーの感。これからはビジネスホテルの建設需要が高まる。一般戸建てはコストもそんなに上がっていない。業界では業績格差が出てきている。
  • 住宅メーカーの業績悪化によりメーカーの分譲計画の進みが遅く4月以降に影響が出てくる。
2.総合工事、一般建築
  • 様子見な感じ。先行き不透明感でいっぱい。
  • 公共工事の発注が減少しており中小の工務店は今後厳しい状況になると予想される。
  • 当社に限ったことかもしれないが年度末の工事量が例年の60%程度しかなく危機感を感じている。
3.土木、鉄筋・鉄骨
  • 仕事量は増えてきてはいるが単価が下げられたままで赤字覚悟のものも多い。人件費の相場を根本から見直してほしい。人件費の相場が上がれば請負単価も上がるだろう。
  • 建築業法の影響で人材確保がさらに困難になっている。
  • 景気が良いという報道はどこのだれのことか。経団連の大企業はGDPの何割なのか。中小企業の実体統計は蔑かにされ一部大企業数字をクローズアップすることは国全体を良くすることに繋がるか。
  • 昨年末ごろ一部業者で安値受注の噂が広まり不安になったが今年になって躯体工事業界が全体的に落ち着いている。最近10代の若い人たちが少しづつ入職してきた。将来の夢を語らせて是が非でも実現させてあげたいと切に望む。
  • 鋼材単価下がり続けている。手間単価は不変だが組合に入っていない様な暇な同業他社は値下げして受注確保している模様。鋼材単価も手間単価もいつまでたっても不安定な業種である。
4.電気・通信工事
  • 官公需は3月いっぱいで終了。業者が多く入札がなかなかとれない。省エネ化や新電力化などが進み工場稼働率と電力量の連動が低くなってきている。中部地域の新電力参入は価格的に厳しく限られる。
  • 電気工事業は人手不足と工賃の上昇が目立ち、通信工事業は市場の縮小と価格競争激化が進行している。通信工事業者の廃業、倒産もこの地区でも目立ってきておりこの傾向はしばらく続くだろう。
5.屋根、塗装防水、給排水設備、サッシ建具
  • 忙しいにも関わらず取引単価は上がらないまま。発注先がこの忙しさが一時的なものとみているからだ。職人確保のため職人への発注単価は値上げしているので収益を圧迫している。
  • 外壁部門に比し伝統的な建材である瓦屋根工事が伸びず低迷したまま。地元三州瓦業界も建築様式の変化に合わせた製品開発をしており、優秀な製品を製造している日本の粘土瓦が衰退していくことは建築業界全体、日本の文化全体の大きな損失になる。中部地域の建築業者やビルダーは、愛知県の特産品である三州瓦の採用候補として選考していただきたい。
  • 昨年に大型工事として受注したマンション大規模改修工事が受注単価の安さと手離れの悪さで撤退。ビルや店舗などの工事へ転換したが量減少で一時赤字転落。工場設備投資の大型受注確保にて安定。
  • 下水処理場における資源の有効活用が大手企業から始まり、下水汚泥のバイオマス発電や水素製造、下水熱を利用した空調等新しい取り組みが現実化。中小企業の分野を探してチャレンジしていきたい。
6.内装、リフォーム
  • 昨年と比し工事量が激減。職人不足が問題になっているが目先全く足りている状態が続いている。消費税が10%になれば益々景気が落ち込み工事量が激減すると予測される。最悪の事を考え設備投資等は控えるようにし内部留保に努めるように方針を立てる。

(2)製造業

●前回調査で3期振りに上昇に転じた業況判断DI「今月の状況」の全業種DI値は、今回調査では再び下降(29→18)しています。業種別に見ても、全業種が下降傾向を示す中でも製造業の落ち込み(25→8)が顕著で、前年同月比(4→▲13)、次期見通し(22→13)のいずれも下降傾向を示しています。仕入価格DIも14年5月期をピークに緩やかに下がり続け(61→7)ていますが、販売価格も15年5月期調査から3期連続で下降(7→▲3)しています。その中で、雇用動向DIは製造業で(▲42→▲41)と、人手不足感は継続しています。製造業では、中国での設備投資が激減していることに加え、タイやインドネシアでも自動車の製造台数が前年同月比で25~30%ダウンしているなど、全体として先行きは不透明です。(事務局 井上一)

1.金属加工・樹脂加工
  • 当面の課題として、1.原油価格低下に依る原材料仕入価格の低下が見込まれ、競合他社の動向を含め製品販売価格への影響度合いが見えにくい点。2.特許など知的財産に対する事業の対応の遅れや十分な資金を投入する判断ができにくい点。3.海外進出に向けた準備の仕方が分からない点
  • 材料屋や工具屋の話を聞いていると、忙しいところが徐々に減ってきている感がある。弊社も見積りの案件が、昨年と一昨年と比べると減っている。勝ち組と負け組が分かれてきている感じをすごく受ける。
  • 情報のないまま短納期での注文が多く、工場稼働の平準化が難しい。単価は相変わらず厳しい。
2.機械部品・機械製造
  • 自動車部品製造企業では受注している車種によって活気の差が大きい。マイナンバーの施行により社員がネットで自社の雇用環境を調べるようになり、有給や最低賃金の問題で離職者がでたり、労働紛争が起こっている。社員がほとんど抜けて仕事がこなせなくなり、客先へ商権を返還した結果、事業の存続が危うくなっている零細の工場も見受けられる。
  • 自動車業界は円安効果と原価改善効果により最高益を上げている。しかし弊社の様な二次下請けは、国内需要の減少と原価改善(値下げ)で、売上・利益とも減少している。海外需要も北米以外はアジアを中心に停滞し、先が見えない状況が続く。
  • 新聞紙上では自動車業界は好景気との事だが、当社とその周辺(取引先)は単価の値下げが激しく、相見積だといわれ、どんどん安価になっている。紙面と現実が違いすぎて、景気のいい雰囲気作りのために発信している感じがして、新聞も信用できない。
  • 工作機械に関しては円安によるプチバブル状態もひと段落ついた感。これから正念場を迎えるのでは。
  • より一層の品質管理を求められる事もあり、加工以外で時間を割くことが多くなってきた。
3.印刷・包装関連
  • 遊技機系業界の極端な落ち込みが売り上げに影響している。スマホ・携帯業界も数年前は大きな柱のひとつだったが、現在はほとんど無いなど、どこかが増えるとどこかが減るの繰り返し。
  • 良いところとそうでないところとに二極分化してきている。「悪い悪い」と言っても最近数年間倒産がない。サバイバルゲーム化しているのかもしれない
  • いままで外注にお願いしていた仕事の中で、社内で生産できるものはできるだけ内製化するようにしています。内製・外注の判断をしっかりと行いながら利益を増やしていく方法を模索しています。同時にしっかりと利益を意識した価格の見直しも行っています。
4.食品・繊維製品・雑貨・身の回り品製造業
  • パートを募集してもなかなか集まらないので、単価が安いなど利益の出ない仕事はお断りしている。値上げも少しずつですが、聞いていただけるようになってきた。
  • 生産地の国内回帰が増えてきている。「日本製」を売りにしていきたい顧客(小売業)が多くインバウンド増加によるものと思われる。課題としては国内縫製業の絶対量不足と高齢化。ただ希少価値としての「日本製」を売りにするのであれば単価上昇は望めるものの限界はある。
  • 下請け業者の確保難が深刻な状況となってきたが、内製化にも限界がある。
  • 建設業界の景況はかなり悪いように感じます。いろいろな手を打ち続けるようにしないと、すぐに業績が悪くなる状況。
  • 伝統産業にも、補助金や教育ができるように、国の政策を進めてほしい。
  • 一時期止まっていたデフレの進行が始まっている。長く続くデフレの影響で協力会社、下請け、材料製造工場の廃業が増加している。

(3)流通業

●今回調査の業況判断DIは18→9、経常利益DIは20→11と、製造業でも他業種同様に大幅に下降しました。また仕入価格変動DIは3期連続で下降し21→11、販売価格変動DIは4期連続で下降し4→△3と、停滞傾向が明瞭となってきています。一方で雇用動向DIは△40で、人手不足感は一昨年からこの水準で推移し続けています。文章回答では国内個人消費の低迷、中国経済失速という大きな懸念材料に加え、消費税増税の影響を不安視する声も目立ちました。またA製鋼の事故をうけてのT社の生産ライン停止による打撃は、流通業においても少なくないようです。(事務局 政廣)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)
  • T社の生産は製鋼会社の影響で不安定な状況が続くと見込む。一方、新規金型の進捗状況は2017年度分の受注が始まっており金型メーカーはしばらく繁忙が続くので確実な情報の収集に努めたい。
  • 住宅着工が増えているが支給品も増えているため恩恵が少ない。工場物件に助けられてきたがひと段落した。施工業は忙しそうにしているが日売りが落ちてきている。見積も少ないので営業に先々の物件をとるよう指示している。
  • 自動車製造関連では、上流のみで仕事が完結し、下流の下請けまで回ってきていない。あっても、少量・安価・難しい仕事がパラパラ。手間暇掛けて動いても、売上・利益は動く程には増えない。悪い懸念材料は多くあっても、良い材料は殆ど聞かない。
  • 部品メーカーの生産は輸出があり、それなりのレベルをキープしているが、中国、タイ、インドネシアでの車の販売が思わしくないので先細りする懸念がある。ロボットメーカーは中国、東南アジアの旺盛な省人化ニーズのために高水準の生産を維持している。ただし、F社を除き、海外でのロボット生産を進めているので、国内生産が減ることも考えられる。
2.建築資材
  • 円安の影響で上がった仕入原価が原因で利益率が改善しない。
  • T車が一週間程稼働停止したことにより、今月の売上はさらに落ち込むこととなると思われる。
3.繊維、衣服、雑貨
  • 為替の大きな動きで非常にコストが不安定でリスクが伴う状況。ここ1年~2年は、段階的に仕入れ単価が上昇し、販売価格は商品飽和で下落している。アパレル(繊維)業界は市況が悪く大型倒産も年始から2件ほど身近であった。自社独自で値段競争に巻き込まれない商品を見つけることが重要。
  • 紳士服業界では、既製服の売れ行きが落ちる一方、付加価値の高い値ごろ感のあるオーダースーツが少しずつ伸びている。大手ロードサイドショップやアパレルがオーダースーツ市場への参入をしている。
  • 暖冬の影響も大きいと思うがここまでひどい冬は経験したことがなかった。業界の多くがマイナス思考になっている。消費者の節約思考が感じられる。
4.飲食料品
  • 民間需要の停滞により、この1・2月は例年にも増して厳しい。
  • お客様の購買意欲が減退しているように感じる。
5.運輸、情報通信
  • 一月中旬から、荷動きが低下しており2月に入っても改善されておらず、今後が不安視されている。燃料費の値下がりで収益は改善傾向にあるが、バス事故の発生により今後はさらに規制が強化されると予想され、業界全体としては安全面(高速道路の使用・点呼の強化による人件費増他)でコスト増になると思われる。人手不足はまったく改善されていないため、3月の繁忙期には輸送力低下のため、混乱が予想される。
  • 案件の引き合いは増加傾向にあるが、とにかく要員不足で全部を受け付けられない状況。採用については、新卒採用はそこそこ良いが、中途採用は厳しく、パートナー要員の確保もままならない。
6.保険、不動産
  • 自動車の自動運転などにより、自動車保険に売上の半分以上を依存してきた損害保険会社は、収入の大幅減少の手前にいる。自動車以外のどの分野で、特色を出し、勝ち残って行くのか、販売店(代理店)の真の力量が問われる事になりそうである。
  • 土地を購入し自宅を新築する人がかなり減ってきている。
  • 消費税アップは消費意欲を低下させる。買い渋り、不安が軽減できるような税対策を講じて欲しい。

(4)サービス業

●前回調査で上昇した主要指標は、今月は、業況判断DIが35→26、経常利益DIが36→26、前年同月比売上高DIが23→17と悪化し、回復は持続しませんでした。カテゴリー別では、今月の業況判断DIが、専門サービス業34→28、対個人サービス業32→23、対事業所サービス業33→24。今月の経常利益DIが、専門34→27、対個人33→25、対事業所41→24。前年同月比売上高DIが、専門24→19、対個人17→15、対事業所24→15といずれも落ち込みました。経営上の問題では、「新規参入者の増加」が3期連続で増加、今期は他業種の倍以上の回答結果でした。専門サービス業を筆頭に、医療・福祉・介護事業、産業廃棄物処理業、自動車整備などに多く見られ、顧客確保の経営努力を続ける中、経済政策の根本的転換を望む声が出ています。次期見通しは、売上高DIが13→23と持ち直したものの、経常利益DIは30→27、業況判断DIは31→33と横ばいとなっています。(事務局 岩附)

1.飲食業
  • 新店舗(総合居酒屋ビルなど)が年末から相次いで出店し、2月は大きく売り上げが減少した。影響は少なくとも3か月残るだろう。その後の回復状況次第でベースの売上高設定の再考を考えている。
2.自動車整備業
  • 大手新車販売店の内製化がさらに進んでいる。外部に利益を出さないように動きが強い。建物ガラスフィルム工事はスポットが多く、先が読みにくい。
3.物品賃貸業
  • 小売業は全体的に厳しい経営環境が続いており、経費削減の勢いは増すばかり。そういう背景が巻き起こした食料品の横流し問題が、取引の正常な在り方を考え直すきっかけになればありがたい。自社においては、お客様が自社の商品を販売増の必要経費と位置付けて頂く営業努力が必要だと考えている。
4.産廃・環境
  • 食材の横流し事件で、産廃業界全体の信用が下がった。もっと自社の信用を上げていく必要がある。景気の悪化による顧客の売上高も心配である。
  • 樹脂の加工をしているが、原油安により単価の下落が激しい。また、内外需の低下により販路は厳しく、先行きが不安。外的な要因に左右されている。
  • 建設コスト高、建築現場などに入場する際に社会保険加入の義務化で人件費、施工コストが上がった分を吸収できない。請負工事は、諸経費高騰が通用しない競争原理がいまだに続いている。
5.測定分析
  • グローバル化の結果の影響が国内に深刻なデフレ感をもたらしている。政府、大企業、日銀が揃って実体経済への対策を放棄し、国内の大部分を占める中小企業対策を口先だけの成長戦略や補助金ばらまきで景気回復を期待しているが間違っている。もはや活況ある成長景気は望めそうもなく、近い将来企業縮小・事業転換を計画したい。
6.学校教育
  • とうとうアベノミクスの化けの皮が剥げ、日本経済は奈落の底へと沈みつつある。一人一人の経済活動が日本経済を支えているのに、それに水を差す施策(増税、国の借金)ばかりでは、上向きにならないのは自明の理。経営者としては、従業員の給料を上げてやりたい。個人としては、もっと消費にお金を回したいという人ばかりだと思う。先行き不安を感じさせる政府のかじ取りでは慎重にならざるを得ない。
8.専門サービス業
  • もともと横の繋がりの薄い業界であったが、近年人材業界全体で人を共有すると言う動きが主流となってきた。人材不足の深刻さを物語っている。
  • 民間需要は減少傾向にあるのに新規参集者は増加しているという業界の情勢に,業界全体で頭を悩ませている。営業に力を入れていかなければならない。
  • 士業の没落は顕著。一億総中流の復活を望む。一億総中流で非正規雇用を廃止すれば、車、電気製品、自宅購入の消費意欲は向上してGDPも増えると思う。経済政策の根本的転換を望む。競争原理を導入して20年たったが、日本のGDPは明確に増えたといえない。