景況調査

第90号-2016年5月
景気の下降、より鮮明に
~3年ぶりに「悪化」超過となった前年同月比DI~

【概況】
【業況判断】 前年同月比、2013年2月調査以来の「悪化」超過
【売上高】・【経常利益】 売上高、前年同月比で2期連続の悪化。経常利益、製造業で大幅な悪化
【在庫感】 2期連続の「過剰」超過幅拡大
【取引条件】 業種により異なる動き
【資金繰り】 製造業のみ窮屈感高まる
【設備過不足】・【施設稼働率】 設備過不足、今月の状況で全業種が「不足」超過幅縮小。施設稼働率、「低下」超過幅拡大
【雇用】 1年ぶりの「不足」超過幅縮小
【価格変動】 仕入価格、わずかながら2年ぶりに「上昇」超過幅拡大。販売価格、製造業のみ「低下」超過
【借入金利】 短期・長期ともに大きな変化なし
【経営上の力点など】 経営上の問題点、第1位は前回同様「従業員の不足」

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:543KB)


【概況】

前年同期と比べて業況が「良くなった」という企業の割合から「悪くなった」という企業の割合を差し引いた前年同期比DIが△2となり、2013年2月調査以来3年ぶりに「悪化」超過に転じました。DI値は2期連続の悪化です。業況が「よい」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた業況判断DI(今月の状況)も前回の18から3ポイント悪化して15となり、やはり2期連続の悪化を示しました。また3か月後の次期見通しも前回の23から22と小幅ながらも3期連続の悪化となっています。景気がじりじり下降してきていることが看て取れます。

景況分析会議でも、アンケート調査の結果を裏付ける話が多く聞かれました。建設業からは、民需の動きを牽引してきた投資物件の建設が次第に落ち着きを見せつつあることや、名古屋中心部の再開発が完成間近となったことから以前ほどの忙しさはないという声があがりました。その結果、一部からは人手に余裕が出てきたとの意見も出されました。先行きに関しては、しばらくは大型物件の建設がないことから、悲観的な見通しが多く聞かれました。

前回に引き続いて業況悪化幅がもっとも大きかった製造業からは、自動車関連企業での苦しい状況が示されました。その要因として、熊本地震によるトヨタ自動車の操業停止や三菱自動車のデータ不正問題、円高の進展、中国経済の減速などが挙げられました。今回の操業停止の「巻き返し」は来年以降になる見通しですが、生産計画の見直しによって「巻き返し」自体が起きない可能性も否定できないようです。トヨタ自動車で部品共用化が始まる9月以降は仕事量が一部の企業に集約され、そこから外れる下請け企業は厳しい状況に追い込まれるかもしれないとする指摘もありました。また、設備関連の業界では「ものづくり補助金」に期待する声もありますが、昨年のような盛り上がりは期待できないだろうというのが主な意見でした。個人消費関連からは今回も明るい話は聞かれませんでした。

このように愛知経済の景気局面の変化は明らかです。今後についても特に製造業の業況を悪化させている中国経済の減速や為替相場の動向はすぐに好転するとは考えにくいことから、企業の設備投資意欲の減退など、景気の一層の落ち込みに警戒が必要な局面です。バブル崩壊時のような急激な景気悪化には誰しも慌てて対応しようとしますが、緩やかな悪化には対応が遅れがちになります。経営環境の変化を着実に把握して、いかに早く対応策を打ち出すかが今後の経営を大きく左右します。経営者はこれまで以上に情報収集に尽力することが求められます。

[調査要項]

調査日 2016年5月23日~5月31日
対象企業 愛知中小企業家同友会
調査方法 会員専用サイト「あいどる」
回答企業 会員企業より1601社の回答を得た。業種内訳は以下。
(建設業256社、製造業363社、流通業481社、サービス業501社)
平均従業員 23.6名(中央値8名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議での検討を経てなされたものです。

【業況判断】 前年同月比、2013年2月調査以来の「悪化」超過

「今月の状況」DIは前回の18から3ポイント悪化して15となった。これで2期連続の悪化である。業種別で見ると、建設業が34から32、流通業が9から7、サービス業が26から24とそれぞれ2ポイント悪化、製造業は8から1と7ポイントの悪化となり、全業種で悪化した。前年同月比は前回の1から3ポイント悪化して△2となった。前年同月比も2期連続の悪化で、2013年2月調査以来、13期ぶりの「悪化」超過となった。業種別で見ると、建設業が9から5と4ポイント、製造業が△13から△19と6ポイント、サービス業が15から12と3ポイント悪化した。流通業は△8から△9と横ばいであった。3ヶ月後の次期見通しは23から22と横ばいで推移した。業種別では、製造業は13から6と7ポイント、流通業は17から12と5ポイント悪化したが、建設業は29から37と8ポイント、サービス業は33から36と3ポイント改善した。

業況推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

業況推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

【売上高】・【経常利益】
売上高、前年同月比で2期連続の悪化
経常利益、製造業で大幅な悪化

売上高DI(前年同月比)は前回の4から0と4ポイントの悪化となった。これで2期連続の悪化である。業種別で見ると、建設業が11から3と8ポイント、製造業が△8から△17と9ポイント、流通業が△4から△6と2ポイントの悪化となった。サービス業は前回の17から変化がなかった。次期見通しは前回の8から7と大きな変化はなかった。業種別で見ると、建設業は6から13と7ポイント改善したが、流通業は7から△2と9ポイント悪化した。流通業における「減少」見通し超過は1年半ぶりのことである。製造業は△9から△8と横ばいで推移し、サービス業は23から変化がなかった。

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の21から20と横ばいでの推移となった。業種別で見ると、建設業が33から31、流通業が11から13、サービス業が26から28と大きな変化は見られなかったが、製造業は20から10と10ポイントもの悪化となった。前年同月比は前回の3から3ポイント悪化して0となった。2期連続の悪化である。業種別で見ると、建設業が11から5と6ポイント、製造業が△7から△17と10ポイントの悪化となった。流通業は△3から変化がなく、サービス業は12から13と小幅な動きにとどまった。次期見通しは前回調査の20から19と横ばいで推移した。業種別で見ると、建設業が20から30と10ポイント、サービス業が27から31と4ポイント見通しを改善させたが、製造業は10から5と5ポイント、流通業は20から13と7ポイント悪化させた。

【在庫感】 2期連続の「過剰」超過幅拡大

今月の状況DIは、前回調査の7から12と5ポイントの「過剰」超過幅拡大となった。「過剰」超過幅の拡大はこれで2期連続である。業種別で見ると、製造業では9から11と2ポイント、流通業では5から13と8ポイント「過剰」超過幅が拡大した。前年同月比も前回の6から9と3ポイント「増加」超過幅が拡大した。2期連続の超過幅拡大である。業種別で見ると、製造業は4から10と6ポイント「増加」超過幅が拡大したが、流通業(8)は変化がなかった。次期見通しは前回の3から3ポイント「過剰」見通しの超過幅が拡大して6となった。業種別で見ると、製造業は10から7と3ポイント「過剰」見通しの超過幅が縮小したが、流通業は△3から6と「過剰」見通し超過に転じた。

売上高推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

売上高推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)


経常利益推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

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【取引条件】 業種により異なる動き

前年同月比DIは前回の1から変化がなかった。業種別では、建設業(13→4)が9ポイントの「好転」超過幅縮小となった。流通業(△4→0)は「悪化」超過幅が縮小し、製造業(△1→△3)・サービス業(3→5)は横ばいでの推移となった。次期見通しも前回の2から変化がなかった。業種別で見ると建設業(8→6)・製造業(△1→△2)・流通業(0→0)・サービス業(2→4)とそれぞれ小幅な動きにとどまった。前年同月比・次期見通しともに各業種の動きは異なるものとなった。

【資金繰り】 製造業のみ窮屈感高まる

今月の状況DIは前回の△25から3ポイント「窮屈」超過幅が縮小して△22となった。業種別で見ると、建設業(△27→△21)・サービス業(△27→△19)では「窮屈」超過幅が縮小したが、製造業(△22→△28)は拡大した。流通業(△23)は変化がなかった。唯一「窮屈」超過幅が拡大した製造業では、「窮屈」と回答した企業が4割を超えた。次期見通しは前回の△24から△22と小幅な変動でとどまった。業種別では、建設業(△26→△22)・サービス業(△22→△17)では「窮屈」見通しの超過幅が縮小したが、製造業(△27→△30)では拡大した。流通業(△22)は前回と変わりがなかった。

【設備過不足】・【施設稼働率】
設備過不足、今月の状況で全業種が「不足」超過幅縮小
施設稼働率、「低下」超過幅拡大

設備過不足DI(今月の状況)は前回調査の△18から△13と5ポイント「不足」超過幅が縮小した。業種別では、建設業(△20→△15)・製造業(△17→△12)・流通業(△16→△11)・サービス業(△20→△17)と全業種で「不足」超過幅が縮小した。次期見通しは前回の△15から△14と横ばいでの推移となった。業種別で見ると、建設業(△16→△19)では「不足」見通しの超過幅が拡大したが、流通業(△15→△10)は縮小した。製造業(△12→△13)・サービス業(△18→△17)では横ばいでの推移となった。

施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の△4から△10と6ポイントの「低下」超過幅拡大となった。業種別で見ると、製造業(△6→△13)、流通業(△1→△6)の「低下」超過幅が拡大となった。次期見通しは前回の△4から△6と大きな動きはなかった。業種別で見ても、製造業(△5→△7)・流通業(△2→△4)ともに横ばいであった。

【雇用】 1年ぶりの「不足」超過幅縮小

今月の状況DIは前回の△46から6ポイント「不足」超過幅が縮小して△40となった。「不足」超過幅の縮小は1年ぶりのことである。業種別で見ても、建設業(△61→△51)・製造業(△41→△30)・流通業(△40→△38)・サービス業(△49→△42)の全業種で「不足」超過幅が縮小した。次期見通しは前回の△38→△37と大きな変動がなかった。業種別で見ても、建設業(△56→△55)・流通業(△33→△33)・サービス業(△39→△37)は横ばいで推移した。製造業(△33→△29)だけは「不足」見通しの超過幅が縮小した。

【価格変動】
仕入価格、わずかながら2年ぶりに「上昇」超過幅拡大
販売価格、製造業のみ「低下」超過

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の12から14と2ポイントながら「上昇」超過幅が拡大した。「上昇」超過幅の拡大は2014年5月調査以来のことである。業種別で見ると、建設業(19→21)・製造業(7→7)・サービス業(13→15)では小幅な変動となったが、流通業(11→15)は「上昇」超過幅が拡大した。前年同月比は前回の14から変化がなかった。業種別で見ると、建設業(24→23)・流通業(12→14)・サービス業(16→15)では大きな動きは見られなかったが、製造業(10→5)では「上昇」超過幅が縮小した。次期見通しは前回の11から10と横ばいで推移した。業種別では、建設業(15→12)・製造業(8→5)では「上昇」見通しの超過幅が縮小したが、流通業(9→10)・サービス業(13→14)は横ばいであった。

販売価格変動DI(今月の状況)は前回の1から2と大きな変化はなかった。業種別でみ見ると、建設業(9→7)・サービス業(5→6)は横ばいで推移した。製造業(△3→△7)は「低下」見通しの超過幅が拡大した。流通業(△3→3)は「上昇」超過に転じた。前年同月比は前回の4から3となった。業種別で見ると、建設業(12→6)は「上昇」超過幅が縮小したが、流通業(0→6)は拡大した。製造業(△3→△7)は「低下」超過幅が拡大し、サービス業(8→7)は横ばいで推移した。次期見通しは前回調査(1)から変化がなかった。業種別で見ると、建設業(5→3)・サービス業(4→3)は横ばいでの推移となったが、製造業(△2→△5)では「低下」見通しの超過幅が拡大し、流通業(△3→4)は「上昇」見通し超過に転じた。

【借入金利】 短期・長期ともに大きな変化なし

短期借入金利DIは前回調査の△9から△8と横ばいで推移した。業種別で見ると、建設業(△6→△11)では「低下」超過幅が拡大したが、製造業(△12→△9)では縮小した。流通業(△11→△10)・サービス業(△6→△5)では大きな変化は見られなかった。

長期借入金利DIは前回調査(△11)から変化がなかった。業種別で見ても、建設業(△12→△10)・製造業(△12→△14)・流通業(△13→△14)・サービス業(△8→△6)の全業種で大きな変化はなかった。

【経営上の力点など】 経営上の問題点、第1位は前回同様「従業員の不足」

全業種で見た経営上の問題点は、第1位は「従業員の不足」(44%)で前回から変化がなかった。それに「民間需要の停滞(27%)、「人件費の増加」(24%)が続いた。業種別で見て特徴があったのは、建設業で「下請業者の確保難」(37%)、サービス業で「新規参入者の増加」(29%)が第2位に、流通業で「取引先の減少」(25%)が第3位になっていることである。また「熟練技術者の確保」が建設業(24%)で第3位、製造業(26%)で第4位に入った。

全業種における経営上の力点は、前回と同じ順位で第1位「付加価値の増大」(55%)、第2位「新規受注(顧客)の確保」(53%)、第3位「人材確保」(35%)であった。業種別で特徴があったのは、製造業で第3位に「社員教育」(37%)が入ったことである。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●他の業種が2期連続で悪化し水面下入りする指標がいくつかある中で、建設業の主要DI値は水面上比較的高位で2~3期連続悪化し次期見通し上昇という結果になりました。季節変動要因を踏まえながら下記会員の声や分析会議でのヒアリング等を総合すると注意警戒が必要な局面であるといえます。

コスト高が落ち着き手控え需要が動き出した感がある一方、見積もり単価が下がってきていること、名古屋駅前開発等の大型プロジェクトも収束しつつあり次期案件までに期間があること、訪日外国人旅行客用ホテルや大型マンションおよび投資賃貸物件が堅調ながら勢いは半年ほど落ちてきていること、高齢福祉施設も保険制度の見直し等で慎重になってきたこと、人手不足感は高いものやや緩和され夏以降は関東へ動く話などが聞かれること、首都圏マンション契約率では大幅な低下が見られ(2016年2月73%→4月66%)旧物件から新物件へ人が移動するだけ、など空室在庫増加と供給過剰の状態に入っている様子などが伺われます。それにもかかわらず現局面需要の取込動機から投資建設は止められないという事態にあること、などが把握されました。

日銀による不動産投資信託(J-REAT)年間900億円の買い支え継続、容積率の緩和、外国人建設就労者受入事業など、積極的な経済政策が打ち出されていますが、利回りは下がり始め最終需要が伸びなければ限定的で危険な要素も孕みます。また、局地的な大規模プロジェクトは大企業を中心に仕事が回り中小企業にとっては当たり外れの格差を生んでおり、大企業の中小企業支配力を高めていく傾向が助長されていることも指摘されました。

官公需総額が横ばいで推移する中で、持続可能な地域社会づくりへの新たなインフラ整備や既存インフラの修繕更新、地道ながらもライフラインを支え安全安心な暮らしを支える公共投資など、地元地域中小企業が活躍できる持続的地域循環型経済活性化政策が期待されます。

また、経営者は目先の動向だけでなくマクロな視野で世界経済や金融のしくみや政策などを学び、長期的視野から短期局面の舵取りを行っていくことがますます重要になります。(事務局 加藤)

1.建築設計、不動産

  • 高騰していた建築費が落ち着きを取り戻しつつある。投資物件は底堅いがそれ以外は厳しい状況だ。
  • 行政施策や補助金が思いつきのように次々と出たり変更があり反動も含めて対応に振り回されている。
  • 不動産売買は消費増税駆け込みがあり順調だった。建売業者も消費増税駆け込み需要を期待し仕入れていた分、在庫の余剰が予想される。今後の住宅用地については売買が緩やかになるだろう。事業用地は工場建設の需要が減ってきたように感じる。

2.土木、鉄筋・鉄骨、基礎工事関連

  • 今後、リニア、オリンピック関連、名古屋駅再開発などの工事案件はあるが、本格的に稼働するには2年ほど後のことになりそうなため、現在は少し減少状態である。
  • 中部地区の大型工事はピークを過ぎ終焉に向かっている。期待されているリニアも不透明発注で当地区業者には無発注である。アベノミクス効果も歩留まり感が現実的になりつつあり、地元建設業者にとっては深刻な問題である。
  • 建設業界全体が今年になって未だ落ち着いたままであり最近安値受注業者も出てきたらしい。6~7年前の悪夢を繰り返さないために、顧客からの値下げ要請を安易に請けず無駄な安値競争を回避すべきだ。全国の技術者や技能士の将来の夢と希望を我々経営に携わるものが再び壊してはならない。

3.電気・通信工事、環境設備プラント関連

  • 駅前開発による大型案件工事も収束に向かい、全体的な建設工事の縮小が始まってきた。入札、見積もり合わせにおいても価格下落傾向がしばらく続くと予想される。
  • 環境装置の受注高は官公需要の停滞から減少している。景気対策としての補正予算を組んで上下水道やごみ処理施設等のライフラインの更新工事が必要である。

4.屋根、サッシ建具

  • マイナス金利と消費増税駆け込み需要からわりと活況の気配。但しローコスト住宅のさらに下をいくビルダー等もあらわれ儲けがないというより赤字にならないようにどうするか考えざるを得ない顧客もあり、本当の公共ではないという実感がある。
  • 生活必需品はインフレ感があるが建設業界末端は相変わらず価格減額の要請が来ている。

5.内装、リフォーム

  • 商業施設や展示施設など内装業界では、名駅を中心とする開発需要などにより商業基盤の拡張がなされ有り難い環境である反面、今後迎えるであろう改装工事需要に対しどれだけの対応力を維持することができるのかが大きな課題。新装工事は昼間工事が中心であるのに対し、改装工事は閉店後の夜から翌朝までの工事が中心となるだけに、施工人員の高齢化が進むなかで非常に不安な要素である。
(2)製造業

●業況判断、前年同月比、次期見通しとも、全業種DIが3期連続で落ち込む中、製造業は、業況判断(8→1)、前年同月比(▲13→▲19)、次期見通し(13→6)とも、他業種と比較しても落ち込みが激しくなっています。売上高DIでは次期見通しで▲9→▲8と若干の回復が期待されるも、経常利益DIでは前年同月比が▲7→▲17と、厳しさは増すと見て取れます。今後の見通しについては、現状では政府の「ものづくり補助金」頼みになっている状況ではありますが、ヒアリングでは「一攫千金を狙うようなものであり、先の見通しは明るくない」という声も聞かれました。(事務局 井上一)

1.金属加工・樹脂加工

  • 顧客の入れ替わりが多くなっている。全体の物量も全体的に年々減少傾向。
  • 大企業は大企業を、中企業は中企業を、小企業は小企業を、それぞれ相手に商売してきましたが、大企業が中小企業にまで商売の手を伸ばし、業界の秩序が乱れてきている。
  • 半導体設備関連の顧客からかなり先まで工程を押さえられてしまい、他の業界の仕事が受注できない。経営戦略との整合性の取れた社内体制をとる必要がある。

2.機械部品・機械製造

  • 量産品の引き合いが少なくなり、付加価値のある小ロット品を受注することが多くなってきたが、少数品ゆえに納期が短く、仕事のやりくりに工夫が必要な状況となっている。また、今まで少数短納期ということで、単価は比較的希望が通っていたが、最近値下げ交渉されたりする案件がでてきた。
  • 同業種の中でも格差が大きくなっている。
  • 業界が縮小傾向にあるため、同業他社も後継者を必要とせず廃業して行く事が自然かなと思います。
  • 先行きが不透明な中、販売先からの値下げ要請や新規参入業者の増加による販売価格の低下が著しい。
  • 人材不足は、計画の中で深刻に捉えなければいけないと感じるようになった。熟練者の募集もなかなか入ってこなくなりつつある。
  • 自動車業界について言えば今年度は穏やかな状況です。弊社では、全体の仕事量が昨年と比べてかなり減少すると見込んでいます。もちろん、品物によって動いている設備もありますが、来期に向けて仕事の確保・社内設備・人員など適正であるかなどを考慮し準備を進めております。

3.印刷・包装関連

  • 公民共に需要停滞が続いている感じで、拡大する気配が感じられない。大手企業の生産活動も熊本の震災の影響なのか鈍い感じ。
  • 印刷業界はパソコン・スマートフォン・WEBの発達・普及により、ずっと良くない。景気がよい企業と悪い企業がまだら模様。
  • 大阪であった、胆肝癌の社員の死亡事故により労働基準監督署が印刷業界へのチェックが始まり、半年毎に工場内の有機溶剤の濃度の測定や排気装置の拡大などの経費の増大があります。少人数の会社は大変です。

4.食品・繊維製品・雑貨・身の回り品製造業

  • 業界としてはかなり悪いです。愛知県の家具業界は他県に比べて悪くない話は聞きます。専門性の高い業種なため、どこまで品質を追求できるか、それをどう的確に発信できるか、が、生き残りの鍵となっています。一度インフラが崩れるとダメになってしまう業種なので、取引先との協力体制で、足腰の強い愛知県を目指しています。
  • 為替の動向が不安定である。円高がすすめばデフレに戻り販売先からの値下げ要請にあう。
  • 今まで経済を支えてきた、加工業を営む零細企業に廃業が相次いでいる。ユーザーはこれまで通りの物価を求めるが、無理が続いている状況。徐々に上層の会社にこの影響が出てくると思われるが、苦しむのは中小企業になっていると思う。少なくとも公の機関についてはもう少し考えるべきではないかと思う。
  • リーマン後は短納期・小ロットの細切れ納品が多くなり、最低ロット以下のおまけ追加が当たり前になり、利益をひねり出すのが難しくなってきています。
  • 4月から食品表示法が施行され、OEM生産の場合でも、同一商品をひとつの製造所でのみつくっている場合は、従来の製造所固有記号ではなく製造者の名称と所在地を表示しなければならなくなった(2020年3月末まで経過措置期間)。コンビニエンスストアチェーンの再編による発注量の増加と併せ、OEM製品の製造が複数の工場を持っているメーカーに変更されることが予想される。
(3)流通業

●業況判断DIでは、過去三期の次期見通し(15→17→12)と比較して、今月の状況(18→9→7)、前年同月比(▲2→▲8→▲9)ともに三期連続で下降、次期見通しと実態の大きな乖離が目立つ結果となりました。また雇用動向DIは▲38と、人手不足感が2014年以降この水準で推移し、業界全体の人材確保が著しく困難な状況が続いています。売上高DI・前年同月比(0→▲4→▲6)、経常利益DI・前年同月比(2→▲3→▲3)をみると、原油安による燃料費削減などの恩恵を一部受けるものの、依然として業界全体の価格競争が激化しているため、値上げによる利益確保が難しい状況が続いています。文章回答では、為替相場の変化や原油価格の上昇など、今後の経済動向を不安視する声が目立ちました。(事務局 墨)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • 消耗品を除き、機械器具の需要は例年通りだった。主に中国需要の影響から産業用ロボットと半導体製造装置は現在好調だが、工作機械は一時の勢いはない。
  • 円高の影響を受け、仕入れ価格が低下しているが、為替予約や在庫量等により、急な販売価格の引き下げ対応が困難。
  • 工場設備においては、動きがある企業とないところが分かれている。T社関連は新規も含めて動きは好調。工事などの請負案件は例年通りに推移しているが、物販は不調が続いている。
  • 家電関係は、猛暑予想の影響で、特に空調関係の動きが例年より早い。また支払方法については、手形からファクタリングへの変更が増えている。
  • M社の工場操業停止による影響は地域的理由で比較的少ないとは言え、製造業全体的にマインドの冷え込み,消極的観測により仕事量的には減少傾向が顕著であり、少ないパイの取り合いが益々助長されている。年内は忙しいと言う所もあるが極一部であり、数か月先の受注は全く見えず、仕事が有っても特急・安価・高度な要求と3重苦状態の零細企業が殆どで、完全な体力勝負の状況にある。

2.建築資材

  • 為替相場の乱高下と、原油価格の上昇基調の影響を大きく受けている。
  • 名駅周辺の再開発が終わりに近づき、県内の建設関連は全般的に需要低下。
  • 包装資材関係は需要が減少傾向にある。

3.繊維、衣服、雑貨

  • 百貨店の販売動向が良くなく、以前からのメンズ品不調に続き、レディース品も不調傾向にある。
  • 繊維業界が全般的に不調。

4.飲食料品

  • 世界的な異常気象による商品(農産物)価格の上昇、および不作による商品不足。
  • 同業者の倒産が多く、今後もさらに淘汰される模様。
  • 原料価格が高騰傾向にあり、さらに価格が乱高下している。

5.運輸、情報通信

  • 運輸業全体は一定の仕事量はあるが全体的に不況。
  • 慢性的な人手不足で、人材確保が著しく困難。
  • 原油価格が徐々に上昇してきており、今後一層の企業体力勝負になるのは避けられない。

6.保険、不動産

  • 取引保険会社の取引条件変更の影響を大きく受け、保険代理店の利益確保が一層難しくなっている。
  • 保険業法改正の影響を受け、本来営業活動に費やせる時間が業法改正に伴う体制整備、社内規定整備等に費やされ営業活動が滞っている状況である。
  • 不動産売買は、消費税増税の駆け込み需要があったが、今後は不安視の声が多い。さらに、工場建設の土地需要は減少。
  • 駐車場業界においては、大企業の新規参入も目立ち始めている。
(4)サービス業

●今月の業況判断DIは26→24と2ポイント悪化、経常利益DIは26→28と若干の改善が見られますが、前年同月比の売上高DIは17→17と横ばいとなっています。カテゴリー別では、今月の業況判断DIが専門サービス業28→31、対個人サービス業23→9、対事業所サービス業24→23。今月の経常利益DIは専門27→31、対個人25→22、対事業所24→28。前年同月比売上高DIが専門19→27、対個人15→2、対事業所15→12といずれも専門が押し上げていますが、対個人、対事業所はバラつきがあります。経営上の問題では、「従業員の不足」が建設業に続いて高い水準であり深刻な状況です。また「新規参入者の増加」「人件費の増加」も増えており、「人」の問題で困っていると人材確保の難しさを指摘する声が出ています。次期見通しは、売上高DIが23→23と横ばい、経常利益DIは27→31、業況判断DIは33→36と若干の改善を見込んでいますが、対個人の減少から消費の停滞が懸念されます。(事務局 伊藤)

1.飲食業

  • 慢性的なアルバイト不足。その一方で社会保険を付けてフルタイムで働きたいという既婚女性や、パートタイマーを希望する主婦層が増えている。多様な雇用体系を整備していく必要がある。

2.自動車整備業

  • 三菱やスズキなどの不祥事で不信感が蔓延しているが、趣味や必要不可欠な車両については好調で、信頼のおける店に依頼が集中するようになっている。少し踏み込んだ形での整備など、付加価値を創造し、自社の強み、メリットを打ち出した営業が必要になる。

3.物品賃貸業

  • 企業合併、統合等による自社への影響を危惧。売り上げや取引条件に影響することが想定される。景況感は、大手企業より中小企業のほうが活発。今後の営業軸としても中小・小口に力点を置いていく。

4.産廃・環境

  • 原料製造が主体だが、販売先が減少し厳しくなってきている。消費税増税による仮需もあまり見込めないので、今後は新規事業展開等を視野に入れて企業の維持発展をしていく。
  • 行政主導で多少好転はしているが、顧客単独で見れば景気が回復しているようには感じられない。

5.洗濯・理容・美容

  • 美容室が増加し競争が激化する中、新規顧客の獲得に苦戦。美容師の雇用環境は決して良いとはいえない。美容師を志望する若者が減少し業界が疲弊する前に、長時間労働の解消や安定した賃金体系の整備など働きやすい環境づくりをしていく必要がある。
  • 本来であれば売上のピーク時期であり増益を見込んでいたが、熊本地震や自動車関連の不安定要素が影響しているのか既存の売上が減少。新規案件でフォローしているが、8月以降の見込みがなく、厳しい状況に陥ることも想定している。業界団体では、需要の停滞、見通しは険しく不透明な状況にあるとしているが、巻き返しに期待したい。

6.生活関連サービス業

  • 市場調査をした上で価格決定をしたので、適正料金だと思うが採算が取れていないのが現状。消費の落ち込みも多少影響していると思うが、集客方法を改善し、技術力を高め、付加価値の増大に注力し、業績の回復をめざす。

7.専門サービス業

  • 弁護士業界は、新規参入の過剰で慢性的な不況業種である。顧客との信頼関係を強め、他事務所との差別化を図り、サービスを向上させていく。
  • 目先の利益は確保できているが、今後の見通しは厳しく予断を許さない状況。
  • 人材不足が顕著。大手企業を中心に採用意欲が高まる中、新卒採用の求人も反応が少なく、中小企業の求人はかなり厳しい状況。大手企業とは違う魅力や将来性をしっかりと伝える採用活動が必須である。