景況調査

第93号-2017年2月
景況感再び悪化 ~金利動向に変化も~

【概況】
【業況判断】 今月の状況は6ポイントの悪化も次期見通しは改善
【売上高】・【経常利益】 売上高、前年同月比、横ばいでの推移。経常利益、今月の状況で後退局面に
【在庫感】 製造業の「過剰」超過幅拡大
【取引条件】 ほぼ横ばい傾向
【資金繰り】 建設業で「窮屈」超過幅拡大
【設備過不足】・【施設稼働率】 設備過不足、建設業のみ「不足」超過幅縮小。施設稼働率、製造業で5期ぶりの「上昇」超過
【雇用】 深刻な人手不足感
【価格変動】 仕入価格、「上昇」超過幅拡大。販売価格は製造業で「低下」傾向が続く
【借入金利】 短期金利、サービス業以外「低下」超過幅が拡大。長期金利、製造業で上昇
【経営上の力点など】 経営上の問題点、「従業員の不足」・「人件費の増加」が上位に

<会員の声>

DI値推移一覧表(PDF:593KB)

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景況調査報告(2017年2月)第93号(PDF:1.42MB)


【概況】

「よい」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた今月の業況判断DIは、前回の32から今回は26へ6ポイントの悪化となりました。建設業は52から38へ14ポイント、製造業は26から19へ7ポイント、流通業は23から19へ4ポイント、サービス業は34から29へ5ポイント悪化しました。全業種で景況感が悪化したことになります。

ただ、前年同期DIは前回の6と同水準を維持しており、また次期見通しも29と前回(25)よりも強気の見通しが増えているなど、今回の景況感悪化が昨年後半の回復基調からの転換を示すものかどうかはいまだ不明瞭です。

景況分析会議でも出席者の意見は区々で、「方向感」は必ずしも明瞭になりませんでした。建設業については、現在のようなバブル期並みの忙しさが当分続くという意見もあれば、4月以降は新規の受注が減ってくると予想する意見もありました。ただ、建設需要の背景にあるものが低金利にもとづく「マンション投資ブーム」であることから、金利動向次第で状況が一変する可能性があるという点については、前回の会議と同様多くの出席者に共通する懸念でした。

製造業、とくに自動車関係では仕事が減って時間をもてあましている企業もあれば、忙しくて工場の拡張を計画している企業もあるなど、「二極化」の進行が顕著であるとする意見が多く出されました。また最近の北米での新車販売の減少が、国内の製造業の景況感悪化の背景になっているのではないかとする意見も聞かれました。消費関連分野からは、依然として「回復を予感させるものは見当たらない」とする声がほとんどでした。

今回の調査で注目されるのは、「金利動向」に変化が見られ始めたことです。短期借入金利DI(上昇―低下)は前回の▲7から▲5へ、長期借入金DIは▲8から▲6へ、いずれも「低下超過幅」が2ポイント縮小しました。とくに建設業では短期金利が▲2と、「上昇」と「低下」が拮抗してきたこと、また製造業の長期金利については「上昇」と答えた企業が10%に達したなど、近年見られなかった現象が起きています。米国金利上昇の影響で、今後日本の金利もじりじり上昇するのではないかとする見方が広がっています。今後はこうした金利動向も含めて、景気動向を注視していく必要があります。

[調査要項]

調査日 2017年2月20日~2月28日
対象企業 愛知中小企業家同友会
調査方法 会員専用サイト「あいどる」
回答企業 会員企業より1902社の回答を得た。業種内訳は以下
(建設業338社、製造業391社、流通業538社、サービス業635社)
平均従業員 21.0名(中央値7名)

なお、本報告は愛知中小企業家同友会・経営環境調査委員会(委員長、太田厚・(株)太田電工社社長)が実施した調査結果をもとに、景況分析会議での検討を経てなされたものです。

【業況判断】 今月の状況は6ポイントの悪化も次期見通しは改善

「今月の状況」DIは前回の32から26と6ポイントの悪化となった。業種別でみると、建設業が52から38と14ポイント、製造業が26から19と7ポイント、流通業が23から19と4ポイント、サービス業が34から29と5ポイント悪化し、全業種で後退傾向を示した。前年同月比は前回の6から今回も6と変わらなかった。業種別でみると、建設業が12から10と2ポイント、製造業が△8から△3と5ポイント、サービス業が16から13と3ポイント悪化した。流通業だけは△1から1と大きな変化はなかった。3ヶ月後の次期見通しは前回の25から29と4ポイントの改善となった。建設業では35から31と4ポイント見通しが悪化したが、製造業は20から24、流通業は16から23、サービス業は31から36と改善した。

業況推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

【売上高】・【経常利益】
売上高、前年同月比、横ばいでの推移
経常利益、今月の状況で後退局面に

売上高DI(前年同月比)は前回の10から横ばいで推移して8となった。業種別でみると、建設業が20から9と11ポイント、サービス業が23から14と9ポイントそれぞれ悪化した。製造業は△8から△1、流通業も3から6と改善した。次期見通しは前回の8から15と7ポイント改善した。業種別でみると、建設業が13から14と横ばいであるものの、製造業が0から5と5ポイント、流通業が3から14と11ポイント、サービス業が14から22と8ポイントそれぞれ改善した。

売上高推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

経常利益DI(今月の状況)は前回調査の30から24と6ポイントの悪化となった。業種別でみても、建設業が45から28と17ポイント、製造業が28から20と8ポイント、サービス業が31から27と4ポイント悪化した。流通業は20から21と横ばいでの推移となった。前年同月比は前回の4から横ばいで推移して3となった。業種別では、建設業が13から7と6ポイント、サービス業が14から9と5ポイント悪化した。製造業は△7から△2と5ポイント、流通業が△6から△1と水面下ながら改善した。次期見通しは前回の21から2ポイント改善して23となった。業種別でみると、流通業は17から22と5ポイント、サービス業は22から27と5ポイント見通しを改善させたが、建設業は27から24と悪化し、製造業は18から19と横ばいで推移した。

経常利益推移DIグラフ(クリックで拡大表示します)

【在庫感】 製造業の「過剰」超過幅拡大

今月の状況DIは、前回調査の4から変化はなかったが、3期連続の縮小傾向を表す。業種別でみると、製造業(3→7)と「過剰」超過幅が拡大したのに対して、流通業(4→1)は「過剰」超過幅縮小となった。前年同月比も前回の1から1と変化がなかった。業種別でみても、製造業(0→3)は拡大に、流通業(1→△2)は縮小で推移した。次期見通しは前回の0から2と2ポイントの「過剰」見通し超過幅の拡大となった。業種別でみても、製造業は1から5となり、流通業は△1から0と横ばいで推移した。

【取引条件】 ほぼ横ばい傾向

前年同月比DIは前回の2から3となった。業種別でみると、建設業(9→7)が2ポイントの「悪化」超過幅拡大となった。製造業(△3→△2)・流通業(△1→1)は2期連続の改善傾向、サービス業(4→4)は横ばいでの推移となった。次期見通しも前回の2から4と大きな変化はなかった。業種別でみると建設業(7→7)では見通しに大きな変化はみられず、製造業(△1→1)・流通業(△1→2)・サービス業(2→5)では緩やかに改善傾向がみられた。

【資金繰り】 建設業で「窮屈」超過幅拡大

今月の状況DIは前回の△20から1ポイント「窮屈」超過幅が拡大して△21となった。業種別でみると、建設業(△18→△26)と大幅に「窮屈」超過幅が拡大した。製造業(△21→△20)・流通業(△19→△20)・サービス業(△21→△20)は横ばいで推移した。次期見通しは前回の△20から△19と横ばいであった。業種別では、建設業(△19→△24)だけは「窮屈」見通しの超過幅が拡大したが、製造業(△23→△21)・流通業(△19→△17)・サービス業(△21→△17)は「窮屈」超過幅が縮小する結果となった。

【設備過不足】・【施設稼働率】
設備過不足、建設業のみ「不足」超過幅縮小
施設稼働率、製造業で5期ぶりの「上昇」超過

設備過不足DI(今月の状況)は前回調査の△17から△19となった。業種別でみると、製造業(△21→△23)・流通業(△13→△16)・サービス業(△16→△19)で「不足」超過幅が拡大した。次期見通しは今回・前回ともに△18と変化がみられなかった。業種別でみると、建設業(△22→△18)で「不足」見通しの超過幅が縮小したが、サービス業(△16→△18)は反対に拡大した。製造業(△22)・流通業(△14)は変化がなかった。

施設稼働率DI(前年同月比)は前回調査の0から3と3ポイントの「低下」超過幅縮小となった。業種別でみると、製造業(△4→4)は「低下」超過幅が縮小し、流通業(4→1)は「低下」傾向に転じた。次期見通しは前回の1から0と大きな変化はなかった。業種別にみると、製造業(△2→0)は「上昇」超過、流通業(4→1)は「低下」超過幅を拡大した。

【雇用】 深刻な人手不足感

今月の状況DIは前回の△45から△49と4ポイント「不足」超過幅が拡大した。これは1994年調査始まって以来の「不足」超過幅の数値である。業種別でみると、建設業(△64)が横ばいで推移した。その他の全業種、製造業(△40→△42)・流通業(△41→△49)・サービス業(△41→△44)で「不足」超過幅が拡大した。建設業では不足感は著しく、回答企業の3分の2が不足を感じている。次期見通しは前回も△40から△43と「不足」超過幅が拡大した。業種別にみると、流通業(△34→△41)・サービス業(△37→△40)は「不足」見通しの超過幅が拡大したが、建設業(△59→△57)は縮小した。製造業(△36)の変化はみられなかった。

【価格変動】
仕入価格、「上昇」超過幅拡大
販売価格は製造業で「低下」傾向が続く

仕入価格変動DI(今月の状況)は前回の18から21と3ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別でみると、建設業(18→17)は横ばいでの推移となったが、製造業(16→29)・流通業(20→23)では「上昇」超過幅が拡大した。サービス業(18→16)は逆に「低下」傾向を示した。前年同月比は前回の16から21と5ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別でみると、建設業(19→21)・製造業(12→29)・流通業(14→21)は「上昇」超過幅が拡大した。サービス業(17→14)は逆の傾向を示した。次期見通しも前回の12から7ポイント「上昇」見通しの超過幅が拡大して19となった。業種別でみると、建設業(13→16)・製造業(15→29)・流通業(10→22)は「上昇」見通しの超過幅が拡大したが、サービス業(12→11)は横ばいで推移した。

販売価格変動DI(今月の状況)は前回の5から1ポイント「上昇」超過幅が拡大して6となった。業種別でみると、建設業(4→3)・製造業(△3→△2)・流通業(9→8)は横ばいで推移したが、サービス業(7→10)は「上昇」超過幅が拡大した。前年同月比も前回の4から7と3ポイント「上昇」超過幅が拡大した。これは2期連続の拡大である。業種別でみると、製造業(△4→△1)・流通業(3→9)・サービス業(8→11)は「上昇」超過幅が拡大したが、製造業(6→5)は横ばいで変化した。次期見通しは1から5と4ポイント「上昇」超過幅が拡大した。業種別にみると、建設業(2)は変化がなかったが、製造業(△5→0)・流通業(0→7)・サービス業(5→8)と「上昇」超過幅が拡大した。

【借入金利】
短期金利、サービス業以外「低下」超過幅が拡大
長期金利、製造業で上昇

短期借入金利DIは前回調査の△7から2ポイント「上昇」幅が縮小し△5となった。業種別でみると、建設業(△6→△2)・製造業(△13→△7)・流通業(△11→△7)は「上昇」超過幅が拡大したが、サービス業(0→△3)では縮小した。

長期借入金利DIは前回の△8から△6と小幅ながら推移した。業種別でみても、建設業(△6→△4)・製造業(△16→△5)では「上昇」超過幅が拡大し、サービス業(△3→△4)、流通業(△9→△8)では横ばいで推移した。

【経営上の力点など】 経営上の問題点、「従業員の不足」・「人件費の増加」が上位に

全業種でみた経営上の問題点は、第1位は前回から変化なく「従業員の不足」(49%)であった。「人件費の増加」(24%)も前回同様第2位となり、「民間需要の停滞」(23%)が第3位となった。業種別でみて特徴があったのは、建設業で「下請業者の確保難」(45%)が第1位に、サービス業で「新規参入者の増加」(31%)、「取引先の減少」(25%)が流通業、「熟練技術者の確保」が製造業(26%)といづれも第2位に入ったことである。文書回答では「人手不足により仕事がこなせない」があった。

全業種における経営上の力点は、第1位「付加価値の増大」(53%)、第2位「新規受注(顧客)の確保」(52%)、第3位「人材確保」(39%)で前回から変化がなかった。


<会員の声(業種別)>

(1)建設業

●業況判断DIは、「今月の状況」(52→38)、「次期見通し」(35→31)共に落ち込みました。業況判断の「次期見通し」が悪化傾向を示すのは建設業だけに見られるものです。経常利益DIは、45→28と大幅に黒字幅が縮小、「前年同月比」の売上高DIも20→9と二ケタ売上が減少していることがわかります。資金繰りDIでは、△18→△26と「窮屈」感が増し、雇用動向DI(△64)は、前回同様に過去の調査の最悪レベルで、人手不足感がさらに高まっている状態です。仕入価格DIは18→17と横ばい、販売価格DIは4→3と変化なく推移しています。

過去最悪の深刻な人手不足の状態が続いています。民需を牽引してきた再開発が落ち着いたものの、住宅着工数など高水準な様相を呈し、年度末を迎え人手不足のための機会損失の声があがっています。金融機関も融資に前向きであるものの、バブル崩壊期と酷似する受給バランスを顧みない建設ラッシュに警戒感を示す意見が出されました。(事務局 八田)

1.総合工事

  • 働き方改革といわれるなかで、労働時間規制で長時間労働が業務の特性上やむ得ないとして、なぜか、建設業と運輸業だけが適用を除外されている。唯でさえ3Kと敬遠される業種でありながら、低賃金で現場労働者の確保や教育も困難、現場の職人(技術者)を育てるには3年~5年間は最低でも年数や経費も掛かる。製造業などに見習い、建設現場などでも技術革新が必要だが、国や行政などの後押しがなければ難しい。昨年、新卒で10年かけて教育し育てた技術社員が一級建築施工管理技士・土木施工管理技士を取得した途端、地元の市役所で中途採用され退社してしまった。まだ、役所で新卒を育てて民間に人財を送るなら話は分かるが、税金は取られるうえに民間で苦労して育てた人財が奪われるようでは、我々の業界は衰退する一方である。

2.建設工事・リフォーム

  • 既設設備の老朽化によるリフォーム、建て替えなどが多くなりつつある。しかし、競争相手が多いので価格競争が激しい。行政の入札仕組みが最近変更され、一段と落札が難しい。ここも業者が多すぎて落札機会が少なくなってきた。人手は相変わらずいない状態で、今いる人員を減らさない努力をしているが人件費は上げられない。利益率の良い事業に特化しないと会社の存立がむずかしい。

3.土木・鳶

  • 建設業法により4月から社会保険加入が必須になる現場が多くなる。建設作業員という職を選ぶ働き手の考えとしてそのような状況を望まない傾向にあり、改正のそもそもの目的と根本的な部分で思考のズレがあり、よくなるどころかより悪化している。企業の問題ではなく個人の問題で条件をクリアするのが困難な場合も多く、失業者が増え更に条件によって人材不足が悪化すると思われる。

4.鉄筋

  • 鋼材仕入価格が上昇中。業界の仕事量が減少気味で、施工単価が安くなりつつある。この時期に安売りすれば、夏の繁忙期に人手不足・応援不足も手伝い、自らの首を絞めることになるのに、値下げして受注している同業他社の動きが懸念される。本来この時期に安売りはしたくない。いつまでたっても不安定な業界・業種である。

5.内装・塗装

  • 人手不足により外国人研修生制度を取り入れて5年になる。人手不足の解消にはなるが次世代のリーダー社員の先輩としては位置付けられず、会社の成長に繋がっていない。あくまで3年で帰還してしまうこともあり、熱を持っての向き合い方や対応姿勢の意識は著しく低い。

6.建築設計

  • 非住宅の民間需要で競合入札の案件が昨年より従来通りの価格では落札できなくなってきている。ある物件では、大阪の同業者が名古屋に仕事を取りに来ていて、当社とは25%減の出値で落札したと聞く。政府の「働き方改革」で示された残業上限60時間制で、諸般の理由から2%から3%の昇給を実施した(当社は毎年1月に昇給)。今から対応できるように、また「同友会らしい」「人を生かす経営」の考え方に基づいて決断したものの、財務的にはけっこう経営を圧迫することもあり、経営の将来が心配である。とはいえ、「人」が一番の資産と考えているので、「社員教育」を大事に人として、企業人として立派に社会にお役に立てていくよう育てていきたい。

7.水処理・プラント

  • 人材確保が益々難しくなるので、一日インターンシップをやり学生を引き付けている。10年後20年後に会社の幹部に育つような若者を、いかに採用できるかが企業を維持発展させるカギになってきた。ビジョンが明確でない企業はやがて衰退して廃業に追い込まれるのではないか?
(2)製造業

●業況判断DIの「今月の状況」では、全業種で落ち込みが見られますが、製造業では、前年同月比で△8→△3と、依然としてマイナスながら、回復傾向が続いています。3ヵ月先見通しでも20→24となっています。ただ、アメリカの金利政策が長期金利を上げるのではないか、との予測もあり、それにより、現在好調の北米での自動車購入層の購買意欲がどのように変化するのかによって、自動車業界に大きく依存する愛知の製造業にとっては大きな影響がでる可能性もあります。同時に、MRJの開発の度重なる延期や、トヨタ自動車が電気自動車や自動運転の分野で他メーカーと比較してやや出遅れ感があることなどから、今後の見通しは依然として不透明です。(事務局 井上一)

1.金属加工・樹脂加工

  • 車の電動化及びAIに関心を向けるべきだと思う。日本の主力産業であった家電産業は過去約25年かかって日本からなくなった。電動化とAIにより今後大きく産業構造は変化する。いまからイノベーションへ計り手をうっていかなくてはならない時期になったと思う。
  • 年末にパイプ材、2月に鉄の大板の値上げの連絡があった。他の材料・材質に関しても順次値上げするが、既存の流れ品はなかなか価格に転嫁できないので、その分だけ利益率が落ちることになりそうだ。
  • 5年ほど前から値下げ要求が厳しく、製品単価が著しく低下した。増産しなくては同じ売上は上がらないが、人件費も負担が大きく、現社員の残業や休日出勤に頼っている。残業代などはもちろんきちんと払っているが、規制が厳しくなりつつあり、どうやって対処すべきか悩んでいる。
  • 工作機械は輸出に依存している面が大きい為、今後の為替に左右される懸念がある。メーカーからの発注が遅いので、必然的に短納期対応が当たり前の状況。それに対応出来るかがキーなる。
  • 人手不足で現場は「できない」の一点張りなのに、売り上げはさほど上がらない。協力会社も腕の良いところは埋まっていて、新しいところに発注しても不具合が発生してかえって経費がかかってしまう。現在の人員の中身が上がっていかなければ、新しい事業展開などは考えることすらできない。何はともあれ社員教育に尽きる。

2.機械部品・機械製造

  • 東京オリンピックやリニア新幹線、震災復旧、そして消費税値上げに向けての需要が一気に進むことにより、物不足が懸念される。
  • 電子基板関係は基材に使用する銅が電気自動車の需要増により、絶対的に不足し、値上げと数量確保で業界に暗雲が立ち込めている。工賃収入の会社なので、機械化・自動化をするまでの生産ではないため、最低賃金が上がっていくと利益確保が難しくなる。
  • 業界再編の影響で仕事のルートが変わり、量の確保が厳しくなり、さらに価格競争に拍車がかかる状況である。トランプ大統領の政策が、日本の自動車や自動車部品に悪影響がないことを望む。
  • 目先は、過去にないほど忙しいのだが、当社だけでなく、愛知の多品種少量の町工場には、仕事があふれている。ただし、全体というより二極化が進み、営業しない企業は、受注量が減少する傾向にある。また、自動車産業では、受注ロットが大きくなり、小規模事業者では対応が難しくなってきていて、親会社の内製化も進んでいる。目先の忙しさはあっても、半年、一年後の景況に不安を感じる。

3.印刷・包装関連

  • 同業者・仕入れ業者と話をしても、なぜパッとしないかがわからないと言う。世間は景気が上向いているというが、業界的にはずっと低迷している。将来の絵も描きづらく、後継予定者が継ぎたい業界か疑わしい状態である。
  • 今年に入りリピート・新規ともに受注の動きが悪く、仕事がない状況が続いている。問い合わせがあり、薄利で見積もりを提出しても受注できないほど、見積価格が下がっている。

4.食品・繊維製品・雑貨・身の回り品製造業

  • 従来からのパートタイムの採用が苦戦をしている。募集経費もかなりの額になっているが、このながれは今後さらに大変になっていくと思うので、最重要課題として出し惜しみせずに取り組んでいきたい。
  • 取り引き先からの品質、特に安心・安全を合言葉に国内縫製工場の労働環境の視察が増えてきている。チェック項目がいくつかあり点数をつけ取り引きに相応しい会社であるかどうか判断している。
  • 賃貸住宅の空室率が急上昇しており、いずれ近いうちに着工が大幅に減少する事態になるであろうが、その時はかなりの市場調整になると思われる。資材を製造販売している弊社も受注数の減少が予想される。
  • 業界的には2020年のオリンピックまでは楽観的な見方が多いが、2018年に向けては物件があるのだが、今年はエアポケットになりそうな状況であるらしい。実際にはそんなこと言っていられないと思うが、先行きは不透明である。
(3)流通業

●業況判断DIについて、前回11月調査結果と比較しますと、業況判断DI「今月の状況(23→19)」が4ポイント減少、同DI「前年同月比(△1→1)」が2ポイント上昇しました。例年、年末年始にかけては消費財需要の上昇があり、その影響から業況判断DIが上昇する傾向にあります。しかし例年通りであれば、次期調査5月時には「今月の状況」が大きく悪化する可能性が大いにあります。なお、過去の業況判断DI「今月の状況」において、2014年の2月期と5月期の各結果を比較しますと、26→6と20ポイントも減少しました。そのことからも、特にこの2月期は、確かな情報を踏まえて慎重に戦略・計画を立てることが必要だといえます。

次に、仕入れ価格変動DI「今月の状況」を見ますと、過去三年間は例年11月から2月にかけてポイントは減少もしくは横ばいでしたが、今回は20→23と3ポイントも上昇しました。また、雇用動向DI「今月の状況」では、11月から2月にかけて△41→△49と8ポイント悪化し、依然大きくマイナス圏内に位置づいています。文章回答からも、長期にわたって資材価格高騰や人手不足、業界の再編成、買い叩きによる価格転嫁ができないなど、業界全体に不安と閉そく感が広がっているとの回答が大半を占めています。(事務局 墨)

1.機械器具(自動車、事務機器、電設資材等)

  • 自動車は堅調に推移。しかし、競争力強化のため、部品メーカーの合従連合が進むため、取引先の選定が難しい。ロボット関連は絶好調。ほとんどが中国向け。液晶、半導体、ロボット業界が好調。
  • 自動車メーカーの新規車種案件の設計遅れにより新規金型案件の引き合いが鈍い。
  • 特に米国の動向を警戒して4月以降の設備・工場の計画が中止・保留となる事が危惧され、不安感は拭えない。

2.建築資材

  • まだ円安基調なので仕入価格は上がったまま。しかし、販売価格に転嫁できず粗利は減っている。

3.繊維、衣服、雑貨

  • 百貨店の動向が厳しく、今後の展開も縮小方向である。百貨店から離れ、自社で路面店を拡大する動きが増えている。
  • 繊維関係は気候変化に売上が大きく左右されやすい。まだまだ安価な物が好まれる傾向が強い。

4.飲食料品

  • 鰻業界は川上の養鰻業者から我々川中の卸売問屋、そして川下の鰻料理店で後継者がいない現実がある。
  • 業界全体として、1~2月は例年通り売り上げが落ちるが、今年は例年にも増してかなり厳しい。受注減、単価値下げ要請、新規顧客確保も難しく、資金繰りに奔走。

5.運輸、情報通信

  • 仕事の引き合いは一昨年の一時期より減少気味だがまだある。しかし、単価と納期など条件が厳しくなっている。請負案件が減少気味で派遣案件へのシフトが見られるので、今後の動向が不安。
  • 人材(乗務員)不足は相変わらずで、さらに燃料価格が上昇している。また運行管理規制強化が落ち着いてきたところ、長時間、残業関連の労基規制の強化への対応がたいへん厳しくなり、場合により既存の仕事を断らざる得ない状況が発生する見込み。
  • 年明けから一気に物流の現象が感じられ、2月は更に悪化している。3月は大手企業の決算月と引越があるため、若干回復すると予想しているが、同時に燃料価格も値上げ傾向にあるため、経営的には厳しい情況は変わらないと思われる。人手不足はまったく改善されていないため、多くの機会損失が生じており今後も人材確保に向けた企業努力が必要である。

6.保険、不動産

  • 不動産に関わる県条例が改正され、許可要件が変わった。
  • トランプ政権発足以後、株価、為替などが上昇気味ながらとても振れ幅が大きく不安定。その事もあってか、不動産投資は現状過熱気味であるが、一般住宅は相変わらず需要不足な傾向だと思う。
  • 4月からの生命保険料値上がり、今後予想されるのは自動車保険の大幅な値下がり。
  • 保険業法改正による事務経費負担増。長期的に見た場合、自動運転化による自動車保険自体が消滅、若しくは極めて大幅な保険料の値下がりが予想される。
(4)サービス業

●今月の業況判断DIは34→29、経常利益DIは31→27、前年同月比売上高DIは23→14といずれも悪化しました。サービス業の3指標の動向を見ると、業況判断DIでは、専門サービス業41→39、対個人サービス業17→18、対事業所サービス業38→28。経常利益DIは専門36→36、対個人26→17、対事業所29→16。前年同月比売上高DIは専門36→25、対個人2→2、対事業所22→14と対事業所の落ち込みが目立ちます。

経営上の問題では、「従業員の不足」46%、「新規参入者の増加」31%と依然として強い人手不足感を示した状態が続いています。これらの経営上の課題に対応するための「経営上の力点」では、「付加価値の増大」54%、「新規受注(顧客)の確保」54%の順と前回からの変動はありません。

次期見通しは、売上高DIが14→22、経常利益DIは22→27、業況判断DIは31→36と好転を見込んでいます。今後、サービスの高付加価値化を推し進めると同時に、人材の確保、育成に今まで以上の工夫や努力が求められます。(事務局 伊藤)

1.飲食業

  • 名古屋駅エリアにおける、競争の激化は激しさを増すばかりである。お客様に存在感をアピールできなければ生き残れない。
  • 人員不足が全く解消されず、営業困難に陥っている状況。

2.自動車整備業

  • 追突防止装置等による車両事故の減少に伴い、修理収入が減る見通し。
  • 新規参入の大手企業が価格競争を仕掛けてきている。

3.産廃・環境

  • サービス業の中でも最終的な産業であり、景気が悪化すると最初に削減を迫られる。景気が悪化していくのが時間差で連鎖的に響く状況である。行政・外部より設備投資を迫られており、設備投資が必要といえる。

4.洗濯・理容・美容

  • 消費者マインドの冷え込み、経済活動の不透明さが顕著に出ており、次期予測もあてにならない状況である。
  • 後継者不在等で廃業する会社が増えている。

5.冠婚葬祭業

  • 少子高齢化及び介護が手厚くなればなるほど、民間需要の財源が減少していく。医療介護等で預貯金の切り崩し、最終最期の葬儀までの費用が確保できていない分、今後も停滞する見込みである。人件費が上昇している中、売上単価の維持も困難な状態だ。

6.広告、印刷業

  • 同業者の廃業など、業界的にはますます厳しくなってきている。生き残るには事業領域の再確認が必要と思う。
  • よく聞く話だが若手の人材確保に苦労している。業界の競争が激しく、会社の体力を維持する事が難しくなっている。

7.社会福祉・介護事業

  • 2018年の法改正が閣議決定されたため、介護保険頼りだけでは厳しい。介護認定の出ない利用者に向けての保険外事業の取り込みを考えての事業展開を開始している。

8.専門サービス業

  • 忙しい感じではあるが、利益とリンクしにくくなっている。付加価値が高かった相続税申告も競争者が多くなってきているので、「次」の仕事を考えていく必要がある。
  • 経済環境の不安定、難民紛争の顕在化、アメリカ、中国など強権的な動きが現れている。中小企業分野の企業権を確保するべき学習と運動が地域、国、そしてグロ-バル化した経済社会にもそれらを発信すべき時期にある。