第29回青年経営者全国交流会・第11分科会から(9月13・14日横浜)
21世紀の青年経営者の使命とは 次代を拓く青年同友会を考える
●パネリスト●
・朴寅鎬氏(株)タイデックス社長(名古屋第1青同)
・山田健夫氏(株)名栄社常務(名古屋第2青同)
・上根崇氏上根精機工業(株)常務(名古屋第3青同)
・佐藤祐一氏(株)羽根田商会社長(名古屋第4青同)
コーディネーター☆鷲野守彦氏丸太衣料(株)専務
【鷲野】愛知の青年同友会の活動を紹介しながら、青年経営者、後継者として経営上の悩みや問題解決の環境をどう整えてきたのか、社業の担い手となり、活躍するための21世紀の青年経営者としての使命とはなにかを探っていきたいと思います。
400名の会員が活動する青年同友会
【上根】青同は41歳までの年齢別組織として、約405名が現在活動しており、8割が後継者、いわゆる2代目、3代目であります。1970年10月に青年部会として32名で発足、翌年に青年同友会と名称が変更になり、その後、各青年同友会を支援・調整する連絡協議会が設置されました。92年に愛知同友会の会員の1割を目指す「青同10パーセント構想」を提起し、3年後に達成、95年からは日本福祉大学において「産学協同セミナー」の開催を始めました。2000年4月の愛知同友会の組織再編にともない、尾張地域に2つの青年同友会を、三河支部にあった青年部を青年同友会とし、県下で7つの青年同友会となっています。
【鷲野】では具体的に青年同友会を通じて学び、実践したことを報告いただきます。
2世経営者こそ経営理念が必要
【山田】この厳しいなかで自社の独自性、自社の生きる道を徹底して追求しなければなりません。そのためにも裏づけとなる自己の原点・経営理念が二世経営者ほど必要なのです。科学的な経営、十分な設備投資、お客さまや社員が多く集い、永続して経営できるようにと、科学性・人間性・社会性を盛り込んで理念をつくりました。今、ISO取得に取り組んでいますが、理念に立ち帰らざるを得なくなりました。この取り組みを通して理念を会社の方針に結びつけていこうと思っています。
試される人間としての器
【佐藤】当社は、機械工具などの生産資材の販売をしています。社長歴も会歴も五年で、社長になった時は本当に「経営」のことが分かりませんでした。そんな時、ここにおられる朴さんの福井での青全交の報告を聞きました。しっかりした経営指針による経営を目のあたりにして衝撃を受け、その経営指針書を貸していただきました。同友会では地区活動が停滞してつまらなさを感じていましたが、そんなとき、当時の連絡協議会の代表の竹田さんから地区会長職を薦められました。自分たちは何を求めているのか、という基本的なところからつきつめて考え例会をつくることから始めました。しっかりした例会はゲストの方も共鳴し、「一緒に勉強させてください」と入会も増えてきました。また青同地区を代表する人たちと出会い、とても刺激をうけました。人間的な器も大きく、自分も頑張らねばと大変励まされました。やがて青全交の報告者に推されました。経営指針を作成しなければと思いながらつくれていなかったのですが、これを機にやっとの思いで作成しました。分厚いものではなく、本当に1枚でしたが、社内でその1枚の経営指針を発表しました。社員との質疑応答をはじめとしたやりとりの中で深みが増し、想いが伝わっていくことを実感しました。この時に初めて、会社が「自分のもの」から「みんなのもの」になったという気がしました。これらはみんな青同のおかげです。
学んだ「人間尊重の経営」
【朴】わが社は中小企業のIT戦略等の構築・運用をお手伝いしています。2年前に青同の会長をさせて頂き、現在は名古屋支部の副支部長を務めています。私の大きな転機は入会間もないころ、中同協の赤石会長の「人間尊重の経営」をテーマにした講演を聞いたことです。その頃社内は比較的若い社員が多く、どう接していけば良いか、精神論だけでハッパをかけていた状況で、給与面での違いなどによる退社や不平不満が出て、大変悩んでいました。そんな時に触れた人間尊重の考え方はとても衝撃的で、ぜひ『身につけなければ』と思いました。94年に社長に就任しましたが、経営が厳しく売上は落ち、何カ月も利益があるかないか、資金も厳しい危機的な状態が続きました。そんな時に青年同友会の先輩方に励まされ、銀行を活用するアドバイスを受けたりしながら、窮地を乗り越えることができました。当社の指針には全員参加型の経営を理想とするとあります。その経営指針をつくり、それに基づいた経営ができる会社にすると書きました。それを実行に移すため「共に育つ」の共育委員会に出席し、そこでの東京同友会の猿渡氏、静岡同友会の田中氏のお話が参考になりました。経営理念の成文化をすることができ、社員みんなで唱和した時は、第2創業なんだと実感しました。こういった指針づくりの中で業績の大きな成長がありましたが、落ち込みもありました。振り返ってみると、作成しただけでフォローがなかったため本物にならず、形だけで終わっていたことがわかりました。共同求人委員会に参加して98年に初めて新卒を採用しました。その社員を通して、企業というものは社員の人生のあらゆる所に影響を及ぼしている、経営者という肩書きはありますが、同じ人間としての自覚と責任感を持たなければならないと教えられました。
【鷲野】厳しい経営環境の中、21世紀の青年経営者像とは何なのでしょうか。
21世紀の青年経営者像
【朴】他者に責任転嫁するのではなく、何のために何をしなければいけないか考えることです。「命を使うに値することとは何だろう」と常に考えています。社員さんの命を使うに値するリーダー、人の痛みが分かるリーダーにならなければいけないと思います。
【佐藤】自社の課題でもありますが、人間性にあふれる経営と社会に必要とされる会社づくりだと思います。会社の成長は社員一人ひとりの人間性を高めていくしかないように思います。自分で考えて行動し検証する。この目的に向かい近づける仕組みを社内でつくっていかなければと思います。
【山田】各々が自分のやるべきことは何だろうかと考えて、しっかり理解されたときに力を発揮できるかということです。「主役たれ、いついかなる時も」というスローガンの「主役」とはそういうことです。幅広いリーダーシップを発揮していくべきだと思います。
【上根】活動の中で役職を担ったり、全国やいろんな会合などで学び、リーダーシップを養うことだろうと思います。全国でもこのように青年同友会づくりを推進していただけたらと思います。
【文責事務局・井上誠一】