活動報告

老舗企業の事業継承-第5回名古屋学(11月27日)

安保 邦彦氏  愛知東邦大学地域創造研究所顧問

先が見通せない今こそ、感性を磨き、先人に学ぶことが大切

秘訣は経営者の哲学

昨年度から、名古屋市内の5支部が合同で「市条例を生かした企業づくり・街づくりを進めるために、もっと名古屋を知ろう」と「名古屋学」を開催しています。全3回講座で最終の今回は、「事業の継承をどうするか、長く続く秘訣には経営の哲学が必要」のテーマで、東海3県の老舗企業の事例を学びました。

江戸時代に創業して現在まで続く老舗企業は、時には同族間で事業を継承し、時には養子が後を継ぎ、ある会社は社員の中から次の社長を選び、別の企業はM&Aで、事業を継承してきました。

その間、企業が扱う主要商品は、時代に合わせて変化したもの、時代変化にとらわれず同じ商品で対応してきたものなど様々ですが、「最も大切なことは経営者の哲学だ」と安保先生は語ります。また、先日、創業者が亡くなった未来工業について「特別な企業ではなく、本来の会社のあり方を実践しているだけ」と紹介されました。

未来への扉を開く

老舗企業の歴史を紐解くと、厳しい経営環境が企業の未来を切り開いてきた、とも言えます。第1次オイルショックに続く円高の時代を、「重・高・長・大」から「軽・薄・短・小」へ、「トン」から「グラム」へと産業構造を変化させて危機を乗り切ってきました。これからは、電気自動車・燃料電池車の普及や、3Dプリンタの登場によって部品メーカーがどう変わっていくか注目されます。

経済の先が見通せない今日こそ、感性を磨き、先人に学ばなければいけません。安保先生は、パスツールの「偶然は準備のない者に微笑まない」の言葉で3回の講義を結びました。