活動報告

第16期役員研修大学 第3講座(7月27日)

「労使見解」の実践

上根 崇氏  上根精機工業(株)

自社の失敗を率直に語る上根氏

自社の失敗を率直に語る上根氏

真理は古びない

第16期役員研修大学第3講座は「労使見解」の企業実践をテーマに、副代表理事である上根精機工業の上根崇氏より報告いただきました。

上根氏の会社は設立から50年を超え、主な事業は精米関連機器の製造・販売です。会歴は26年、青同連協代表も経験するなど、「頼まれごとは断らない」の精神で積極的に役を受けてきました。

経営者の責任の認識や対等な労使関係の構築がよく叫ばれますが、その必要性はすべて労使見解に記されています。「経営者である以上、いかに環境がきびしくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任があります」「その意味で労使は相互に独立した人格と権利をもった対等な関係にあるといえます」などの記述がその一例です。現在に通じる内容を40年以上前から示す労使見解を、必ず読み込んでほしいと、上根氏は強く語りました。

思い込みの危うさ

上根氏は同友会に入会後、「将来経営者になるのなら自分の右腕は自分で採用しなさい」と言われたことを契機に、採用に取り組み始めました。当初は縁故などによる中途採用を行うもうまくいかず、先輩会員から紹介された大手の求人広告を利用します。

しかし一切反応が無く、自社の魅力の乏しさを自覚させられました。そこで同友会の共同求人に参加して、自社の魅力の確認・発信を行ってきた結果、新卒学生が入社し社内の空気が一変したのです。

こうして世代交代が進み、社員が「息子を入社させたい」と言ってくれるまでになりましたが、一方で立て続けに社員が退社してしまうという事態が起こります。上根氏は「組織化したら彼らは動いてくれるだろう」「自分の思いは伝わっているだろう」という思い込みがあったと振り返り、この経験を通じて、彼らの退社は経営者である自らにすべての原因があると気付けたと語りました。

社員との意思疎通は、今も試行錯誤の連続といいます。そして「労使見解にある通り、あらゆる機会に経営者が自らの考えを伝え、相手の思いを受け止める姿勢が何より大切なのではないか」との言葉で締め括りました。