活動報告

【政策委員会】平和を考える連続学習会-第1講(2月29日)

戦時経済と中小企業

渡辺 俊三氏  名城大学経済学部教授

戦時中の中小企業の置かれた状況を学ぶ参加者

戦時中の中小企業の置かれた状況を学ぶ参加者

政策委員会主催の「平和を考える連続学習会」の第1講が、全体で20名の参加で開催されました。「日本経済史①~戦時経済と中小企業」をテーマに行われた今回は、報告者に名城大学教授の渡辺俊三氏を迎え、盧溝橋事件(1937年)からポツダム宣言受諾(1945年)までの8年の中小企業政策の変遷から、法制上で当時の中小企業が置かれた状況を追ってみました。

同友会創立の背景

渡辺氏は冒頭、1957年の東京での同友会創立に触れ、その背景に戦時中の官僚統制と事業転廃業の経験に苦しめられた経験から派生した、戦時経済への嫌悪があった点を指摘。改めて、同友会と平和の問題は密接に関わるものであることを確認しました。

渡辺氏は戦時経済期を4つの期間に区分し、国民生活が徐々に窮乏していくのと同時進行的に、中小企業へのさまざまな制約が強まっていく様子を指摘します。

とりわけ、軍需や輸出に貢献しない中小企業には事業転換が迫られ、軍事力強化につながらない諸産業の経営は極めて大きな不利にさらされます。戦時経済の最終期においては、あらゆる企業をすべて軍需分野に向かわせるなかで、総合的な中小企業政策すら実施されなくなったといいます。

こうした基礎産業をないがしろにする政策展開の結果、日本の戦時経済そのものが崩壊することになり、同時に国民生活も、中小企業の経営基盤も著しく破壊されることとなったのです。

自主的・平和的な繁栄

参加者からは、報告を通じて「同友会の創立時、私たちの先輩が何を想い、何を願っていたのかを感じ取ることができた」などの意見が寄せられました。

最後に豊田副代表理事より、「国による統制や監視、管理が強まっている現代は、ともすれば戦時中と似ているのかもしれない。私たち自身が学び、正しい視点で向き合っていかなければならない」とのまとめがされ、学習会の締めくくりとされました。

今回の連続学習会は、同友会理念にある「日本経済の自主的・平和的な繁栄」を、中小企業家の立場から、参加者それぞれが考えるとともに、参加者一人一人が平和観を醸成する場として企画されています。