活動報告

AICL【仕事づくり研究会】
“未来の紙”の可能性(2月24日)

セルロースナノファイバーとは

セルロースナノファイバーの解説をする今枝氏

セルロースナノファイバーの解説をする今枝氏

世界を変える夢の万能素材

今回のAICL例会では、新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」の性質・用途の可能性と、その開発・生産をめぐる国の動きについて、CNFを取り上げたテレビ番組や経産省のCNFセミナー資料を題材に学びました。チューターは同セミナーを聴講した茶久染色の今枝憲彦氏が務めました。

CNFは、紙のパルプを構成する基本物質「セルロース」をナノレベルまでほどいて再構成した繊維素材です。鉄の数倍の強度を持ち、プラスチックより軽く、ガラスのように透明で、ゲル状から固形まで加工でき、熱に強く、人体に害もありません。この性質から、自動車や家電品などあらゆる工業製品の材料になる可能性があるほか、化粧品や食品添加物としての活用も研究されています。

テレビ番組では、CNF活用の具体例として、自動車のボディに用いて強度向上と大幅な軽量化を図ったり、透明シートに加工して配線を焼き付け、超薄型軽量のタブレットを作る研究が紹介されました。

また、セルロースはあらゆる植物に含まれるため、日本の豊富な森林が有力な原材料資源になるほか、食品残さなどからも取り出せます。実用化されれば、まさに世界を変える可能性を秘めた夢の素材と考えられています。

将来の産業が大きく変わる

CNFについては農水省、経産省、環境省、文科省と複数の行政機関が連携し、主要産業化に向け動いています。CNFの研究フォーラムには多くの大学や企業も参画し、生産コスト削減と量産化に向け、計画が急ピッチで進んでいます。

その後の討論では、「将来のCNFによる産業構造の変化を見据え、展望と危機感を持って経営戦略を考えるべき」などの意見が出されました。