活動報告

第17期役員研修大学 第9講座(1月16日)

エネルギーシフトと自社実践

平沼 辰雄氏  (株)リバイブ
加藤 昌之氏  (株)加藤設計

「まずは常識の転換を」と語る平沼氏

「豊かさ」の根本を見直す

第17期役員研修大学・第9講座では、平沼辰雄氏と加藤昌之氏のお2人に報告いただきました。

まず平沼氏は、エネルギーの94%を海外から輸入し、国内で生産した電気においても30%しか活かせていない日本の現状を指摘。そんな中、同友会のめざす「エネルギーシフト」は、非自立的で無駄が多い社会の仕組みを180度変える、抜本的な取り組みであると紹介しました。

エネルギーシフトの3本柱は、(1)省エネルギー、(2)コージェネレーションシステム、(3)再生可能エネルギーの利用です。エネルギーそのものをシフトすること、大規模集中型から小規模分散型へ変えることで、エネルギーの地域内経済循環を起こし、中小企業の仕事と雇用が生まれ、自立的・持続的な、質の高い暮らしが実現できます。人間が人間らしく生きるため、「豊かさ」の根本を見直し、生活が本来どうあるべきかを考えることは、中小企業家として自社経営に置き換えて取り組むべき課題であると強調しました。

エネルギーシフトにおける自社実践

産業廃棄物の収集運搬業などを営む平沼氏は、水や空気があるから事業ができているという「環境」の視点を経営理念に盛り込み、社員と事業の社会的意義について深めています。報告では、その結果生まれた、本来ならば地域循環の川下に位置する産業廃棄物処理業から、よい環境づくりを提案する「善・循環型社会」の視点を紹介しました。

ゼロエネルギーオフィスの事例を話す加藤氏

続いて建築設計会社を営む加藤氏は、約20年前から取り組んでいる環境建築設計について説明しました。2016年にサステナブル建築賞を受賞した「日本デコラックス本社事務所棟」は、高断熱・エネルギー削減による省エネと、太陽光や地下水など再生可能エネルギーの利用により実現した「ゼロエネルギーオフィス」です。さらにコストアップゼロ、ライフサイクルコスト削減、スマートウェルネスビルを掲げ、生涯的にみても経済的・健康的であり、従来の建築設計の常識を覆すものとなっています。

2015年、COP21にて、2020年以降の地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」が採択され、世界中が地球環境重視へと動き出しています。グループ討論では、エネルギーシフトについて各々の業種に置き換えて討議され、自社経営における広い視点を得られる有意義な学びとなりました。