活動報告

どうゆうき

▼実感なき景気回復といわれる中、大企業などは過去最大の黒字を出しています。一方で、老舗大企業における検査偽装などの不祥事が相次いでいます。大企業は経営陣を一新すれば存続できますが、中小企業はそうはいきません

▼業績が好調な時ほど、現場の些細な、不適切な事柄に目が行き届かなくなります。財務諸表の数字を綺麗に見せることはできますが、本来、経営者に求められるのは、経営理念のもと方針や計画通りに運営されているかを把握することです

▼少ない金額でも、方針や計画に合わない使われ方があれば、現場で何かが起こっています。それを無視すれば組織の能力は分散し、力が発揮できません。各現場での問題を経営課題として追求し、徹底議論の上、改善していくことが目的達成の早道です。その過程で、経営計画の誤りや将来の見通しの甘さが露呈することもあります。財務会計の数字は過去の業務を「見える化」したものといえます

▼中小企業において「経理」「会計」「財務」を明確に分けて組織することは難しいですが、経営者がその違いをしっかり意識して経営に取り組まない限り、強い組織は作れません。「財務」とは、「経理」「会計」のお金の数値や現場の係数や様々な経済指標などから会社の過去を判断し、未来を決める大切な事柄です

▼現場の些細な数字の乱れから、コンプライアンス上の大きな課題や、逆に未来に向けたビジネスチャンスが見つかることもあります。大企業の不祥事を他山の石として、「同友会らしい黒字企業」から「同友会らしい先見企業」への深化を目指しましょう。

財務部長  加藤 昌之