活動報告

人を生かす経営を学ぶ総合学習会(第1回)5月28日

情報収集力、真贋力を鍛えよう

~高収益な企業づくりで人を生かす経営

丸山 博氏  (有)第一コンサルティング・オブ・ビジネス(東京同友会)

従来型ビジネスモデルは崩壊・消滅の危機

「激変する世界をどう捉えるか~変化の中から時代を切り拓く企業づくりを」と題した、丸山博氏の報告を紹介します。

変わるビジネス構造

世界は成長停滞と人口減少に向かうと同時に、第4次産業革命が始まる激烈な時代に突入しました。IT企業による新ビジネス構造が急速に進化する中で、旧態依然とした金融経済手法による各国中央銀行バブルとグローバリズムの狭間で、従来型ビジネスモデルは崩壊・消滅の危機に陥っています。

実物経済の設備投資は抑制傾向にあり、IT企業は自社株買いや余剰マネーによるM&A投資が繰り返され、勝者総取りが実態です。また、現在の半導体バブルも中国の自動運転・EV化政策や一帯一路戦略に孕む政策リスクを見抜いておくべきでしょう。

政府発表によるGDPや景気動向と庶民の生活実感の乖離やスーパーマーケットでのデフレ進行は、実質賃金の横這い低下に裏付けられます。格差・賃金抑制・デフレ・寡占化など、バブルと底辺でのあがきが同居する中で、不安や不信が渦巻き冷静な判断を失わせ、ポピュリズム・分裂主義・テロや紛争に走らせています。また利権・利得など経済の混乱が、政治や社会文化を不安定なものにしています。

指針に基づく努力が差別化を生む

中小企業の舵取り

私たちは中小企業家として冷静な正しい判断をし、「人を生かす経営」をしたいと本日ここに集いました。

しかし、そのためにはマスコミなど表面的な情報に踊らされることなく、自ら情報を精力的に集め、過去の近現代史に学び、自らの頭で考えなくてはなりません。現実を正しく把握すると同時に「変化のチャンス」を掴み取り、選ばれる企業へと「同友会らしい経営指針」のフレームワークで時代を切り拓いていく必要があります。

第4次産業革命は全てを変えます。スマート工場、予測配達特許、スマホ決済、ドローン、VR、無人店舗など、進化のスピードは加速しています。変化や縮小は選別をもたらし、小さな差が大きな差になります。経営指針に基づく努力があってこそ差別化ができるのです。

自社は産業内ポジションのどの位置で、特長や強みは何か。取り巻く産業や社会や人々の心理の真の変化をどう見抜くか。「極める」「高く売る」「次元を変える」をキーワードに、誰にどんなお役立ちをするのかを明確にして、根拠実現性のある成長戦略を描いていきましょう。

誇りと働きがいがありイキイキとした社員や人材が集まってくる、そして労働生産性の向上により休暇取得率と実質賃金が上がる企業づくりをめざしていくのです。「働き方改革」も風潮に流されるのではなく、同友会らしく社員の心情や働くことの意識の変化を理解し、戦略と根拠を持った計画的な実のある取り組みが求められます。