活動報告

広報部会「経営者の責任」(5月7日)

労使見解から経営者としての原点を学ぶ

山田 茂氏  (株)山田製作所(大阪同友会)

経営姿勢を確立し、社員と信頼関係を築く

社員に嘘をつかない

5月の広報部会は人を生かす経営推進部門との共催で開催し、大阪同友会代表理事の山田茂氏(山田製作所・代表取締役)に報告いただきました。

山田氏は、経営者として社員に対して「嘘をつかない」「例外をつくらない」ことが前提で、それが社員との信頼関係に繋がると語ります。

山田氏は同友会で経営指針を作成する際に、経営姿勢の確立が社員との信頼関係の出発点と学びました。その時に脳裏をよぎったのが、かつて定期的に会議をすると決めたにもかかわらず、忙しさを理由にそれを守らなかったことでした。社員は何も言いませんが、こういった言動が経営者に対する信頼を失わせていると感じたそうです。

同友会で学び、「翌朝それをやろう」と言っても、いずれやらなくなってしまう。それでは全社一丸にはなれないということです。

ある年は経営状況が厳しく、山田氏は基本給に手を付けざるを得ない状況にまで追い込まれました。社員一人ひとりと面談して説明をしたところ、あるベテラン社員から「自分の給与はもっと減らして、子供がいる社員に充ててほしい」と言われ、声を出して泣いたそうです。その時、嘘をつかない経営をしてきて本当に良かったと確信したといいます。

例外はつくらない

経営指針・新卒採用・社員共育という三位一体の経営を進める中で、山田氏は社員共育力のある企業を目指しています。それは自然と勉強したくなる、そして勉強しようと社員が思い立ち、ふと気づくと先輩が横に立っていてくれる、そんな雰囲気のある会社だと山田氏は話します。

同社へは毎年、200社以上の企業や学校などから900名が会社見学に訪れます。ある見学の日、朝礼の3分間スピーチで一言も話せない社員が担当でした。山田氏は他の社員に担当を変えようか悩みましたが、「例外はつくらない」というルールを守り、ありのままを見てもらいました。その日の見学者からは、「スピーチで何も話せなくても、全社員が『頑張れ』と一生懸命に彼へ視線を向けている」と、同社の本質を見抜いてくれたといいます。

今回の学習会を企画するにあたって、私も同社の会社見学に参加しました。山田氏の実践は、同友会で私たちが学んでいることそのものです。朝礼にも、経営指針書にも、全てに同友会の学びが徹底的に取り入れられていることが見て取れました。

労使見解は「同友会を同友会たらしめている」ものです。社員が自主性を発揮するには、経営者の姿勢や責任がすべての出発点であると、改めて学ぶことができました。

安藤不動産  安藤 寿