活動報告

税制学習会(1月29日)

公正な税制を求めて

菅 隆徳氏  税理士法人アルファ合同会計・税理士

大企業の法人税負担は中小企業より軽い(2012年度)
大企業の法人税負担は中小企業より軽い(2012年度)

昨年、愛知同友会をあげて取り組んだ外形標準課税適用拡大などの不公正な税制に反対する運動(10万余筆の署名を集める)のまとめとなる学習会が開催され、会員・事務局あわせて40名が参加しました。

『税金を払わない巨大企業』(富岡幸雄著・文藝春秋)が話題を呼ぶなかで、今回の学習会では、講師に菅隆徳氏(税理士法人アルファ合同会計)を招き、現在の税制、とりわけ大企業と中小企業が、どのような仕組みのもとで徴税されているのかをテーマに掲げて、分かりやすく説明いただきました。

税金を払わない大企業

法人税負担引き下げのカラクリを指摘する菅氏

法人税負担引き下げのカラクリを指摘する菅氏

1789年のフランス人権宣言以後、税負担の原則としては「応能負担」が取られてきていました。近年の新自由主義的潮流においては、その原則が「応益負担」に振れていることが菅氏より明らかにされました。その上で、現在の大企業と中小企業が負担している税負担を規模別に見ると、資本金1億円前後の中小・中堅企業では法人税の実質負担率が法定税率と同程度になっています。一方で、資本金10億円以上の大企業になると、実質負担率が低下し、連結納税法人を含めた大企業全体の実質負担率は、わずかに13.9%となる実態が指摘されました。

産業政策に従属する税

さらに、こうした現象の背景には、租税特別措置の名のもとで、税が本来の公平・公正の原則でなく、産業政策に従属させられている点に問題があると強調されました。

最後に豊田副代表理事より、「企業は利益を出すことが使命としてあり、その利益は、国家、国民のために使われるべきもの」であること、さらには「税の問題を通して、日本という国の将来を中小企業家自らも考えていかなければ、社員も地域も守れない」ことが指摘されました。税制に関わる運動を署名のみに留めず、今後は中小企業の見地から望ましい税制を展望する新たな運動を推進していくことが提起され、締めくくられました。