活動報告

マイナンバー制度と情報管理(8月7日)

政策委員会主催 緊急学習会

川口 創 氏    名古屋第一法律事務所
馬場 愼一郎 氏  データライン(株)

2016年1月からの運用スタートに向けて、中小企業ならではの対応を考える参加者

2016年1月からの運用スタートに向けて、中小企業ならではの対応を考える参加者

全事業者に運用義務

個人番号、法人番号の通知が10月に迫るマイナンバー制度。社員を雇用するなど、個人のマイナンバーを扱うことになるすべての事業者は、「個人番号関係事務実施者」として、マイナンバーの運用義務を負うことになります。番号通知から来年1月の制度施行まで時間がないなか、各方面での調査、報道では、中小企業のおよそ6~8割が対応できていない実態を伝えています。こうしたなか、緊急学習会を開催し、会員・事務局80名が参加しました。

今回の学習会は2部構成で開催し、第1部「マイナンバー制度の概要」を川口創氏(名古屋第一法律事務所・弁護士)、第2部「情報管理の基礎の基礎」を馬場愼一郎氏(データライン・代表取締役)に報告いただきました。

自社の事例を紹介する馬場氏

自社の事例を紹介する馬場氏

リスク管理を万全に

川口氏からは、マイナンバー制度の背景、制度概要とともに、対応するにあたっての基本的視点として、(1)情報の適切管理、(2)過度に怯えず、不必要なコストをかけないことを強調。とりわけ資金的制約の大きい中小企業においては、制度の全体像を把握するとともに、問題が起きた時に備えた記録の徹底など、危機管理への配慮を呼びかけました。さらに、現在議論されているマイナンバー制度の拡張にも触れ、個人情報が1つの番号に集積されることの危険性が提起されました。

続いて馬場氏は、情報漏えいなどの問題は、すべて人為的なミスなどに帰結することから、(1)社内における個人情報の所在の特定、(2)大切な情報ほど、触れる人を限定すること、(3)簡単に触れることのできない場所に保管することの基本を押さえることを強調。社員を守る経営者の責任を果たす上でも、ミスが起こらない、起こさない体制をシンプルに分かりやすく構築することが重要と指摘しました。

最後に和田勝氏(政策委員長)より、企業経営の側面から、まずは責任ある対応を行うこと、情報の適切な管理体制を構築することで、社内体制の整備につなげることが押さえられました。また政策的観点から、今回のマイナンバー制度が公平・公正の点から見て本当に社会的に正しいものなのか、経営者として考える責任があることを提起。学習会のまとめとされました。