活動報告

記者との情報交換会 中小企業の声を発信(4月2日)

景況、消費税、賃金・労働調査から

中小企業の現況が語られる

23回目を迎える

23回目となる報道記者との情報交換会が開催され、新聞社5紙(中日、読売、日刊工業、中経、共同通信)と愛知同友会から宇佐見副代表理事、加藤副代表理事、城所副代表理事等6名の計11名で行われました。

今回は2019年2月末景況調査(回答‥1309社)、ならびに消費税率引き上げに関する調査(回答‥1057社)、賃金・労働動向調査(回答数‥510社)の各結果に基づき情報交換が行われました。

景気、後退局面

2019年2月末景況調査の「今月の状況DI」は、全業種で下落。昨年末からの景気状況の変化が中小企業経営に徐々に広がりつつあるのが現況といえそうです。

特に目を引いたのは、製造業の落ち込みです。「昨夏以来の半導体製造装置や工作機械関連の落ち込みが顕著」、「中国市場の設備投資減少に伴い、半導体製造装置およびロボット向け部品の在庫が急増している」など、米中貿易戦争に端を発する中国経済減速の影響が、いよいよ顕在化してきたことを裏付ける声が聞かれるなか、前年同期比「売上高DI」次期見通し「売上高DI」が、それぞれ2桁の大幅な下落を示しました。

消費税率引き上げ、景気悪化懸念強く

2019年10月の消費税率引き上げに関する調査では、税率引き上げ分の価格転嫁見込みで、一部ないし全く転嫁できないと回答した企業が21.5%、さらに19.9%が価格転嫁できるか分からないと回答。合わせて40%超の企業で、価格転嫁が容易でないことが明らかとなりました。また、税率引き上げで、約65%の経営者が「景気は悪くなる」と回答するなど、景気の減退に対する懸念の大きさがうかがわれます。(図1参照)

また、消費税率引き上げとともに導入される軽減税率やインボイスについては、その準備が中小企業では十分進んでいない状況が浮き彫りに。景気減速が鮮明になるなかでの税率引き上げや、中小企業に傾斜的に負担が強まる軽減税率やインボイスの導入は、凍結することが妥当との見解が示されました。(図2参照)

消費税調査(図1、図2)

奮闘する中小企業

景気減速が鮮明になりつつあるなか、賃金・労働動向調査からは、中小企業の奮闘する姿がうかがえました。(図3参照)

賃金・労働調査(図3)

賃金面で特徴的なのは、「賃上げする」と回答した企業割合が前回調査の58.5%から今回調査では69.4%と上昇したことです。

他方で、原資が厳しい状況のなかでも賃上げを行う企業割合は、38.8%と高止まりで推移していることから、好調な業績の反映としての賃上げではなく、人材確保に困難を抱える中小企業が最大限の経営努力で奮闘する様子が明らかになりました。

労働面も同様の傾向にあります。36協定の届出状況では、「毎年届け出ている」との回答が45.8%から58.7%と大幅に増加し、「届け出ていない」割合は34.0%から21.7%と大きく減少。しかし、記述回答からは、「取引先との関係で、十分な休日を確保できない」や、「労働時間の短縮が売上減につながる」など、中小企業が厳しい現実に直面しつつも、労働環境整備を進め、働く人にとって魅力ある企業を目指す努力が鮮明です。

中小企業の今を伝える

各調査結果を受けた情報交換では、景気状況を裏付ける各業界の動向や、今後の見通しについて中小企業の声を発信しました。また働き方改革への対応や、消費税率引き上げなども踏まえた賃上げの取り組み状況などについて報道記者より質問が出されました。

出席者からは各社の実態を踏まえた意見が交わされるとともに、中小企業の直面している厳しい現実を改善していく必要性にも触れられ、中小企業の“今”が伝えられる会合となりました。