活動報告

私たちが目指す「働き方」とは? ~イキイキと働ける企業づくり(8)

「生きる、働く、学ぶ」の順番で生き方を考えてみる

城所 真男
副代表理事、重機商工(株)代表取締役

城所 真男氏

希望が持てる社会に

人は会社の利益や効率化のために働き続けることができるものでしょうか。人には各々に夢や目標、やり方やペースがあります。そういった個性を無視して、会社の利益のため、結果を出すために効率化を推し進め、システム化を高めていけば、そこで働く人々の人間性は蝕まれて当然です。お金がお金を生むようなことが仕事になり、効率追求だけが利益の源泉と考える社会では、人はコストでしかなくなります。そんな窮屈な社会では、生きる希望が持てません。

幸いなことに、中小企業は一人ひとりの個性を尊重することができる環境にあります。その人ならではの仕事の仕方やペースなどを見て、今日よりも明日、今年よりも来年と、その人がどのように成長していくかを確認していくことができます。

個人の成長を評価

私が2014年に社長に就任して以来、10年ビジョンを毎年語り合うとともに、「生きる、働く、学ぶ」という3つのテーマについて、今年、5年後、10年後の目標(夢、希望)を社員に書いてもらっています。これをすることで、自分は何のために、誰のために、どのように生きていきたいかが見えてきて、そのために何を学ばなければならないかも明らかになります。

また、社員同士がその夢や希望を共有することで、お互い共感しながら協力して仕事ができるようになってきました。例えば、資格試験で勉強する人や趣味の世界で一流を目指している人の仕事を手伝うことや、高齢者を労わった仕事の分担などが、無理なく自主的にされています。

人間の能力はすぐに伸びることはありません。目標に向かう1日1日の積み重ねでしか成長はないのです。したがって会社の成長も一足飛びはなく、社員の成長の結果でしかないのです。それ故、私は安易な相対評価をせず、個人を尊重する絶対評価を心掛けています。

同友会で学び続け、経営指針書に毎年磨きをかけていき、気付いてみれば日本の労働政策がようやく自社に追い付いてきた、となるようにしていきたいものです。