商工ローン被害者の「駆け込み寺」として
1人で悩まず「かきつばたの会」に相談を

水谷英二水谷司法書士事務所・所長/愛知かきつばたの会・事務局長(西地区会員)
身をさかれる思いで相談に
「腎臓売れ、目玉売れ」というひどい取り立てを行い、国会で『日栄』本社に対する責任追求が行われましたがまだまだこの問題の氷山の一角です。商工ローン問題で苦しんでいる企業は、全国で50万社ともいわれています。私が事務局長を務めるクレジット・サラ金・商工ローンなどの多重債務者の相談窓口である「愛知かきつばたの会」には、今でも相談が殺到しています。相談者のほとんどが、「破産だけはしたくない」「保証人にだけは迷惑をかけたくない」「家を売らずに解決したい」と、身を引きちぎられるような思いで来られます。
高金利、違法取立、そして「根保証」
商工ローンの問題点は、主に3つあります。1つは利息制限法(100万円を超える借り入れについては上限15%)をはるかに越えた高金利を取っているということです。2つ目には、マスコミでも明らかになった違法な取立です。返済が滞るようになれば、ほとんどの債務者が大なり小なり、脅されています。3つめには、保証人を多数とり、「根保証」といって、保証人の十分な理解がないままに高額な保証をしている場合があることです。たとえば、300万円の保証だと思ったのに、実は1000万円の保証人になっていたり,そのほとんどは、きちんとした説明を商工ローンから受けていないため、このような問題になっています。このような商工ローン会社やサラ金などの会社が一部上場であったり、CMがゴールデンタイムに流れたりするなど、現在の社会は異常な状況ではないでしょうか。
同友会会員には関係がない?!
解決の方法は必ずあります。たとえば、百万円を超える借金の利息は上限15%と決められていますが、『日栄』『商工ファンド』をはじめとする商工ローン業者やサラ金、クレジット会社は出資法の上限金利である40%近い金利を中小企業からとっています。これらは、民事上違法な金利であり、訴訟によって「債務不存在」といって借金がなくなったり、「支払い過ぎたお金を返せ」という判決もいくつか出ています。このご時世、40%以上の利益を出す企業はほとんど皆無であると思います。「借りることイコール倒産」への道と誰でもわかりそうですが、銀行の貸し渋りにあい、明日の手形の決済に追われて、どうしても当座の運転資金が困って、借りてしまったという方がほとんどです。「同友会会員であれば関係ない」と思いたいのですが。
問題の根本にある銀行の「貸し渋り」
この問題の根本は、銀行の「貸し渋り」にあると思います。商工ローン問題の影に隠れていますが、この問題に対し全国の中小企業が手を携え、協力して解決にあたる必要があります。中小企業への融資をもっと積極的に行うなど銀行の本来の役割である「中小企業の育成」を求めるべきでしょう。これからも同友会の会員の皆さんの情報提供などでのご協力をお願いします。また、困っている方については1人で悩まず、同友会事務局か、直接「愛知かきつばたの会」事務局(TEL052−916−9131)にご相談下さい。
「愛知かきつばたの会」
会員は、愛知県内に住む多重債務経験者や司法書士、弁護士ら約100名。毎月各2回ほど、経験者と相談者がそれぞれの体験や解決方法などを話しあう交流会や、司法書士らによる相談会も開いている。5年間の活動やノウハウをまとめ、『サラ金なんか怖くない〜サラ金の仕組みと借金整理』(リバティー書房)を最近出版した。