どうゆうき


▼神戸市長田区にある長田神社の参道に大正時代から続く「長田神社前商店街」があります。阪神大震災後、この商店街が一過性の施しや義捐金ではなく、自分達の努力で継続的な商売はできないかと智恵を絞り、各店舗の自慢の商品を載せたカタログをつくり、全国への通信販売を始めました

▼これが全国的な反響を呼び、「買うことで支援ができる」と利用する人のほとんどが注文書に励ましの言葉を添えてきました。商店街の人達は「商売を始めてこんなに感動したことはない。どれだけ励まされたか」と語り,第1号カタログで1800万円の売上と8000件の問合わせがあったといいます

▼店頭販売の経験しかない商店街の人達は最初は通販に半信半疑でしたが,見知らぬ人との心の交流から「これは究極の対面販売だ。顔を合わせなくても心が通いあってる。大店法による大型店の進出で忘れられている小売の基本なんだ」と実感します

▼地元の買物客も「長田で出来るだけ買物をしたい」と好意的で、商店街と近くの2つの市場の3者が連係しようと協議会も生まれています。この背景に「今までおのおの勝手に生活し、勤めは外で地域は関係ないといっていたが、住んでいる以上は,地域が良くならないとダメだ」という声があります

▼この商店街が地域と一丸となり、自分達の手でカタログをつくり、街がまとまっていく様は正にドラマです。「ライバルだったりもするが、お互いに発展することが共に利益を生んで大きくなっていくことに気がついた」長田神社前商店街の人達に,私達中小企業経営者が学ぶことが数多くあります。


副代表理事 福谷正男