愛知と産業と万博と
佐橋信治(株)日研(名古屋第3青同)
●大と中小の違いって?
私はよく人にこんな話をする。「大企業と中小企業の違いとは何か」。無論そこには明確な定義づけが存在するのだが、私流の解釈はこうだ。大企業ってやつは、お金も人も、仕事も、情報だってみんな向こうからやって来る。ところがこれが中小企業となると、そうはいかなくなる。ぜーんぶ自分から取りに行かなくてはならないのだ。零細企業に至っては、ルートすら解らない。かくして私もその一員であった。しかし今は、その問題解決の手段として同友会に入れてもらっている。昨年秋、同友会主催のある勉強会に出席した私は、思わぬ収穫を得た。それはとてもショッキングで、後に私の行動に大きく影響を及ぼすこととなる。
●仏のごとく大手を信じて
その席がご縁でおつき合いのはじまった企業をある日たずねて、その社長の話を聞いた。大手が声高らかに提唱するビジネスモデルとは裏腹の下請け企業で、つらい日々が続いているようだ。多大な設備投資の重荷の上に、新型モデル用部品の開発費までも自己負担し、回収は売れた分から、しかも即日納期を守るために、在庫も置かなければならないのである。そこまでしても、仕事はさらに減り続ける。利益が出る地点も霞んで見えない。それでもまだ、大手を仏のごとく信じている。報道で大手が膨大な利益をあげたと聞けば、自分の所がいかに苦しくとも、なぜか安心しているのだ。東海豪雨の際でも、容赦なく要求が突きつけられているのに…。
●豊かな風土が生かされるように
もう、いい加減にいろんなことに気づかねばならない時に来たと思う。その最たるもののひとつが愛知万博でなかろうか。今からでも遅くない、中止して、その分の時間と予算を地元の産業育成に注ぐべきではなかろうか。ほかの県では、すでに何年も前から地元の産業の育成に取り組んでいる。このままでは本当に愛知の産業はダメになってしまうのではなかろうか。愛知は立地の良さに加え、肥沃な土地と豊富な水、恵みの海までをもあわせ持ち、本当は大きいものに頼らなくとも、自前で何でもこなすことが可能だ。このことは他県の人達がうらやむほどだということを、ぜひ知って欲しい。