千種地区4月18日
「同友会と共に育つ創立から40年を振り返って」
浅海正義氏ゆたか福祉会副理事長
●ザイルが必要なんだ
「どうしたら生き残れるか。経営者は孤独だ、明日の手形資金の不足を従業員にも話せない…。酒を酌みかわし、悩みを語り合う中から、『ザイルが必要なんだ』と誰かがひとり言を言った。高い険しい山に登るには、パーティーを組んで、ザイルで身体を結びあって登るのだ」。こんな想いが友人から同級生へ、顧問税理士から関与先社長へと拡がり、愛知同友会は1962年7月9日、34名の会員で名古屋中小企業家同友会(当時)として発足しました。発足して四年後の1966年には、現在の「同友会3つの目的」の原型ともなった「活動四つの柱」を明文化します。(1)会員の多面的な要望に応える会にしよう。(2)経営者の姿勢を正し、企業活動を発展させ、赤字企業をなくそう。(3)中小企業の当然の要求を声を大にして訴えよう。(4)会員を増やし、同友会を大きくしよう。活動の柱をはっきりさせ、会勢を躍進させていきます。私も発足総会の1カ月後に入会し、創立会員といっても間違いではないと思います。
●同友会は空気のようなもの
40年を振り返って考えてみますと、自社(菊水化学工業)と同友会がベルトで繋がり、同時回転していました。人の繋がりや甘えでない厳しい指摘で育てられ、同友会に入って、「切り拓いていく感覚」を自然と身につけられたと思います。同友会と私は特別な関係ではなく、いわば空気の様な存在となっているのです。日常的に意識して感じてはいないのですが、しかしよく考えてみますと、空気がなければ人は一刻も生きてはいけません。そんな関係なのです。また、同友会は自分から声を出さなければ、誰からも返事は返って来ない組織です。自分から参加し、会の主人公として活動することが大切なのです。
●経営は稼ぐこと
基本的に経営とは稼がなければいけないと思います。そういう意味で、私は同友会で稼ぐことを体得したと言ってよいと思います。今、副理事長をしている非営利組織(ゆたか福祉会)でも、稼がなければならないとつくづく感じています。つまり経営とは、やっているうちに自然と利益があげられる形がつくられていくことなのです。赤字になることはあっても、赤字をつくることは経営ではないと私は断言できます。
●お互いの生き様を学ぶ
同友会の発展は、辞書の一貢を増やす会員の増強であり、辞書を引き、会員ひとりを知り、その経験から学び返していくことです。個々の会員の情報は、何冊もの違った辞書のそれぞれのページとなり、図書館(事務局)に引き継がれ、整備されていきます。役員と事務局はその蓄積に努力していかなければなりません。常にゼロからの出発ではなく、価値のあるものの継承による発展が大切です。それらを縦横に活用してこそ、それぞれの企業と会の発展があるのです。それが同友会なのです。会に結集された会員の生き様は、同友会でしか売っていない「貴重品、専売特許」なのです。
●基本的なことを受け継ぎ守る
発達、学び合い、育ち合いと人はその人生の中で、いくつかの節目に出会います。企業も同じです。節目、節目で経営者もこうしたいという想いや願いを持ちますが、思うようにはできません。混乱や不安、矛盾にぶつかります。それを解決するのはもちろん自分自身ですが、同時に力となるのは社員であり、同友会の仲間です。このことを認識するか、或いはそれらを巻き込んでいるかでは結果が大きく異なってしまいます。長い歴史の中での経験と成果は、それなりの重みのあるものですが、それぞれはその時々の制約を受けておりますし、すべてを引き継ぐことが正しいとは限りません。しかし、基本的なことを受け継ぎ、守ることが、すべての事業にとって大切なことだと思います。先入観を打破することと受け継ぐことは矛盾しないのです。
●21世紀をつくる同友会
21世紀には、大企業と対等に勝負できる中小企業、質的に高い管理技術、技術力と量的に力強いネットワーク、職種転換など、新しい時代に適合した企業への発展が求められます。現実には大企業の合併、世界的な企業の出現など、中小企業にとって事態は悪くなるように感じられますし、一面の厳しさは否定できません。しかしグローバルな企業の出現は、むしろ逆の弱さの現われでもあります。それと堂々と立ち向かう力を創り上げられる、1つの力が同友会ではないかと思います。
【文責事務局・船元】
○同友会の歴史を会活動の心棒に(報告を聞いて)
村瀬三浩村瀬三浩税理士事務所
40年間の活動歴を振り返り熱い想いを語ってもらい、参加者からは様々な意見や感想が出されました。中でも「ぜひ、役員をやるべきではないのか」という意見がありました。浅海氏の報告が役員経験者に共感を与えたからこそ、出てきた意見だと思います。私も同友会に参加して良かったところは、なんといっても人との繋がりが広がったことです。その繋がりは役員をやってみて、本当に自分のものになりました。また「もう少し過去の経験の蓄積を継承できないか」という意見も出されました。同友会の先輩方が経験してきたことは、宝の山です。同友会の歴史を会活動の心棒として残していくことは、これから一層大切なことです。浅海氏は、40年間にわたる同友会歴を振り返って、同友会で学んだことを実践してきたと言われました。私達も先輩方の遺産を引き継いで、ここで学んだことを会や経営に生かしていけるように努力していきたいと思います。