第15分科会
「金融アセスメント法」制定運動
この一年間の全国の運動を振り返って
7月11・12日と地元愛知で開催された第34回全国総会の第15分科会でこの1年間「金融アセスメント法」制定に向かって取り組んできた全国での運動の中間的まとめが行われました。北海道、東京、福岡、愛知、そして中同協がパネリストを務め、これまでの活動について中間まとめを行いました。愛知の木全氏と中同協・赤石会長、コーディネーターの中同協・専務幹事の国吉氏の報告要旨を紹介します。
制定運動1年の経過と現状(全国の運動として)
国吉 昌晴氏(中同協・専務理事)
78万の署名が集まる
「金融アセスメント法」制定について、1999年の全国総会で問題提起が行われ、同友会全体で取り組む事を決定したのは昨年7月の全国総会です。その後、署名活動は緊急金融政策提言としてペイオフ実施延期、金融検査マニュアル問題等と併せて取り組んできました。昨年11月の幹事会で、署名を各地同友会の自主目標で取り組み、全国100万をめざす事になりました。各同友会では署名と同時に地元金融機関との懇談、地方議会への請願など多面的に取り組みました。今年3月28日に国会請願を行おうという事で、70万の署名を持ち、国会請願を行いました。7月10日現在、署名数は約78万名になっています。
全国327の議会で意見書が採択
中同協においては中央レベルで各中小企業団体を訪問し、横のつながりをつくりました。また、国会議員の方との個別懇談も行い、金融アセスメント法への理解を深めてきました。地方議会での決議・意見書は、全国自治体の325議会(8月1日、327議会)で採択されております。全国には3200の議会がありますので、約1割になります。マスコミからも注目され大きな力となっています。また、中小企業庁も日本の破産法を個人保証の部分で改正すべきであると言っており(本年度中小企業白書より)、これも金融アセスメント法制定運動の成果であろうと考えております。
総合的な運動として
地域の違いを乗り越えて、この金融アセスメント法制定運動が同友会の総合的な運動に位置づけられる事が確認できたのではないでしょうか。経営環境改善運動によって経営者の資質を高めるという事は、同友会運動の新たな発展であると思います。また(1)署名活動の継続と第二次請願行動、(2)地方議会での国への意見書採択、(3)国会議員への働きかけ、(4)金融機関等への働きかけの4つの方向で今後の運動を提起しております。
中小企業全般に関わる息の長い運動(中央レベルでの活動)
赤石義博氏(中同協・会長)
40名の国会議員と懇談を行って
金融アセスメント法請願に関しては40名の国会議員の方と直接懇談する事ができました。これは極めて貴重な財産です。そういう動き1つひとつが、同友会の社会的評価を高いものにしています。また全国中小企業団体中央会の井上前会長や、全国信用金庫協会の長野会長とも対談させて頂きました。この数カ月で議員の方々の力量は党派と関係ないという事が分かりました。大事なのはその議員が地元の中小企業とどういう関係なのかという事のようです。日常的に地元と情報交換を密にしている方は、実にシャープな反応をされます。そうでない方はまるっきり違います。例えば、ペイオフの問題で「中小企業で預金1000万円も持ってる所なんてあるの?」と真顔で質問された方もありました(笑)。一方で、わが町の経済、中小企業がどんな状況なのかを実に詳しく話して下さる方もたくさんいました。今まで遠まきで国会議員を見ていた状況が、この運動で変わってきました。
日本の未来を一緒に考える
今後、息の長い運動を有効に進めるために、国会議員の皆さんに私的な勉強会を進めて頂き、必要があれば同友会から資料や講師を提供したいと思います。決して政治は同友会ではタブーだという事ではありません。個人の政治思想、信条を会活動に生で持ち込んではいけないという事です。私達が外に出る時は、堂々と主張するべきものをきちんと持って進めるべきだと思います。自民党の中でも政策問題として非常に熱心に取り組んでくれる議員の方が多くなってきています。そういう方々とじっくり日本の未来や経済のあり方も含めて一緒に考える機会を繰り返していけば、法案成立の可能性が出てくるのではないかと、私自身は確信を持っています。小さく自社の事だけを考えるのではなく、中小企業全般に関わる息の長い運動であるとの大きな視点に立って頂きたいと思います。
【文責事務局・内輪】
●本紙4〜7面の分科会の詳細は10月初旬に発刊される「中同協誌No.69号」(中同協第34回定時総会特集号)に掲載されます。ぜひ、ご一読ください。
外部へのアピール力を実感(愛知同友会の場合)
木全哲也氏(愛知同友会)
もともと金融アセスメント法提案の発端は愛知同友会だと言われています。若手会員中心に提唱者である山口義行教授と共に、まだ金融アセスメント法という名称も決まっていない頃から勉強会を行ってきました。金融問題を勉強する中で、まとまって行動すべきだとの議論になってきたところに福岡同友会で経営者支持署名1万名達成という行動の事例が入ってくるようになりました。言い出しっぺの愛知が行動しないと、という事になり、まず理解者を増やすため、県内各地区で勉強会を行いました。私達プロジェクトの中心メンバーが手分けして、勉強会の語り部として県内を回る中で学んで行く事ができました。平行して署名活動を行い、13万名の署名が集まりました。運動をして気づいたのは、「金融は企業の血液」というべき重要なものなのに、意外に知らない事が私自身多かったという事です。勉強する中で金融機関も色々な情報を持って来てくれるようになりました。会として外向きのエネルギーが出てきました。前向きな署名活動のお陰で、外部へのアピール力が実感できた事が財産です。また署名を通じ、社員や取引先との信頼感を得る事もできました。