2002年「金融アセス」制定運動を振り返って
同友会運動の新たな発展〜中小企業と地域金融機関の共存・共栄めざし〜
金融アセスメント推進プロジェクト
●全国で進むアセス制定運動
制定をめざした4つの重点課題
地域への「円滑な資金供給」や「利用者利便」の視点から金融機関の活動を評価し、公表するシステムをつくる、このことが地域と中小企業の支援に熱心な金融機関を繁栄させることになり、中小企業と地域金融機関が共存・共栄していく環境づくりをめざしていく。これが、同友会が提唱している「金融アセスメント法」(「地域と中小企業の金融環境を活性化させる法律案」)です。この法律づくりの発端となった愛知同友会を始め、全国の同友会(45都道府県・約37000社)ではこの法案の制定めざし、以下の4つの重点課題を設定し、現在取り組んでいます。(1)全国署名100万名達成と第2次請願行動、(2)地方議会(特に県・市)での国への制定を働きかける意見書の採択、(3)地元選出の国会議員への働きかけ、(4)各同友会での金融機関等との対話や懇談です。
100万署名達成まで後1万に
署名は、全国25同友会で独自目標を達成し、100万名達成まで後1万と迫っています。また意見書採択議会も21都道県・552議会となっています。(いずれも1月22日現在)国会議員への働きかけについても、中央レベルでの中同協からの働きかけや、金融機関や行政・他団体との懇談、マスコミへの働きかけなど、各地の同友会で積極的に行われています。☆全国の詳細な動きは中同協のホームページ「DOYU・NET」の「金融問題&金融アセスメント法」のコーナー(http://www.doyu.jp/finance/)をご覧下さい。
●一昨年は署名活動で全国をリード
13万名の署名がベースとなって
愛知同友会では全国100万名署名にいち早く取り組み、昨年1月には目標10万を上回る13万の署名を集め、全国のリード役を務めました。この中では旺盛な学習会を開催(40地区・900名が参加)してきました。結果、尾張支部と名古屋支部で支部目標を達成、また41地区中22地区(尾張支部9/12、名古屋支部10/21、三河支部3/8)で目標を達成しました。このことが、昨年4月から取り組んだ各議会での意見書採択に向けた活動の基礎となりました。
33議会で意見書が採択BR>
さて、愛知同友会では昨年4月から各議会での意見書採択に取り組みました。6月議会に向けては県下89議会に陳情を、9・12月には県市にポイントを絞り、支部・地区を通じ、請願を行いました。結果として一覧表のように12月までに愛知県議会、名古屋市議会を含む33の議会で意見書が採択されました。内容は名古屋市議会で採択された意見書(別表)をご参照ください。愛知県と31市すべてでの意見書採択を目標としたのですが、8つの議会では主体的な力量不足を含め、まだ採択されてない状況です。これらの議会に対しては2月議会で、あらためて働きかけていきます。
●「地域社会と共に」を具体的に実践して
各地区が主体的・組織的に取り組む
この間の意見書採択の取り組みで、様々な教訓が生まれました。まずは各地区が9・12月議会に向け、主体的・組織的に取り組んだことで、「地域社会と共に」という「99同友会ビジョン」の旗印Iの意味が実践されたことです。尾北地区では9月例会で対応する行政区(犬山市、江南市、岩倉市、大口町、扶桑町)の議員の方を招いての学習会を開催、共に金融アセスメント法を学ぶ中で、5議会すべてで意見書が採択されるまでになりました。また、それぞれの地区でも役員会等で請願の意味を議論し、地区会長が組織を代表して地元議員に紹介を依頼するなど、地道で組織的な活動が行われました。
各自治体への提案や組織づくりの強化を
さらに約10回にわたる議会や各会派等へのレクチャの中で、プロジェクト員自身や地区役員が議会というものを身近に感じました。今後、地区会員を巻き込んだ活動として、各自冶体への政策要望活動への足がかりとなっていくでしょう。しかし、1月18日の「地区会長予定者研修会」で津田副代表理事(支部統括)が、「金融アセスメント法制定や外形標準課税導入反対、自治体の政策研究や政策提案などの『経営環境改善』の運動については、基礎となる会員増強が大切」と報告したように、まだ十分地域に根を張った会勢にはなっていないことが実感されました。
政治が身近なものに
最後に、私たち中小企業を取り巻く経営環境において「金融問題」だけでなく、多くの政策的課題や問題がこの中で見えてきました。私たちが積極的に自分たちの主張や要望を声として、政治に反映させていかなければ、根本的な解決にはならないということです。全国レベルでは中同協の「政策要望」で、愛知同友会では愛知県や名古屋市への「政策提案」という形での活動が行われていますが、より積極的な『選挙に行こう』というキャンペーンを愛知同友会で行うきっかけともなってきたのです。
●アセス制定運動は同友会の総合的な運動
昨年1年間は意見書採択の活動が中心となりましたが、残された課題、「金融機関との懇談」「地元国会議員への働きかけ」についても、全国の教訓に学びながら、積極的に推進していきます。しかし一方で、金融アセスメント法は借り手である私たち中小企業家に対しても、経営指針の作成などといった「自助努力」、そして「自立型企業」づくりを求めているのです。そのことは、「中部経済新聞」(1月27日付)の『同友会新春対談』の中で、鋤柄代表理事が語っていますし、対談相手の中部経済産業局長大道正夫氏も大いに期待したいと語っています。地域の違いを乗り越えて、この金融アセスメント法制定運動が、同友会の総合的な運動に位置づけられることが確認できました。「経営環境の改善」運動によって経営者の資質を高めるという事は、同友会運動の新たな発展でもあるのです。
金融アセスメント制度の創設など中小企業の資金調達の円滑化を求める意見書
我が国の経済は、失業率が過去最悪の水準で推移していることに加え、世界経済における株安の進行などの影響もあり、一層厳しさが増している。とりわけ中小企業を取り巻く経営環境は厳しく、必要な資金調達が困難な状況にある。こうした中、政府は、金融機関の不良債権問題を終結させるため、これまで以上に厳格な資産査定を行うよう金融機関に金融検査マニュアルを適用し、また、10月には総合デフレ対策を策定して、不良債権処理加速策が示されたところである。このように不良債権処理が加速することにより、中小企業に対して「貸し渋り」や「貸しはがし」がなされるおそれがあり、中小企業における資金調達がますます困難になることが予想され、企業倒産や失業者のさらなる増加が懸念されるところである。よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、金融機関が中小企業向け金融に積極的に取り組むようより一層の指導を行うとともに、中小企業への円滑な資金供給に努力する金融機関を正当に評価するための金融アセスメント制度を創設するなど、中小企業の資金調達を円滑化するための施策を早急に講じられるように強く要請する。以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。平成14年12月6日名古屋市会衆議院議長参議院議長内閣総理大臣金融担当大臣金融庁長官総務大臣法務大臣経済産業大臣以上宛(各通)