広報部11月26日
自立と連帯〜「エントロピ豊明」の経験より
吉川正道氏(株)吉川機械製作所・社長(エントロピ豊明)
影響を波及し続ける
「エントロピ豊明」は、豊明市や東郷町などの同友会有志により、1995年に発足した開発指向の異業種交流グループです。「外部に影響を波及し続ける交流を」と、「エントロピ豊明」と命名されました。「同友会は学びの場」と言われていますが、もっと会員同士がジョイントして、お互いに具体的な経済メリットが生まれるような活動ができないか、という想いで発足しました。当初は月に1回集まり、それぞれが「こんなものがあったらいいな」というアイデアを20ずつ持ち寄り、テーマにしていました。しかし、それらは大抵すでに商品化等されているものばかりで、なかなか「これならば」という開発テーマが出てこず、2年間程は仲良グループ的な存在でした。
メンバーは人柄が第1
その後、鉄筋工事業のメンバーの要望で開発された、ワンタッチの接続金具がアイデア賞を受賞し、1億円融資により完成しました。しかしバブル崩壊と重なり、売れなくなるなどの苦労も味わいました。また当初は物づくりを考える会だったのですが、それまでの失敗を踏まえ、販売や営業、市場調査などもできる人たちを入れていこうということになりました。それも人柄が第1で、目先の欲にとらわれない、参加することに意義を感じてくれる人を誘いました。
「オンリーワン研」との交流が転機に
3年前、「豊明地区」設立総会の時に講演を依頼したのが、当時130社で異業種交流を活発に行っていた大阪「オンリーワン研究会」の吉田氏でした。実際に「オンリーワン研究会」の総会を見学しに、メンバー8人で大阪まで出かけました。厳しい時代であっても、何事も包み隠さず、先を楽しみに生き生きと活動している様に、大いに刺激されました。同時に学んだのは、官(役所)や学(大学、高専)の協力を得たり、共同を進めていく意義や方法でした。例えば、1999年にできた「中小企業経営革新支援法」の認定を受けると、助成金を受けたり、金利が半分で返済期間が倍になるといった資金利用において有利にもなります。また産業政策などの情報が真っ先に得られるようにもなります。
「経営革新法」の認定企業になろう
大学との共同研究においては、当初は門前払いもあった一方、現在、大同工業大学内に格安で「エントロピ豊明」のラボ(研究室)を借りており、そこでは、もうすぐ実用化できそうな共同研究が進められています。今や時代の変化で、大学の方から提携企業を求めています。大企業だけに任せてられません。役所や大学との交渉など、一見敷居が高そうな印象ですが「赤信号、みんなで渡れば怖くない」の精神で、みんなで一歩足を踏み出せば道が開けてきました。そして新しい試みもできるようになりました。「中小企業経営革新支援法」の申請書を自力で書く事も、夢を5カ年計画にする貴重な勉強になります。こうした動きを同友会の支部、地区へ広げていけたらというのが私の想いです。その為にもエントロピ豊明でも応援していきたいと思います。
希望がわき、元気が出た(感想)
創業43年目の食品製造機械会社の2代目である吉川氏の体験に基づいた熱いお話に、終始私たち広報部員は圧倒されました。7名での立ち上げから8年、現在は31社が参加。「エントロピ豊明」は様々な試行錯誤を経て、今や幅広い裾野の広がりを見せ、新たな可能性を見出し始めています。また自立した企業家が連帯し、産学官共同の力をも得て、輝かしい活動と前向きな運営をされています。「エントロピ豊明」に参加して、人生が変わってしまったという方がいらっしゃるというのも納得できます。まさに元気の出るお話でした。現在、同友会に「ものづくりセンター」設立が準備されており、これも異業種交流を進めていこうという動きもあります。今後の展開が一層期待されます。
【広報部・名倉靖弼】