障害者問題委員会より10〜11月
知的障害者の就労実習を終えて
〜受け入れて分かった自社の課題と社員の力〜
愛知県からの依頼で、知的障害者の就労実習に取り組み今年で3年目を迎え、今年度は会員四社の協力を得て4名の実習を受け入れました。精神障害者の就労実習に続き、受け入れ企業の皆さんに語っていただきました。
(1)えびせんべい製造中村徳芳氏(株)ナカムラ製菓(西尾・幡豆地区)
現在、知的障害者を1名雇用中。実習は袋詰などの作業で特に問題はありません。これまでの雇用経験では家族が過保護になり、職場でも過保護な対応を求め、社内から「面倒なことはやめよう」の声が出たことがありました。しかし私はやめるつもりはなく、「同じ人間ではないか」と話していますが、家族の問題は大きく、社内的には理解を徹底させることが課題です。
(2)おしぼりリース吉田恭章氏(株)アイセン(南・東海地区)
現在、知的障害者を2名雇用中であり、2名とも大切な戦力です。実習生はおしぼりを2つ折りにして機械に入れる作業が理解しにくかったようですが、ジョブコーチ(就業指導員)がつきっきりで指導してくれました。ジョブコーチの存在は大切で、受入は今後も続けます。
(3)洗車と掃除永井義人氏(株)小牧オートサービスセンター(愛北地区)
自動車の整備・修理工場のため、仕上げの洗車で水滴が残るのをふき取る作業と車内清掃をやってもらいましたが、黙々とやっていました。天井も壁もない所での作業で、季節やわが社の体制では無理な時もありますが、社員たちが自然に受け止めてくれています。
(4)水産物卸星野富男氏(有)星野水産(西尾・幡豆地区)
地区会で実際に雇用している企業の話や安城養護学校の先生の話を聞き、また会役員から説明を受けて、「地域社会と共に生きる」ことを考えるなら、受け入れてみるべきだと考えました。通常は刃物を使う作業ですが、使わずにすむ仕事を探しました。お昼や休憩時には、社員やパートさんが暖かく包み込んで会話をしてくれ、当社の女性たちの人間力の素晴らしさを実感しました。
「あせらず継続を」(県とのまとめ会議)
1月16日の障害者問題委員会に、愛知県の担当窓口「就業促進課高齢者・障害者雇用対策グループ」より、茶屋静児主幹と山口順子主査が参加し、現状認識と課題についての活発な意見交換を行いました。山口氏からは最初不安がっていた実習生が、ほかの仲間に「実習に行けていいねぇ」とうらやましがられ、元気を出した事例が紹介されました。茶屋氏からも、せち辛い世の中にもかかわらず、親身になってくれる経営者がいることに感謝の言葉が述べられ、必要なのはあせらず継続していく事だと確認しました。