第7回新会員オリエンテーション2月20日
「同友会で学んで、わが社はこう変わった」
樋口義高氏(有)トータルサービスネットワーク・社長(名古屋第4青同)
2月20日の「第7回新会員オリエンテーション」では樋口義高氏と和田勝氏((有)シー・アンド・シー保険サービス、瀬戸地区)の2人が報告、新会員13名を含めた28名が参加しました。今月号では樋口氏の報告を紹介します。
30歳で独立・開業
3代続く建具屋の長男として生まれ、父親からも商売をするよう勧められて育ちました。学生生活を終える頃、大手損保の代理店独立研修制度の案内を受け取りました。「商売をしたい」という想いに加え、その会社のネームバリューと、「元手が掛からない」という言葉につられて、研修に参加しました。研修の最初に「あなたにとって成功とは?」と聞かれたことがずっと頭に残り、代理店として独立してから、「成功学」に傾倒しました。いろいろな本の影響を受け、「トータルなことを、総合的なサービスで、ネットワークを通じて提供していこう」と、30歳の時に今の会社を設立しました。
他社の理念をまねて
設立当初から、「理念」の必要性は感じていましたが、言葉にできず悩んでいました。そんな折、顧問税理士さんの名刺にあった言葉をそのまままねて、「貴社(殿)の成功のお手伝い」を理念と定めました。これが失敗でした。「成功のお手伝い」という意味で、健康食品の販売、携帯電話の販売代理店、ついには国際電話のコールバックサービスにまで手を出し、貯金を食い潰してしまいました。
組織と経営を学ぶ
転機は33歳の時です。独立当初からひいきにしてくれていた社長が亡くなり、その会社が清算された時、「お客様を守れずに、何が成功のお手伝いだ!」と気づきました。生命保険をきちんと提案できていたら、会社を畳まずに済んだかもしれないと、改めて「保険のプロになろう」と思いました。睡眠時間を削って仕事に打ち込み、生命保険の売上を損保以上にし、会社を建て直しましたが、過労で入院。お客様には迷惑がかかり、友人の代理店との合併を決めました。また、改めて組織運営と経営を学ぶため、99年に同友会に入会しました。
「辞めたい」と言われ
入会した年は、例会案内が来ても、その日が空いていれば参加するという姿勢でしたが、2年目にチームリーダーに、3年目には地区の副会長となりました。地区で各社の目標や悩みを交換し合った手法を会社経営にも取り入れ、社員全員で各自の行動や個人目標などをチェックしあうシステムを導入しました。また経営指針研究会にも参加し、経営指針も成文化しました。翌年、地区会長となり、新聞の取材を受けました。掲載記事を社員に配布しましたが、反応が良くありません。専務からは、「辞めたい」とまで言われました。
魂の使い道とは
会社がそんな状態のまま鹿児島で行われた青全交に参加し、「民主とは何なのか」の考え方に触れました。終了後、知覧にある特攻隊平和記念館に寄ったところ、「人の命を機械の一部としてしか見ていない国が、自由主義の国に勝てるわけがない」という、ある特攻隊員の方の遺書を発見し、ハッとしました。会社に置き換えてみると、言葉では『皆んな一緒にやろう』と言いながら、どこかで押しつけていたのかなと悟りました。名古屋に戻り、社員たちにこの経験を話しました。そして、「私たちの会社は何のために仕事をしているのか。自分の魂の使い道は何なのか」をじっくり考えました。その結果、社員全員に理念が浸透し、長期方針も決まり、経営危機が一転、社内の結束を固める出来事とすることができたのです。
【文事務局・井上一馬】