第6回新会員オリエンテーション
12月1日
同友会には自分を高める大きなチャンスがある

田中一氏(有)田中建設社長(名古屋支部副支部長)
会社概要(有)田中建設
・創立1990年・資本金500万円・社員数8名・事業内容総合建設業
「人間万事塞翁が馬」
私は21歳であるゼネコンに入社しました。「日本一の現場監督になりたい」という夢を持って仕事を始めましたが、その会社は5年で潰れてしまいました。その時の上司に誘われて仲間と7名で独立しましたが、その会社も最後には社長と私、そして事務の3人になってしまい、「世の中はうまくいかない」と思いました。33歳の時、大きな転機がありました。現場からの帰りに交通事故を起こし、1カ月の入院。生まれて初めての入院で、仕事も初めて休みました。何もすることがなく、ベッドの上で自分の人生を考えるうちに決意し、36歳で独立しました。
半年で辞める社員たち
港区に倉庫を借りて一人で仕事を始め、売上も伸びていきましたが、3年目に一人でやることの限界を感じ、中区に事務所を移し、社員を2人採用しました。それが苦労の始まりで、「こんなにも思い通りにいかないものか」ということを実感しました。それから何人も採用しましたが、いくら励ましても半年しか持ちません。年末に賞与を渡したら、年明けから連絡がとれなくなった社員もいました。そんなことが何度も続き、人に恵まれない自分を嘆いたこともありました。
全国会合に関わって
今から9年前、高校時代の先輩から同友会を勧められ、会社があった中区大須地区(当時)へ入ることになりました。「名刺を配っていれば、仕事につながるかもしれない」というお付き合い程度のつもりでした。知り合いもなく、誘いの電話もなかったので、仕事が忙しくなるにつれ、次第に足が遠のいていきました。入会して3年目、地区の役員さんから電話があり、例会の報告者を依頼され、お受けしました。例会当日は2次会にも参加し、そこで初めて、地区会員の皆さんと打ち解けることができました。それからすぐ、また同じ役員さんから電話があり、その年(98年11月)に地元愛知で開催される「障害者問題全国交流会」の実行委員を引き受けました。
仕事以外での達成感
私が担当した分科会は、「車椅子の障害者に、実際に大須商店街で買い物をしてもらう」という企画でした。当日は、実際に地下鉄で来ていただくのですが、その頃はエレベータもなく、車椅子を地下から上げなければなりません。そこで、地区役員会へ手伝いのお願いに行くと、「田中さんがそれだけ頑張っているのだから、みんなで応援しよう」と言っていただき、当日は15人も応援に来てくれました。私は久しぶりに仕事以外での達成感を味わい、同友会の面白さがわかった気がしました。みんなが真剣に取り組んでいることを肌で感じ、たいへん感動しました。
100名地区の会長に
それから次の年には地区幹事、翌年に副会長、2001年4月からは地区会長を経験させていただきました。この年に2つの地区が合併し、大須地区は90人をこえる中区南地区となりました。これは100人の会社の社長になるようなもので、とても一人では運営できないので、皆さんに手伝っていただき、苦労もありましたが、良い仲間がたくさんできました。私は人に勧められて役員をやってきましたが、この次に私が人に勧めるためには、自分が勉強しなければと思っています。
五カ年計画を作成
地区会長の年には、「経営指針研究会」にも参加しました。経営指針(計画)という言葉は前々から知っていましたが、自分の会社に必要だとは思えませんでした。しかし、この研究会で経営指針のつくり方を教えていただき、初めて五カ年計画を立てました。それまでは「年商何億」とか、「自社ビルを持ちたい」などと言葉では言っていましたが、これは目標でもなんでもないということに、初めて気づかされました。また、それまで一度も社内で会議をしたことがありませんでした。総勢8人の会社ですから、社員一人ひとりと話せば済みますが、この研究会で指摘を受け、月1回の会議をひらき、社員と相談をすることを決めました。4年続けるうちに、ようやく社員との意見交換ができるようになりました。自分ひとりでは三日坊主で終わることも、社員とともに皆で決めたことは続けることができます。指針研究会を勧めてくれた仲間に感謝しています。
会員は同じ「経営者」
同友会には愛知だけで2500名をこえる経営者が参加しています。自分の目標にピッタリの経営者もいます。自分の何倍もの規模の会社も、老舗もあります。しかし、それぞれの方がそれぞれの立場で経営課題を持っています。どんな会社であっても経営者であることは同じです。皆さんが一歩近づけば、本当に親切に教えてくれます。今日ご参加の皆さんは仲間です。今日を境に、自分の地区以外の行事にも参加し、声がかかったら、役員も快く受けていただいて、学んだことを自社に生かしていただきたいと思います。
【文責事務局・井上一馬】