金融アセスだより
第1回
大きく変わったディスクロージャー誌
皆さん、取引銀行のディスクロージャー誌(業績報告資料)の内容が昨年から大きく変わったのをご存知ですか。一般には頭取挨拶から経営方針、業績の資料、営業活動の報告などが続きますが、昨年から地域金融機関(都市銀行にはない)が地域経済への貢献を示す項目を追加しています。例えば、地元向け貸出金額や件数です。法人向けでは企業規模別貸出シェア、個人向けでは住宅ローンの地域別シェア等が、またサービス内容の紹介では地元企業のビジネスマッチングや経営再建へのコンサルティング、地域社会への文化的支援などです。
地域への貢献度を公開評価
実はこれらの項目は3年前には載せられていませんでした。この改善のきっかけが同友会の「金融アセスメント法」制定運動で、愛知同友会がその先鞭をつけた全国に誇れる運動です。先ほどのディスクロージャーを読むと「地域密着型金融推進計画」という言葉が出てきます。これは03年に金融庁が出した「リレーショナルバンキングの機能強化に関するアクションプログラム」(以下リレバン)により各地域金融機関が策定を義務付けされたものです。すべての地域金融機関は、営業基盤である地域経済に対し、どれだけ貢献するのか具体的に計画し、その実績を報告することが求められており、その結果が先ほどの資料なのです。
同友会が金融行政を動かす
この法律は98年頃の厳しい「貸し剥がし」「貸し渋り」に直面した私たちが金融機関の公共性を担保する為、アメリカの地「地域再投資法」の日本版として立教大学経済学部山口教授と共に提唱したものです。私たちは、この法律の立法化に向け、勉強会を重ね、地域の経営者や住民に語りかけ、県内13万名、全国で101万名の署名を集めました。さらに愛知県議会を初め各市町村議会に各地区の皆さんが働きかけ意見書採択(愛知で39・全国で988自治体)をしました。これが全国に広がり国会にも取り上げられ、リレバンという政策として実際に金融行政を動かしたわけです。私達が誇りを持って取り組んだ運動の成果が反映されたディスクロージャー誌です。ぜひ一度目を通して頂き、あの経験を今一度思い起こしてみて下さい。
赤津機械(株)藤田彰男