あてにされる企業づくりを
新春を迎えて
会長 佐々木 正喜
愛知中小企業家同友会会員の皆様、明けましておめでとうございます。ご家族の皆様や社員の皆様と共に、よい新年をお迎えのことと拝察いたしております。
中小企業の実感とかけ離れた好景気
昨年11月には戦後の好景気最長期間(いざなぎ景気:1965年〜1970年)を更新したと発表されました。しかし、経済成長率などほとんどの数値がいざなぎ景気より劣り、私達中小企業にとって実感の乏しいものとなっています。ある調査によれば、「好景気の実感がない」と回答した企業は77%にも達しています。好景気の判断は大企業の指標によるもので、中小企業の実態とはかけ離れているように思われます。もっとも、中小企業でもこの状況の中で成長したところもあり、平均値では好景気であるが、中身はまだら模様であるというのが実態でしょう。
中小企業で働く人達が幸せになる社会を
愛知中小企業家同友会が先鞭をつけた「中小企業憲章」制定のための勉強会も全国に広がり、更に深く踏み込んだ議論が広まっています。そして国の憲章制定だけではなく、県市町村の「中小企業地域活性化条例」についても制定を進める働きが強くなり、既に制定された自治体もあります。中小企業には、日本の労働者の約80%が働いているため、国民の大多数が幸せを実感するには、中小企業で働いている人の多くが幸せにならなくてはならないといえます。そのため国や地方行政は、中小企業が日本の経済や地方の経済の底力を担っている役割を認め、高々とその役割を謳い上げなくてはならないと思います。このような動きを教育の現場をはじめ、国民各層の運動にまで広げていくことが大切になっています。一方、私達中小企業経営者も実践の場にいるので、地域の方々から賞賛され、あてにされる企業作りへの努力が必要となります。その努力の結果が成果として生きてこないと、「中小企業憲章」も「中小企業地域活性化条例」も絵に描いた餅で終わってしまいます。
ヒントの宝庫の同友会を活用し、強靭な経営体質を
さて、今年はどのような年になるでしょうか。原油価格の高止まりは既にガソリンの高騰を呼び、鉄材などの資材は何度も値上がりを繰り返しています。人材にしても特に東海地区では人手不足が深刻な問題になっています。経営の障壁ばかりが目につきますが、同友会は経営のヒントの宝庫です。積極的に同友会で勉強を進め、知恵を絞って実践し、強靭な経営体質をつくり上げることが、「実感のない戦後最長の好況期間」の中にいる私達経営者の責務だと思います。