金融アセスだより
第6回
わが国の会計基準はそもそも大企業を対象に規定されており、キャッシュフロー計算書、税効果会計、時価会計及び退職給付会計等、すべての中小企業が導入しているとは考えられないし、今後浸透していくとも考えにくい。そんな中、中小企業の会計に着目し、規範として作成されたのが、「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」(以下チェックリスト)である。チェックリストは計算書類を作成した税理士が確認する書類である。現在、金融機関においてこのチェックリストを活用した融資制度が多くできている。具体的には、税理士が作成したチェックリストを金融機関に提出することにより条件(金額・期間・担保・手数料等)が優遇されるというものである。また、信用保証協会の保証料率についても0.1%の割引を受けることができる。私も顧問先から依頼を受けてチェックリストを作成したことがあるが、時代の流れの中で銀行側が融資の枠を取りたいのか、チェック内容の良し悪しで融資を受けられたというより、形式的に揃えればいいと感じるケースがある。また、他行から乗り換えて欲しいから飛び込みで融資を持ち掛けてきたり、税理士との面談を申し入れる銀行もあった。「中小企業」と言っているのに「個人事業主」にチェックリストを使った融資を持ちかけたお粗末な例もある。金融機関側がまだ勉強不足である感は否めない。このチェックリストが浸透し、資料添付が融資条件となることもありえる。また、会計処理が如何になされているかのチェック項目数によって融資条件が変わる事も考えられる。いずれ機能する時に対応できる会社であるために、一度チェックリストをご覧戴き、顧問税理士と相談するなど勉強していただきたい。
小関会計事務所 小関 剛史(金融アセスプロ)