わが社の「景況調査」活用法
変化を予測、時代の課題を読む
愛知の景況「踊り場」に
愛知の景況感が、1つの踊り場に差し掛かっています。 中小企業金融公庫や日銀短観における中小製造業の業況DI、東海財務局の調査においても同様の結果を示しました。「元気な愛知」といわれる中で、愛知同友会の景況調査では早くから変化の動向を掴み、格差社会の警笛を鳴らしてきました。具体的には、長期不況の影響による生産能力不足と技術の弱体化問題、技術継承の問題、資材価格の高騰問題、輸出型産業と内需型産業の格差進行、消費分野への波及力の弱さ、雇用環境変化と求人難問題などです。一方で、新しい消費者の姿をつかむ飲食店や食品業界、消費行動の変化に対応したニューサービス業態、地域産業の業態間連携や高付加価値分野の開発に取り組む会員企業も新たに生まれています。行政やマスコミなどからの注目が高まってきているのを受け、今回から、新たに金利や価格変動の項目を追加。ぜひ、同友会の景況調査をお役立て下さい。また、景況分析会議に業界最新動向などをお寄せください。
取引先だけでなくその周囲の環境を知る
(株)オネストン 佐々木 正喜氏
当社はプレスの金型部品を取り扱っておりますので、主とした需要先である自動車産業の動向が気になるところです。金型用鋼材の動きや工作機械メーカーの国内向け受注・販売の傾向なども注目しています。また、ケンタッキー州に子会社がある関係で自動車メーカー各社と関連企業の動きにも注目しています。こうした情報は販売先や仕入先あるいはいろいろな関連産業団体や業界紙、専門紙などから得ています。更に、愛知同友会が行っている景況調査により、多様な業界の最新現場情報を得て、広い意味での製造業の実態や先行きについて大きな視野で考え検討できる点が貴重な機会となっています。例えば、建築用の鋼材価格が下がるとすれば、金型用鋼材も価格の下げが期待できます。あるいは全般に景気の浮揚が見えてくれば、自動車の販売台数も増えるかも知れません。そのことによって金型の保全または新規のための部品発注が増えてくることが期待できます。当社の取引先だけでなく、その周囲の環境がよく分かると言う点で同友会の景況調査は重要な役割を果たしています。今後も継続して調査・分析をしていち早く発表する事を期待しています。
営業会議で報告調査結果を社内に還元
(株)コトジヨー 松田 昌久氏
食品メーカーへの調味料を中心に提供する弊社は、異業種からのヒントを有効活用する場と捉えています。まず景気指標では、各業種の前3カ月と年度間比較で、自社と対比させ、優越感や悲観感を実感させられます。景況分析会議の座長である山口義行氏(立教大学教授)から指摘される日経平均株価と円・ドルの相関関係は、各社とも注目度は高いと思われます。特に弊社は、輸入原料由来の製品ウエイトがかなり高いため円高は歓迎します。しかし、日本経済全体では、円高になると輸出産業に大きな影響が出ます。このような相関関係は、専門家の先見的解説により理解が深まります。私は、この検討会議に出るようになってから、朝必ず日経平均株価と円相場の記録を取るようになりました。また、景況分析会議の後には、当社の営業会議で景況動向の概略を説明し、全社に学んだことを還元するなどして、この景況調査を活用しています。