「建築基準法改定」に関する要望を決議〜緊急アンケートに554社が回答
第7回理事会
10月17日
今年6月20日に施行された改定建築基準法が大きな波紋を投げかけています。確認申請業務の大幅な遅れが、建設業界での資金繰りや維持経費に多大な負担となりつつあります。建設業の会員からは、「改定の影響で工事の受注ができない。受注できても確認の審査が下りない」「このままでは、建設業は存亡の危機にある」という声が寄せられました。これらを受け、理事会では「あいどる」を利用し、『建設確認申請の認可遅滞』(建築基準法改定)影響に関する緊急アンケート』を実施、554社より回答を得ました。今回の事態が建設業にみならず、建築業以外にも大きな影響を与えること。そして、このような状況が長引けば、愛知県経済の失速を招きかねないという判断を行い、「『建築基準法改定』に関する要望」を、10月17日第7回理事会で決議しました。
「建築基準法改定」に関する緊急調査(9月27日〜10月15日 − 回答554社)
● 建設業 「現在、影響あり」 5社に3社(61%)
● 建設業以外「今後、危惧される影響あり」3社に1社(36%)
法改定の影響の大きさが浮き彫りに
建設業界は関連業界を合わせると100兆円とも言われる裾野の広い業界です。「建設業界は景気のバロメーターであり、不動産、金融、資材、物流、素材、雇用など、ほとんどの業界で連鎖効果があり、(今回の改定が)経済全体に悪影響を与えている」(アンケートの文書回答)とのコメントにもあるように、緊急調査でも、今回の法改定による経済的影響の大きさが、改めて浮き彫りになってきました。
▼建設業(158社)
@「現在、影響あり」(61%)
A「危惧される影響あり」(72%)
▼建設業以外(396社)
@「現在、影響あり」(23%)
A「危惧される影響あり」(36%)
また特徴的だったのは、数多くの文書回答が寄せられていることで、361社より、リアルな現場の声をいただいたことです。
県経済の失速を招きかねない改定
以上を踏まえ、10月17日理事会では建築基準法改定について要望を決議。今回の法改定が、「官から民へ」という政府方針に従い、また、「耐震偽装事件」が起こったこともあり、急きょ行われたこと、さらに国の所轄官庁において、今回の事態が予想されたにも関わらず施行されたのは遺憾とし、「このような状況が長引けば、愛知県経済の失速を招きかねない」として、以下の項目を要望しています。
(1)今回の法改正における影響を地域ごと、関連業界ごとに広く、実態調査を行うこと。また、何時混乱が収束するか、見通しを公表する。
(2)建築基準法に関連して、以下を行う。
@確認申請の審査期限を厳守
A上記ができない場合、当面、ピアチェックの延期
Bピアチェックの対象物件を減らす
C既存床面積の2分の1以上の増築を可能にする
D確認申請手数料の2重取りをしない
E現場の工事工程を尊重した変更申請業務にする
(3)運転資金(つなぎ融資)に関して、行政として早急に対応する。
(4)関係部局の人員を増やし、特別体制で処理にあたる。
(5)行政に特別窓口を設け、適切な対応を行う。この愛知同友会からの提起を受け、10月3・4日中同協政策委員会でもこの問題が取り上げられ、早急に状況を把握することを確認。また、都道府県など行政との懇談を進め、必要な対応・施策を求めることが申し合わされ、全国的な運動になりつつあります。
※「『建築基準法改定』に関する要望書」と今回の緊急調査の結果(文章回答を含む)は会のホームページ「Ainet」(http://www.douyukai.or.jp)で公開しています。