どうゆうき

▼構造改革の急先鋒であった著者が記す『懺悔の書』との広告で購入した本が中谷巌氏の『資本主義はなぜ自壊したのか』だった。中谷氏は小渕内閣の時に、規制緩和や市場開放を積極的に主張した人物。金融不安について「アメリカ主導のグローバル資本主義は自壊しはじめた」としたうえで、格差社会が拡大したことを認め、医療改革の後期高齢者医療制度を愚策と批判する。そして、新自由主義思想には「みなが幸福な社会、みなが心豊かに暮らせる社会を作ろうという意図は皆無である」と述べている
▼「評論家は懺悔して、本を売れば生きていけるからいい。経営者はそうは行かない。明日の仕事と従業員の生活を守る責任がある」とある経営者。一方トヨタなど大企業は、溜め込んだ内部留保に手を付けず株主配当を維持したままで、労働者の派遣切りで財務状況を良くする姿勢は「みなが幸福な社会」とは相容れないものだ
▼思い起こせば、「所得が200万円以下の貧困層が1000万人を超えた」「ネットカフェ難民」という言葉が生まれたのが2007年。去年は「派遣切り」と「雇い止め」という言葉が年末年始にかけて新聞紙上をにぎわせている。「85,000人が失業へ」「製造業で操業停止」など不況下の2009年
▼いま社会がすべきことは安心して暮らし働ける社会の構築だ。憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を国民が享受できる社会の実現のために、同友会の「労使見解」にもとづく会社づくりと、「日本経済の自主的、平和的な繁栄」をめざすことが問われる時代だと思っている。

副代表理事:立木 勝義