客観的なデータと生の情報を共有
〜景況調査を活かす

藤田 彰男 経営環境調査委員長

 

景況分析会議(6月8日)で調査データと実態を刷り合わせる

事業計画や会社の戦略立案に活用

愛知同友会の景況調査報告は第66号を迎えました。巻頭の「回復続くも、一部に息切れ感も」が示す様に業況DI値は2月末に比べて12ポイント改善され、数字上では回復局面に入りました。

しかし景況分析会議や会員の皆さんの声は楽観的な状況ばかりではありません。

製造業では電子関係が多忙な様ですが、自動車関連は6月以降の仕事量減少を指摘する声が多く聞かれました。

建設業は官需民需とも少し仕事が増えている様ですが、価格競争が厳しく、1年ぶりの仕入れ価格上昇や販売価格の低下が特徴といえます。エコカーや家電、住宅向けエコポイントなど、政策需要はやがて尽きます。

流通業やサービス業もDI値は改善していますが、価格低下や先行の不透明感などを懸念する声が聞かれます。

経営上の力点は、新規受注と付加価値の増大が今回も上位を占めています。全業種で「何か新しいモノ」「ユニークなモノ」の模索が始められたのも特徴でしょう。

景況分析会議を「出前」

もともと、景況調査は会内外への情報発信が1つの目的でした。それは日銀短観や金融機関の調査とは違い、中小企業の生の声をダイレクトに伝えることです。今年度、新たに会員の経営計画や戦略立案に必要な外部環境を織り込むツールとして景況調査を使って頂くことを考えています。

具体的には、各支部、地区へミニ景況分析会議を「出前」することにしました。直前の景況調査を教材にし、DI値の変化や他の情報と、参加者からの自社及び業界の状況報告を照合しながら、マクロの視点で考える癖を身につけることを目的にします。

しかし、配布された資料を眺めるだけでは、生きた情報にはなりません。会員同士が集まって、客観的なデータと生の情報を共有することで初めて課題や気づきが得られます。ぜひ一度、例会や役員会等でこの「出前」を試されることをお薦めします。