「条例元年」
中小企業は地域社会発展の要

〜愛知県中小企業振興基本条例が施行(10月16日)

 

本年の定時総会分科会で「中小企業振興基本条例」の意義と目的を学ぶ(4月18日)

中小企業家の声を集めて

10月16日に「愛知県中小企業振興基本条例」が公布・施行されました。これは愛知同友会が2004年から条例制定に向けて本格的な運動展開を続け、その成果が結実したものです。

この制定にあたり、昨年12月から同友会を含めた経済団体や金融機関、行政関係者や研究者、大手企業を含めた「中小企業活性化懇話会」が組織され、検討を重ねてきました。また行政職員が出向いて意見を聞く「車座集会」も7回(94名)、訪問を通じた意見聴取が210社、「Webアンケート」には458名から回答が寄せられました。

このように、条例の制定プロセスで広く中小企業家の意見が集められたのは画期的なことだといえます。いずれも愛知同友会が骨子の提案や中小企業家の声を集める協力をしました。

中小企業庁の加藤洋一部長を招いた中小企業憲章2周年の集い(6月18日)

今後の活用が鍵

これらの意見を踏まえ、第1条(目的)に「中小企業の振興を図り、もって地域社会の発展及び県民生活の向上に寄与することを目的とする」と明示され、条例が「地域社会の発展」と「県民生活の向上」が目的であることが規定されました。

また、「小規模企業への配慮」、「人材の育成及び確保の支援」、「施策の推進に係る措置」(中小企業家の声を聞く)など独立した条項としていますが、特筆されるのが「中小企業の経営の向上に配慮」という民間金融機関の役割が明記されたことです。

今後はいかに条例を活用するかが重要になります。例会で行政・金融機関・大学と連携し、課題の共有をはかったり、景況調査などの分析結果を発信し、有効な施策の洗い出しや、外部環境の変化をまとめることも大切です。そして何よりも、自社がその地域にあることの意義を、自社の経営理念と照らして考え直すことです。

また、地域にどう関わっていくのか。さらには、豊かな地域づくりに向けてどういった人材を輩出していくのか。そのための社員との関わりはどうしていくのが良いのかなどを具体的に考え、実践することが条例を活かす一歩となります。

このように「条例元年」は、同友会運動の真価が問われるスタートになるといえます。激変する経営環境のなか国民や地域と共に歩み、地域から期待され続ける中小企業を目指して自らを鍛えることが今後求められます。