活動報告

障害者自立応援委員会「多様性の中に豊かさが」(5月14日)

伊藤 卓氏  太陽電化工業(株)

社員との関わりを語る伊藤氏

様々な働き方を受け入れる

5月の障害者自立応援委員会では太陽電化工業の伊藤卓氏に報告いただきました。

同社は、自動車部品を中心とした電気めっき業。伊藤氏は数年前に同友会で、さまざまな働き方を受け入れるダイバーシティ経営をテーマにした会合に参加し、今後の経営課題の1つになると思ったといいます。

現在、従業員52名中、知的障害の社員1名(勤続29年)、聴覚障害の社員1名(勤続2年)がいます。また一般就労とも福祉的就労とも異なる「中間的就労」に取り組み、ニートや引きこもり、生活保護受給者、障害者の就労訓練を積極的に受け入れています。めっき業は、製品を治具に掛けるだけの単純な作業が多いので、来たその日からすぐにでき、障害のある人にとっては、めっき業自体が適材適所といえます。

聴覚障害のJ氏は母親が外国人で、日本語の読み書きはできませんが、スマートフォンを使った片言のやりとり、表情、身振りで伝え合いながら精力的に働いています。また、挨拶をしても目線が合わない、声も出せないというコミュニケーションに困難を抱える社員もいますが、まじめに仕事をしてくれています。

様々な形状の製品を治具に掛ける社員の皆さん

やる気を失わせたのは誰?

うまくいかなかったのは、知的障害のF氏でした。大変な気分屋で作業をしないことがあり、いかに機嫌よくやってもらうかに必死だったといいます。他にも、勤務態度が気になる社員がいましたが、同友会で「やる気がなくて入社する人はいない。やる気を失わせたのは経営者ではないか」と問われ、考え方が一変したそうです。

気分屋のF氏と一緒に作業をし、「Fさん、頼んだよ」と任せたり、「私の作業、手伝ってよ」と声をかけたりし、時にはジュースを差し入れ、冗談を言い合ううちに伊藤氏に信頼を寄せ、作業をしてくれるようになりました。こうした経験から、社員全体への関わり方も変わってきたといいます。

様々な人たちとの出会いには刺激があり、指示の出し方、ほめ方や気づかいなどを学ぶ機会になります。その関わりを通して「違うことが当たり前」という理解を広げていきたいと、雇用への思いを語りました。