活動報告

連載(1)世界の潮流が求めるもの

中小企業の見地から認識を深める

(資料)国連広報センターWeb サイトより転載

持続可能な開発目標(SDGs)の17項目

潮目変わる世界経済

今年の定時総会の議案にある「情勢と展望」では、世界の平均経済成長率は、リーマンショックで落ち込んだ2009年を挟んで1999~2008年、2010~2022年で明らかな減速が見られると分析しています。その要因を、巨大グローバル企業が推し進めてきた、低廉な労賃を求めた海外展開に限界が訪れつつあることに求めました。

その結果、私たちの立っている現代は、「世界で最も裕福な8人が保有する資産は、世界の貧しい半分(36億人)が所有する総資産に匹敵する」(NGOオックスファム)人類史上類を見ない、超巨大格差に直面しているのです。

同時にこうした利潤極大化を最優先してきた企業行動は、自然環境破壊や低賃金労働者への依存と、そうした人々への人権侵害を深刻化させてきました。こうしたなか、企業活動にも持続可能性が鋭く問われています。

真のグローバル企業へ

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(以下、指導原則)」(2011年)や、「SDGs(持続可能な開発目標)」(2015年)は、現代の不条理の克服を目指した世界的目標であり課題です。指導原則は、(1)人権を保護する国家の義務、(2)人権を尊重する企業の責任、(3)救済へのアクセスの3点を柱に、全31項目で構成される国際的枠組みです。

さらにSDGsは、この指導原則を発展させ、世界的に表面化している様々な課題の克服を目指した国際的目標・課題を17のゴールと169のターゲットから明らかにしたものです。

このような世界の潮流のなかで、国際社会は「正しいビジネス」を、大企業、中小企業の区別なく、全ての企業に求めています。

グローバル化した現代において、海外との取引の有無に関わらず、すべての企業は世界のなかで経営していることを認識し、「真のグローバル企業」となるべく行動を起こすことが期待されます。

今回から5回にわたり、指導原則やSDGsに関して、同友会運動や中小企業経営の視点から考え、連載をスタートさせます。21世紀を生きる中小企業家として、自らの企業経営を振り返り、企業変革のきっかけの1つとしてもらいたいと思います。