活動報告

ダイヤモンド部会「木材産業とのかかわりと国産材への思い」(6月25日)

宇田津 政秋氏  (株)HIKARI

木材産業の現状を語る宇田津氏(中央奥)

木材利用の変化

6月のダイヤモンド部会では、元愛知同友会会員で株式会社HIKARI会長の宇田津政秋氏をお迎えしました。創業以来、国産材販売会社として杉や桧を拡販されてきた宇田津氏から、木材産業の現状、国産材の魅力をお話しいただきました。

木材の種類については、天然林から伐採されたものと人口林からのものがあります。三大天然杉「屋久杉、秋田杉、魚梁瀬(やなせ)杉(高知)」は伐採禁止の動きが2001年から始まり、18年には3種とも伐採禁止になりました。

日本での木材利用にも変化があるといいます。例えば、和室は国産材が生かされる部屋ですが、和室がある家が減少するなど家屋構造の変化により、国産木材の需要が低下。特に、節のない良材の不使用がさらに進んでいます。また、柱や桁に使用される小断面・中断面(集成材)の輸入木材が増えています。工業規格製品に加工された木材は収縮がないため、施主とのトラブルも少なく扱いやすいそうです。そのため、昔とは違い、木材が工業規格製品のように扱われるようになってきているといいます。

業界の将来を考える

日本の木材産業は、価格の低下が深刻化しています。木材は年々安くなっており、現在の価格は35年前とほぼ同額です。宇田津氏は、林業の次世代の担い手不足は、木材の価格低下が大きな要因であると考えています。

国土面積に対する森林比率は、日本はフィンランド、スウェーデンに続いて世界第3位(68.5%)です。しかし、建築材に使用される木材は70%が外材(外国産の木材)で、日本の森林を活かしきれていない状態です。林業の担い手不足もあり、手入れが充分にされず、荒廃が進んでいる森林もあります。

人口減少による空き家問題、新築住宅着工数の減少など、木材産業、林業は厳しい状況にあります。日本の林業の今後をしっかりと考えていくことが将来世代のためにも必要であると、宇田津氏は報告を締めくくりました。