第28回青年経営者全国交流会−9月14・15日(宮城)
夢・人・地球〜人類史的課題への挑戦−愛知から33名が参加
全国から870名が集う
第28回青年経営者全国交流会(主催・中小企業家同友会全国協議会)が、9月14・15日宮城県仙台市で開かれ、全国44同友会から870名が参加、愛知同友会から青年同友会を中心に33名が参加しました。今回の青全交ではメインテーマ「夢・人・地球〜人類史的課題への挑戦」をかかげ、2つの講演と15の分科会から、21世紀に生きる経営者のあり方が学び合われました。第11分科会では愛知同友会から「悩める2世経営者たちよ、時代に対応した会社づくりを考えよう」のテーマで、3日前の「東海豪雨」で被害を受けたにもかかわらず山田健夫氏((株)名栄社・常務、名古屋第2青同)が登場し、報告を行いました。
「東海豪雨」水害への義援金が寄せられる
五十嵐弘人実行委員長が開催地を代表して、河野先中同協幹事長が主催者を代表してあいさつした後、藤井黎仙台市長からのあいさつ、続いて野田一夫宮城大学学長が「回想の20世紀と21世紀の日本」と題しての問題提起が行われました。
その後、15の分科会が、経営指針、社員教育、仕事づくりなどのテーマで2日間にわたって行われました。懇親会のなかでは、愛知の「東海豪雨」水害と三宅島噴火災害の義援金の訴えがあり、2日間で44万5千721円の義援金が寄せられました。
第11分科会
「悩める2世経営者たちよ、時代に対応した会社づくりを考えよう」

山田健夫氏(株)名栄社・常務
●豪雨被害からの復旧の中で
9月11日の「東海豪雨」によって会社が水につかるというかなりの被害にあいました。明日仕上がる仕事が今月いっぱいまでかかる、そういう状態ですが、決意してやってきました。一生懸命に報告いたしますので、よろしくお願い致します。私の会社は特殊印刷業です。家電、自動車、機械、遊戯など幅広い業種の銘板印刷をしております。この業界内においても同業異種の部分に仕事が生まれ、お互いの不足している所を補い合うことによりネットワークが生まれる、また「名栄社に頼めばなんとかなる」という安心感がある程度お客さまに浸透していると思いますし、これらが自社の強みです。逆に営業の駆け引きや、品質に関してもまだまだ甘さがあり、これが弱みです。私の会社には日系外国人の社員が13名おります。将来を考えると、ここに依存していてはいけないと思っています。ただ強み弱みは表裏一体だと思っています。
●理念づくりにいきつく
やはり「よい会社づくり」を考えると理念づくりに行き着くと思います。経営指針は多くの2世経営者が必要だと思っていますが、つくれていない現実があり、また中長期の経営計画は、難しいという声もありました。私自身はそれを打破しなければと思い、経営理念や社是、社訓を社内で発表しました。その社是に「調和と創造」というのがあります。社内の人間関係などで当時落ち込んでいた時に、この言葉に出あいました。理念も社是も、本当に思い悩んだ時、自分自身の言葉に出あうのだと痛切に感じました。従来の経験だけに頼っていたものを蓄積するため、メーカーから要望を集め経営計画をつくりました。品質向上のためパーフェクト・グッズ・マニュファクチャリング(完璧なものづくり)活動と銘打ち取り組んでいる最中です。今の製造業は安く早く作ることで喜ばれ、また100パーセント良品の要求が厳しくなり、それしか買っていただけない。最近は細かいことでも不良品扱いになるし、その不良品をお客様に流出するのを防ぐことが重要です。名栄社の印刷と後加工作業は窮屈な混み入った場所で、この環境ではとても良品100パーセントとはいきません。この物理的限界をある受注先から厳しい指摘を受け、悔しい思いをしました。それもあり、完璧さを追求するため、新工場建設を決意しました。地区活動でも昨年の会長時代、増強目標に2名と迫った時、私のうかつな発言で組織がから回りし、達成するのにそれから数カ月かかってしまいました。やはりリーダーがしっかりしないと組織が止まってしまう。いい勉強をしました。
●「共に育つ」の教訓
会社においても同友会の共育、人間尊重の経営が必要だと思います。これからの人づくりは、方針を持って、理念だけでなく、長期的な計画をもっていく必要があると思っています。そして「共に育つ」の教訓が、私にはあります。私自身の失敗で夜中に独り仕事をしていた時、「私も一緒に仕事しますよ」という新入社員の行動に救われました。すぐに辞めると思っていた社員がムードメーカーとして頑張っていたり、社員に教えられることが多くあります。課題をものにしていくにはこの大転換期はチャンスです。これらのように理念や方針を自ら伝える、品質完備、思い切った投資、どれだけ多くの人間と関われるか、これらは2世経営者にとって命綱だと思います。これから二世である青年経営者がふんばる時です。この青全交があってよかったと思えるように、これからを大切にしていきたいと思います。
【文責事務局・井上誠一】
(株)名栄社・会社概要
創業1959年・資本金1000万円・年商7億円・社員数58名・事業内容スクリーン印刷(1961年生、後継者)