第3支部新春講演会(1月8日)乗り切れ!2000年
「中小企業の環境変化と体質改善」佐藤澄男氏名南経営センター・所長

第三支部の新春講演会が十名近くのゲストを含め、総勢百三十名で開催されました。講師の佐藤澄男氏は熱田地区会員数多くの事例を引いて、「今こそ知恵を働かせる時」との話に参加者は深く感銘をうけました。
現状を見直す必要があるか?
「通帳の・しみかと思ったら・利息だった」という川柳があるのをご存知かと思います。「七・二の法則」もご存知かもしれません。皆さんの財産は七・二パーセントの金利がつかないと、十年間で倍にはならない時代なのです。今、売り上げが増えずに利益を上げるには、リストラしかないですね。しかしリストラといっても、事業・業務・財務の三つの側面があるんです。事業のリストラというのは「今の状態を見直す必要があるかどうか」ということなんです。今の状況で計ってはいけませんよ。これから先どうなるかということを読んで、「今赤字でも、場合によっては広告宣伝費だ」と思ってやるとか、そういうことなんです。この決断は経営者の責任です。
状況分析を!
こういう話をすると皆さんすぐに今赤字だ、いやそうではないと判断します。しかしまず、赤字企業の場合、出血原因をキチッと調べてあるかどうかです。どのお客さん、どの商品でどれだけ赤が出ているかキチッと証明できていますか。また赤字の一位・二位・三位は何か。少なくともそういう分析をせずに、ただ「赤字だ、赤字だ」ではだめです。状況分析が必要です。逆に一番儲かっているお客さんや商品についても、一位・二位・三位と順位つけてありますか。当方の一番の儲け頭は、先方の儲けが一番ないことになりますし、これを指摘された時の対応は磐石になっていますか?いろんな観点で足元を見直し、元気なうちにリストラを考えてください。これからでもいいから再構築(リストラ)してください。
必要なのは、質の分析
お客さんの分析が、(1)今の儲けの主体、(2)開拓に攻勢をかけている先、(3)可もなし不可もなしという分析が必要です。今、あなたの会社の一番の営業マンは一番目のお客に掛かり切りではありませんか。ここが、次の儲けを用意しているならそれでもよい。あるいは、さらに儲けが伸びるならいいです。このままでは、三番目のお客になってしまうような取引先に、一番の営業マンをつけておいてはいけない。将来の命運を握るような開拓先にこそ貼り付けて、時間も金も使って物にすることが、経営者の決断なんです。「営業力強化だ、強化だ」と言っているだけでなく、そういう質的な分析をぜひして下さい。
知恵を働かせよ!
次に、業務・財務のリストラですが、これは社内体制をいろいろ変えなければいけない。簡単に売上は増えない。ほかっておけば売上が減る。だから知恵を働かせなければいけない。今の仕事を一つづつやらなければどうなるか。十人でやっているのを八人でできないか。分担を従系列にするとどうなるかなど。一番変えなければいけないのは賃金体系ですよ。コストの王様は人間です。もちろんリストラというのは単に人を減らすことではないです。定着率ががぜん高まる四十五歳以上の社員の退職金を計算してみてください。経営者の皆さんなら愕然とするはずです。対策を考えておかないと大変です。また、通勤費を毎月ではなく、半年分まとめて払った会社があります。金額は小さくても、合せてみると支払いは少なくなります。「今は夜明け前だ」と言った長官がいますが、夜が明けたらどしゃ降りということもあります。しっかり勉強し、知恵を働かせましょう。
【文責事務局・服部】