労使問題交流会で私が学んだもの(8月3・4日−長野)
林宏洋林電気工事(株)

冬季オリンピックが開かれた長野の飯綱高原で開催された第十七回中小企業労使問題全国交流会には二十五同友会から百二十名が参加。愛知からは石井労務労働委員長と私、そして事務局服部さんの三名が参加しました。以下、報告主旨と私の感想です。
山下順一氏の((株)富山ハイテック・社長)事例報告より
人手が欲しくて障害者を雇用し、社内に混乱が起きた。『労使見解』との出あいで、個人やグループでの成績を競争をさせる経営をやめ、自己管理で自己新記録をめざす経営にした。全員が個人教育ノートを持ち、次に何をするのか課題を書き込み、障害者の努力に全社員で拍手する社風も生まれてきた。働くことへの考え方について経営者にキチンと持たなければ、社員はついてこない。
●私のいる建設業界では「現場に障害者は無理」というのが常識。しかし、常識にこだわると何もできない。崩すことも必要だ。また、教育ノートをわが社で実践するには、私自身の教育ノートを含めて考えなければ。
二宮厚美氏の(神戸大学発達科学部・教授)問題提起より
問題を起こし、日々バイトに明け暮れる十七歳の若者に、「なぜ学校をやめないのか」と質問すると、「高校生であることがバイトの雇用条件で、やめるとバイトができない」と。彼らには高校以外の選択肢がない。日本が「護送船団方式」をやめ、弱者切り捨ての方針に変更して以降、多様性がなくなり、それまでの日本的な人材育成が危機を迎えている。中小企業は安易に時流に惑わされずに、社員の中に蓄積された全人格的技能や技術、判断力を活かすことで生き残れる。そのためのコミュニケーションの基準は、(一)科学的・技術的合理性、(二)社会的規範・ルールを基準とした価値判断、(三)人間的な誠実さを基準とした評価という三点であり、どの基準での対話なのかを労使双方が確認し、合意の上で対話をすることが必要である。
●この基準を常に意識し、明確にし続ける努力をしたいと思った。